「Excel ファイルが社内に 200 個ある」「誰がどのファイルを最新に保っているか誰もわからない」「特定の社員が辞めたら触れる人がいなくなるシートがある」──これは、群馬・前橋を拠点に中小企業の DX 伴走支援を行っている当社が、Excel 中心の業務から脱却したい中小企業の経営者・情シス担当者から最も多く受ける相談です。Excel は強力な道具ですが、その強力さゆえに「業務の生命線」が Excel の中に閉じ込められ、属人化・バージョン分裂・権限管理の不全という 3 つの構造的なリスクを抱え込みやすい現実があります。本記事では、Excel 中心の業務を 30 日で Lark Base に移行するための完全ロードマップを、Excel 関数 → Lark Base 式の対応表 30 個、移行優先順位フレームワーク、3 年 TCO 試算、週次マイルストーンとともに公開します。
結論を先に書きます。「Excel を全廃する」のは現実的ではありませんが、「Excel を業務基幹から外し、共有・更新・参照が必要な業務を Lark Base に集約する」ことは 30 日で十分可能です。米ハワイ大学 Raymond R. Panko 教授のスプレッドシート研究 (2008)によれば、フィールド監査で確認されたスプレッドシートの最大 94% にエラーが含まれ、セル単位のエラー率は約 5%、参加者の 86% が自分のシートに実際にミスを犯していました。一方、2024 年版中小企業白書では、紙・口頭中心の業務にとどまる中小企業は 2019 年の 61.3% から 2024 年の 30.8% へと半減し、DX に取り組む or 検討する企業は 42.0% まで増えました。Excel から脱却して業務 OS に集約する流れは、もはや「先進企業の話」ではなく中小企業の標準路線になりつつあります。
📍 脱 Excel を検討中の方へ: 「自社のどの Excel ファイルから移行すべきか」を 60 分の無料相談で整理します。30 日プログラムの初週用テンプレートも無償で提供しています。
相談内容の例: 既存 Excel ファイルの棚卸し方法を知りたい / 関数変換の難所を相談したい / 30 名規模での移行スケジュールを試算したい / 補助金を絡めた導入計画を立てたい 等
✅ この記事でわかること
- Excel 中心業務の3 つの構造リスク(属人化・分裂・権限不全) → 構造リスクを読む
- なぜ Lark Base が Excel 代替として最適か 3 つの設計上の理由 → 理由を読む
- Excel 関数 → Lark Base 式の対応表 30 関数(VLOOKUP / SUMIFS / IF 系すべて) → 対応表を読む
- 移行優先順位を決めるPICK フレームワーク(更新頻度 × 関係者数) → フレームを読む
- 30 日週次ロードマップと各週のチェックリスト → 30 日プランを読む
- 3 年 TCO 試算 — Microsoft 365 + Excel vs Lark Pro(30 名規模) → コスト比較を読む
- 頓挫させる5 つの典型失敗パターンと回避策 → 失敗例を読む
- 自社 EC 事業で月 240h → 24h(-90%)を実現した実証経験 → 事例を読む
「Excel が業務の生命線」になっている中小企業の 3 つの構造リスク
結論から書きます。Excel は強力な個人ツールですが、組織の業務基幹に置くと「属人化」「分裂」「権限不全」の 3 つのリスクを必然的に抱え込みます。これは Excel の悪い使い方ではなく、Excel の設計思想そのものに由来する構造的な制約です。中小企業の DX が進まない最大の理由の 1 つは、この 3 つの構造リスクを「個人の頑張り」でカバーし続け、限界に達した時点で初めて気づくことにあります。
リスク① 属人化 — 「あの人にしかわからないシート」が必ず生まれる
Excel は強力なツールですが、「複雑な業務ロジックを 1 人の担当者の頭の中とシートに集中させる」性質があります。VLOOKUP がネストし、SUMIFS が階層化し、INDEX/MATCH がシート間を縦横無尽に走るシートは、作った本人にしか保守できません。Panko 教授の論文によれば、フィールド監査されたスプレッドシートの最大 94%にエラーが含まれていましたが、実は「シートを作った本人がエラーに気付いている」確率は 14% 程度です。残りの 86% はエラーがあるのにそのまま運用され続けていました。退職や異動でその担当者がいなくなった瞬間、「触ると壊れる聖域」が出来上がります。
リスク② 分裂 — 「最新版」が複数存在する
Excel ファイルは「コピー」「メール添付」「フォルダ間移動」のいずれかで共有されます。クラウド版の共同編集機能は強力ですが、メール送信文化が残る組織では「顧客リスト_20260520_最新.xlsx」と「顧客リスト_20260520_最新_修正版.xlsx」が並走するのが日常風景です。誰がどちらを正にすべきか判断できず、新人が古いバージョンに新規入力してしまうと、最新版から見ると「データが消えた」状態が発生します。この事故の経済的損失を計測した公的データは存在しませんが、当社が支援した複数の中小企業では「Excel 分裂で本来発生しなかった作業」が月あたり 1 人 10〜30 時間に達していました。
リスク③ 権限不全 — 「閲覧だけ」「編集制限」が事実上不可能
Excel には「シート保護」と「ブック保護」がありますが、現実には突破されます。パスワードはチームで共有された瞬間に意味を失い、共有リンクは退職者の私物 PC にも残り続けます。「特定の列だけ営業部門には見せたくない」「給与列は経理だけが見られる状態にしたい」といった行・列レベルの権限制御は Excel 単体では実装できず、結果として「機密情報を含む Excel をフォルダで隔離する」という 2000 年代型の運用が今も続いています。退職時の権限剥奪も、Excel ファイルベースでは「全フォルダから対象者を外す」というオペレーションをミスなく実行することが事実上不可能です。
関連: Lark Base が中小企業の業務効率を変える 3 つの理由では、Excel 中心業務から離脱して業務 OS に集約することで何が変わるかを構造的に解説しています。本記事と合わせて読むと、なぜ脱 Excel が「単なるツール置き換え」ではなく「業務設計の刷新」になるのかが見えてきます。
なぜ Lark Base が Excel 代替として最適なのか — 3 つの設計上の理由
結論を先に書きます。Lark Base が Excel の代替として優れているのは、「関数互換性の高さ」「同時編集とバージョン管理の自動化」「チャット・カレンダー・承認との一体運用」の 3 点が同じプロダクトに揃っているからです。kintone・Notion・Airtable といった代替候補と比べたとき、「Excel ユーザーの違和感を最小限に抑えながら、組織全体の業務 OS まで一気にカバーできる」という点で Lark Base の優位性が明確になります。
理由① 関数互換性 — Excel ユーザーが「同じ感覚」で使える
Lark Base の数式フィールドは、IF / SUMIFS / COUNTIFS / VLOOKUP に相当する処理を Excel に近い記法で書けます。完全互換ではないものの、現場担当者が新しい関数名をゼロから覚える必要はなく、Excel で長年使ってきたロジックをほぼそのまま移植できます。これは Notion(プロパティ式は独自記法)や Airtable(英語ベースの formula)と比べたとき、日本の中小企業の現場で導入する際の心理的ハードルを大きく下げる差別化要因になります。次節の関数対応表で 30 個の主要関数の置き換え方法を提示します。
理由② 同時編集とバージョン管理 — 「最新版どれ?」問題が消える
Lark Base は SaaS なので、データはクラウド上の 1 箇所にしか存在しません。コピーが生まれず、編集競合が発生せず、誰がいつ何を変えたかが Time Machine (履歴) で追跡されます。Lark 公式プラン概要によれば、Time Machine の保持期間は Starter プランで 7 日、Pro プランで 30 日です。これは Excel の「ファイル名にバージョンを書いて運用する」運用と比較すると、人の注意力ではなくシステム側で履歴管理が完結する点で次元が違います。
理由③ チャット・カレンダー・承認との一体運用
Excel の上に Slack・Microsoft Teams・Google カレンダー・kintone・サイボウズオフィスを別々に重ねている構成だと、「データはここ・通知はあちら・承認はその先」と業務情報が分断されます。Lark Base は同じアプリ内の「隣のタブ」にチャット・カレンダー・承認ワークフローが配置されており、Base 上のレコード更新を起点にチャット通知を飛ばす・カレンダーに予定を自動生成する・承認フローを呼び出す、といった連動をノーコードで設計できます。Lark vs kintone 比較記事で詳述した「1 本でカバーする業務 OS」の本質はここにあります。
Excel 関数 → Lark Base 式 完全対応表 — 中小企業がよく使う 30 関数
結論として、中小企業の現場で使われる Excel 関数の 9 割は Lark Base の数式フィールド・参照フィールド・ロールアップフィールド・ビューの組み合わせで再現できます。以下は当社が複数の中小企業の Excel 移行支援で実際に使ってきた対応表です。同じ目的を達成するための置き換え方法を「目的」「Excel での書き方」「Lark Base での書き方」の 3 列で提示します。
| 目的 | Excel | Lark Base での実装 |
|---|---|---|
| 条件分岐 | =IF(A1>100,”OK”,”NG”) | IF([金額]>100,”OK”,”NG”) (数式フィールド) |
| 複数条件分岐 | =IFS(A1>100,”A”,A1>50,”B”,TRUE,”C”) | SWITCH 関数または IF のネスト |
| 表引き(完全一致) | =VLOOKUP(A1,顧客!A:C,3,FALSE) | 参照(Lookup)フィールド + リンクテーブル |
| 表引き(双方向) | =INDEX(MATCH…) | 双方向リンクフィールド(Two-way link) |
| 条件付き合計 | =SUMIFS(B:B,A:A,”案件中”) | ロールアップ + ステータスフィルタ |
| 条件付きカウント | =COUNTIFS(A:A,”完了”) | ロールアップ COUNT + ビューフィルタ |
| 条件付き平均 | =AVERAGEIFS(…) | ロールアップ AVERAGE |
| 最大値 | =MAX(A1:A100) | ロールアップ MAX |
| 最小値 | =MIN(A1:A100) | ロールアップ MIN |
| 文字結合 | =A1&” “&B1 | CONCATENATE([名],” “,[姓]) |
| 左から N 文字 | =LEFT(A1,3) | LEFT([氏名],3) |
| 右から N 文字 | =RIGHT(A1,4) | RIGHT([電話番号],4) |
| 文字列検索 | =FIND(“@”,A1) | FIND(“@”,[メール]) |
| 文字置換 | =SUBSTITUTE(A1,”-“,””) | REPLACE([電話番号],”-“,””) |
| 大文字化 | =UPPER(A1) | UPPER([英字コード]) |
| 本日の日付 | =TODAY() | TODAY() |
| 日付差分 | =DATEDIF(A1,B1,”D”) | DATEDIF([開始],[終了],”D”) |
| 月末日 | =EOMONTH(A1,0) | EOMONTH([契約日],0) |
| 日付加算 | =A1+30 | DATEADD([契約日],30,”d”) |
| 曜日 | =TEXT(A1,”aaa”) | FORMAT_DATE([日付],”ddd”) |
| エラー処理 | =IFERROR(…,””) | IFERROR(数式,””) または IF + ISERROR |
| 空白判定 | =ISBLANK(A1) | ISBLANK([フィールド]) |
| 数値判定 | =ISNUMBER(A1) | ISNUMBER([フィールド]) |
| 四捨五入 | =ROUND(A1,0) | ROUND([金額],0) |
| 切り上げ | =ROUNDUP(A1,0) | ROUNDUP([金額],0) |
| 切り捨て | =ROUNDDOWN(A1,0) | ROUNDDOWN([金額],0) |
| 順位 | =RANK(A1,A:A) | 並べ替えビュー + 連番フィールド |
| 重複除外 | =UNIQUE(A:A) | グループ化ビュー |
| ピボット集計 | ピボットテーブル | ダッシュボード + グループ化ビュー |
| クエリ抽出 | =QUERY(A:Z,”select …”) | フィルタビュー + 参照フィールド |
この表のすべての関数について、当社のコンサルティングでは現場担当者がスムーズに移行できるよう「実際の業務シートで使われている関数だけを抜き出してから書き換える」という段取りで進めます。30 関数すべてを覚える必要はなく、自社で使っている 5〜10 関数の置き換え方さえ理解すれば、Excel と同等の業務ロジックは Lark Base 上で再構築できます。
移行優先順位を決める PICK フレームワーク — 「何から手を付けるか」を 5 分で決める
結論として、脱 Excel が頓挫する最大の理由は「すべての Excel を一気に移行しようとする」ことです。30 日プログラムを成功させるには、まず社内にある Excel ファイルを「関係者数」と「更新頻度」の 2 軸で分類し、最初の 30 日は 上位 5 ファイルだけに集中するのが鉄則です。当社がこの作業に使っている PICK フレームワーク(Priority Index for Cloud Knowledge migration)を共有します。
| 更新頻度: 日次 | 更新頻度: 週次 | 更新頻度: 月次以下 | |
|---|---|---|---|
| 関係者: 全社 | Pri-A1(最優先) 例: 顧客リスト・案件パイプライン | Pri-A2 例: 売上集計・在庫 | Pri-B 例: 月次会議用集計 |
| 関係者: 部署 | Pri-A2 例: 営業活動記録・問合せ管理 | Pri-B 例: 経費精算・タスク管理 | Pri-C 例: 月次予算管理 |
| 関係者: 個人 | Pri-C 例: 個人タスクメモ | Pri-D(後回し) 例: 個人 KPI シート | Pri-D(移行不要可) 例: 個人メモ・テンプレ |
- Pri-A1〜A2(全社・日次〜週次) — 最初の 30 日で必ず Lark Base に移行。複数人が同時編集する場面が多く、分裂と権限不全のリスクが最大化するため。
- Pri-B(部署・週次以下 or 全社・月次) — Day 31〜60 の Phase 2 で順次移行。30 日プログラム完了後に着手する。
- Pri-C(部署・月次 or 個人・日次) — Day 61 以降。先に基幹業務を移行してから手を付ける。
- Pri-D(個人・週次以下) — 必ずしも移行しなくてよい。Excel のまま使い続けるか、移行コストとリターンを比較してから判断する。
当社が支援した中小企業の傾向では、業務インパクトの 80% は Pri-A1 と Pri-A2 の 5〜7 ファイルに集中していました。逆に Pri-C/D の Excel を先に移行しようとして 3 ヶ月を費やし、基幹の Pri-A が後回しになって全社的な効果が出ないというパターンが、脱 Excel 失敗の代表例です。
30 日週次ロードマップ — Day 1〜30 の具体的な進め方
結論として、30 日プログラムが目指すゴールは「上位 5 ファイルを Lark Base に移行し、運用が回り始める状態を作る」ことです。「全社の Excel をゼロにする」のではなく、「業務基幹に Lark Base を据え、Excel を補助ツールに格下げする」のが現実的なゴール設定です。以下は当社が複数の中小企業で実装してきた標準ロードマップです。
Week 1 (Day 1〜7): 棚卸し + テーブル設計
- Day 1〜2: 社内の Excel ファイルを「フォルダ全件リスト化」する。ファイル名・最終更新者・利用部署・想定される更新頻度を 1 シートにまとめる。
- Day 3: PICK フレームワークで Pri-A1〜A2 を 5 つ選定。経営層と「移行対象 5 ファイルの合意」を取る。
- Day 4〜5: 移行対象 Excel をクリーニング(結合セル解除・ヘッダー整理・データ型統一・空行削除)。これを怠ると Lark Base 取り込み後に再設計が必要になる。
- Day 6〜7: Lark Base 側に新規 Base を作成し、テーブル設計案を作る。1 Excel ファイル = 1 テーブル ではなく、「マスタ(顧客・社員・商品)」と「トランザクション(案件・問合せ)」に分けて 2〜3 テーブル構成にするのが原則。
Week 2 (Day 8〜14): 1 ファイル目を移行 + 動作確認
- Day 8: Pri-A1 の 1 ファイル目(典型: 顧客リスト)を .xlsx でエクスポートし、Lark Base にインポート(公式インポート手順参照)。
- Day 9〜10: 数式フィールドで Excel 関数を Lark Base 式に置き換え。前節の対応表を参考にする。
- Day 11: 権限設計。「閲覧のみ」「自分のレコードのみ編集可」「ロール別の表示制御」をテーブル単位 + フィールド単位 + レコード単位で設定。
- Day 12〜13: 既存 Excel と Lark Base を並行運用しながら現場担当者にテスト入力してもらう。違和感をヒアリングしてビュー設計を調整(Excel に近い見た目のグリッドビューを既定にする)。
- Day 14: 経営層レビュー。「来週から Excel での更新を停止する」の意思決定を全社向けにアナウンス。
Week 3 (Day 15〜21): 残り 4 ファイル + チャット連携 + 承認フロー
- Day 15〜17: Pri-A2 の 2〜4 ファイル目を同様の手順で移行。1 週目のテンプレを使い回せるので 1 ファイルあたり 1 日で完了する。
- Day 18: Lark Base ↔ Lark Chat の自動通知設定。「ステータスが『要承認』に変わったらマネージャーに通知」「期日 3 日前にリマインダー」など、Excel ではマクロが必要だった処理をノーコードで構築。
- Day 19: 承認ワークフロー設定。Lark の承認機能で「経費精算 → 上長 → 経理」「契約稟議 → 営業部長 → 経営層」の典型フローを構築。
- Day 20: 5 ファイル目を移行。
- Day 21: 全 5 ファイルの並行運用終了。Excel ファイルを「Read-only」に変更してアーカイブフォルダへ。
Week 4 (Day 22〜30): 定着支援 + 効果測定 + 次の 10 ファイル選定
- Day 22〜25: 1 日 1 回の現場ヒアリング。違和感ポイントを Lark Base 上のフィードバックテーブルに集約。
- Day 26: ダッシュボード作成。Pri-A1 の 5 ファイルから取れる KPI を 1 画面に集約(売上推移・顧客数・案件進捗・問合せ件数・在庫水準など)。
- Day 27〜28: 効果測定。「移行前の Excel 操作時間 vs 移行後の Lark Base 操作時間」を 1 人 1 日でストップウォッチ計測。
- Day 29: 次の Phase 2(Day 31〜60)で移行する Pri-B の 10 ファイルを選定。
- Day 30: 経営層への効果報告 + 次フェーズ計画の合意取得。
30 日プログラムを 90 日プランへ自然に接続する具体的な工程設計は、中小企業の DX を 90 日で軌道に乗せる実践ロードマップで詳細を解説しています。脱 Excel を「ツール置き換え」ではなく「会社の業務 OS への昇格」として進めたい場合は、こちらも合わせてお読みください。
📍 30 日プログラムを自社で回したい方へ: 当社の支援先で実際に使っている「棚卸しテンプレ」「PICK 判定シート」「Week 1 用 Base 設計テンプレ」の 3 点セットを 60 分の無料相談で提供しています。
テンプレートを Lark Base 形式で配布(コピーしてすぐ使える)。試算 5 名規模なら 30 日プログラムは 1 人月の業務工数で完了します。
3 年 TCO 試算 — Microsoft 365 + Excel vs Lark Pro
結論として、30 名規模の中小企業で 3 年 TCO を試算すると、Excel 中心構成と Lark Base 中心構成の差は「ライセンス料単体ではなく、間接コスト(時間)で開く」のが実態です。直接コストだけ見れば両構成は競合する金額帯ですが、Excel 中心構成が抱える「分裂修復」「属人化対応」「権限不全による事故処理」の時間コストを試算に入れると、3 年で数百万円〜数千万円のオーダーで差が出ます。
| 項目 | Excel 中心構成 (Microsoft 365 Business Standard) | Lark Pro 中心構成 |
|---|---|---|
| ライセンス単価 | Microsoft 365 Business Standard 約 ¥1,874/月/人(2026 年 5 月時点) | Lark Pro 公式料金ページを参照(USD ベース $8/月/人・年払い、2025 年 3 月改定後) |
| 30 名 × 3 年 ライセンス料 | 約 200 万円 | 規模により試算(無料 Starter 枠が併用可能) |
| 追加ツール(チャット・会議・カレンダー) | Microsoft Teams 同梱 / 別途 Slack を併用する場合は加算 | Lark 1 本に同梱(チャット・会議・カレンダー・承認・Base) |
| 属人化対応コスト(3 年) | 1 人月 × 退職 3 件 = 3 人月(数百万円相当) | テーブル設計が共有資産化されるため大幅に軽減 |
| Excel 分裂による作業ロス | 1 人月 10〜30 時間 × 30 人 × 36 ヶ月 | 同時編集とバージョン履歴で構造的に発生しない |
| 権限事故リスク | 退職者経由のデータ流出リスク常時存在 | RBAC で 1 操作で全権限剥奪可能 |
※ Lark の日本円定価は公式料金ページで随時更新されているため、本記事では USD ベースの参考価格と「公式ページ参照」を併記しています。30 名規模での実際の見積もりは、運用設計と組み合わせて当社の無料相談で具体的な数値をお出ししています。
補助金を活用する場合の選択肢は、2026 年度デジタル化・AI 導入補助金で Lark を導入する完全ガイドに詳述しました。最大 450 万円・補助率 1/2(条件次第で 4/5)を活用すれば、Lark Pro への移行 + 導入支援費を補助金スキームに乗せられます。Excel からの脱却を補助金で後押しする組み合わせは、3 年 TCO で大きな差を生みます。
脱 Excel が頓挫する 5 つの典型失敗パターン
結論として、当社が支援前に「過去に脱 Excel を試みて頓挫した」という相談を受けるとき、ほぼ全件が以下 5 つのいずれかに該当します。1 つずつ回避策を提示します。
失敗① 全部を一気に移行しようとする
「200 ファイル全部を 3 ヶ月で移行する」という計画は必ず失敗します。回避策は PICK フレームワークで Pri-A1〜A2 の 5 ファイルだけに最初の 30 日を集中させること。全社的な効果を最短で出し、現場の納得感を作ってから次フェーズに移ります。
失敗② 関数互換性を確認しないまま設計に入る
「Excel と全く同じ書き方が通用するはず」と思い込んで設計を始め、移行終盤で「INDEX/MATCH が動かない」「QUERY 関数の代替がわからない」と詰まるパターン。回避策は Day 4〜5 の Excel クリーニングと同時に、現場で使われている関数を全件抜き出し、本記事の対応表で置き換え可否を事前確認すること。
失敗③ 権限設計を後回しにする
「とりあえずデータを移行してから権限は後で」と進めると、給与・原価・取引先情報などの機密データが社内全体に見える状態で運用が始まってしまいます。回避策は Day 11 の権限設計を必須マイルストーンに置くこと。テーブル単位 + フィールド単位 + レコード単位の 3 階層で「誰に何を見せるか」を Week 2 中に確定させます。
失敗④ 既存 Excel を併用させ続ける
「現場が慣れるまで Excel と Lark Base を両方更新してください」とアナウンスすると、9 割の現場担当者は使い慣れた Excel だけを更新し、Lark Base 側は「空っぽのデータベース」になります。回避策は Week 3 末(Day 21)に Excel を Read-only 化し、Lark Base のみが「正」になる状態を経営層から明示すること。並行運用は Week 2 の 5 日間だけに限定します。
失敗⑤ 経営層のコミットがないまま現場主導で進める
情シスや若手担当者が単独で進めると、Day 14 と Day 30 の「経営層レビュー + 全社アナウンス」を作れません。結果として現場の年配社員が「使い慣れた Excel に戻る」選択をして、3 ヶ月後には元の運用に戻る。回避策は Day 1 の段階で経営層を巻き込み、Day 14 と Day 30 のアナウンスを社長 or 役員名義で出すこと。意思決定者の名前が出ることで、現場の移行スピードが 2〜3 倍変わります。
関連: Excel と並んで中小企業の選択肢に上がる Microsoft Teams についての構造比較は、Lark vs Microsoft Teams 比較で扱っています。Excel + Teams の組み合わせから Lark に切り替える検討の場合は、こちらも参考になります。
自社 EC 事業で 240h → 24h(-90%) を実現した実証経験
結論として、当社(アウフヘーベンジャパン株式会社)は自社で運営する EC 事業の業務基幹を Excel 5 ファイル + 別チャットツール 4 本 + 共有フォルダの分散構成から Lark Base 中心へ集約し、月 240 時間を 24 時間(-90%)に圧縮することを実証しました。本節ではその移行の中身を、本記事の 30 日プログラムと PICK フレームワークに対応させて共有します。
Before — 5 つの Excel と 4 つの分散ツール
移行前は、受注管理 Excel・在庫管理 Excel・発送管理 Excel・問合せ管理 Excel・売上集計 Excel の 5 ファイルを、メール添付と共有フォルダで運用していました。チャットは別ツール、ビデオ会議は別ツール、カレンダーはまた別、ファイル共有はさらに別、という 4 本の SaaS を併用しており、「どこに何があるか」が運用者の頭の中だけにある状態でした。月の累計工数は受注処理・在庫更新・問合せ対応・売上集計を合わせて約 240 時間に達していました。
移行手順 — 本記事の PICK フレームワークと同じ判定
PICK フレームワークに当てはめると、5 つの Excel のうち受注管理(全社・日次)と問合せ管理(全社・日次)が Pri-A1、在庫(全社・週次)・売上集計(全社・週次)が Pri-A2、発送管理(部署・日次)が Pri-A2 という分布でした。30 日プログラムの順番でいうと、まず受注管理を Day 8 に移行し、Day 15〜20 で残り 4 ファイルを順次移行。Day 18 でチャット通知連携(「新規注文が入ったら担当者に Lark Chat 通知」「在庫が閾値を下回ったら発注担当に通知」)を設定しました。
After — Lark 1 本でカバー、月 24 時間
移行完了後の運用工数は月 24 時間(-90%)です。削減できた 216 時間の内訳は、(1)Excel 分裂修復(月 60 時間)→ ゼロ、(2)複数ツール間の情報転記(月 80 時間)→ Lark 内一体運用でゼロ、(3)問合せ対応の検索時間(月 40 時間)→ Lark Base の参照ビューで 5 時間、(4)月次売上集計の手作業(月 30 時間)→ ダッシュボードで 1 時間、(5)その他(月 30 時間)→ 18 時間。ここまでの過程で得た知見が、本記事の 30 日プログラムと PICK フレームワークの基盤になっています。当社は2026 年 6 月に Lark Partner CSM Certificate の取得を予定しており、Lark の正式認定を経て中小企業の Lark 集約支援を本格的に提供していきます。
FAQ — 脱 Excel に関するよくある質問
Q1. Excel の既存ファイルをそのまま Lark Base に取り込めますか?
A. はい、.xlsx と .csv の 2 形式は Lark Base に直接インポートできます(Lark 公式ヘルプ)。ただし、既存の Base に追加インポートする操作は一部制限があり、最初の設計段階で Excel 側のカラム構成を整理しておくことが定着率を上げる鍵です。具体的には、結合セルの解除・1 行目を必ずヘッダーにする・空行の削除・データ型の統一(日付/数値/テキスト)の 4 点を移行前に Excel 側で実施します。
Q2. VLOOKUP や SUMIFS のような複雑な関数は Lark Base で再現できますか?
A. はい、ほとんどの Excel 関数は Lark Base の参照(Lookup)フィールド・計算フィールド・ロールアップフィールドの組み合わせで再現できます。本記事の関数対応表で 30 個の主要関数の置き換え方法を網羅しています。INDEX/MATCH や QUERY のような複雑な参照は、Lark Base 側では「テーブル間の双方向リンク」という概念で書き換えることで、Excel より直感的にデータ参照が組めます。
Q3. 30 日で本当に Excel をやめられますか?
A. 全社の Excel を 30 日で全廃するのは現実的ではありません。本記事の 30 日プログラムが目指すのは、「業務インパクトが大きい上位 5 ファイルを Lark Base に移行し、運用が回り始める状態」を 30 日で作ることです。当社の自社 EC 事業では、5 つの主要 Excel と 4 つの分散ツールを Lark に集約することで月 240 時間 → 24 時間(-90%)に圧縮しましたが、最初の運用安定までに約 30 日、残りの周辺ファイルを含めた完全移行までに 90 日を要しました。
Q4. VBA マクロは Lark Base に引き継げますか?
A. VBA マクロを「そのまま」引き継ぐことはできません。ただし、Excel VBA で実装されていた処理の多くは、Lark Base の「ワークフロー(自動化)」機能で再構築できます。たとえば「金額が一定以上になったら上長に通知」「日付が締切を過ぎたらステータスを変更」「フォーム入力時に他テーブルへ転記」といった典型処理は、ノーコードのトリガー条件で設定できます。マクロ依存度が極めて高い処理(高度な財務シミュレーション等)は、移行コストとリターンを比較してから判断するのが現実的です。
Q5. Excel をやめると現場の年配社員が反発しませんか?
A. これは中小企業 DX で最も多い懸念の 1 つです。当社が伴走支援するときに必ずやるのは、(1)既存 Excel の「グリッドビュー」を Lark Base 上で再現してから移行すること、(2)Excel 入力に慣れた担当者向けに「フォームビュー」を別途用意して、グリッド操作を強制しない設計にすること、(3)1 ファイル目の移行は経営層を巻き込んで 1 週間集中支援することの 3 点です。年配社員の反発の本質は「画面が変わる」ことよりも「やり方が変わる」ことへの不安なので、見た目を Excel に近づけた上で段階移行すれば、3 週間以内にほぼ全員が違和感なく使えるようになります。
次の 60 分で何ができるか
Excel は強力な個人ツールですが、組織の業務基幹に置き続けると属人化・分裂・権限不全の 3 つの構造リスクから逃れられません。Lark Base は、Excel ユーザーの違和感を最小限に抑えながら、組織全体の業務 OS として一気にカバーできる選択肢です。本記事の 30 日プログラムは、当社が自社 EC 事業で実証し、複数の中小企業の伴走支援で標準化してきた手順を凝縮したものです。関数対応表 30 個 + PICK フレームワーク + Day 1〜30 の週次マイルストーン + 5 つの失敗パターン回避策を組み合わせれば、最初の 5 ファイルの移行は 30 日で十分可能です。
当社は群馬・前橋を拠点に、中小企業の Lark 導入と DX 推進の伴走支援を行っているコンサルティング会社です。アウフヘーベンジャパン株式会社という社名は、ヘーゲルの弁証法における Aufheben(止揚)の概念から取っています。対立する要素(既存業務 / 新しいデジタルツール)を、より高次の業務 OS へと統合していく、という意味合いです。本日の 60 分の無料相談でできることは 3 つ。① 自社の Excel ファイル群を PICK フレームワークで仮分類する、② Lark Base での Pri-A1 移行イメージを共有する、③ 30 日プログラムを自社の規模・体制に合わせて調整する。検討初期段階のお問い合わせも歓迎します。
📞 60 分の無料相談で、自社の Excel 棚卸し + 30 日プログラムを設計する
PICK 判定シート・Week 1 棚卸しテンプレ・Lark Base 設計テンプレの 3 点セットを 60 分の無料相談で配布しています。検討初期段階のお問い合わせも歓迎します。費用はかかりません。
関連ページ: Lark 導入支援 / DX コンサルティング / Lark Base 業務システム構築 / 料金プラン / 会社案内
※ 本サイトは アウフヘーベンジャパン株式会社 が運営しています。Lark は ByteDance Ltd. の登録商標です。Microsoft、Microsoft 365、Microsoft Excel、Microsoft Teams は Microsoft Corporation の登録商標です。kintone はサイボウズ株式会社の登録商標です。Notion は Notion Labs, Inc. の登録商標、Airtable は Formagrid, Inc. の登録商標、Slack は Slack Technologies, LLC の登録商標です。当社は Lark の導入を支援する独立した第三者コンサルティング事業者であり、ByteDance 社の公式機関ではありません。本記事に記載した数値・プラン情報は執筆時点(2026 年 5 月)の公開情報に基づいています。最新の正確な情報は必ずLark 公式料金ページとLark プラン概要ヘルプでご確認ください。Excel エラー率に関する数値は Raymond R. Panko 教授の論文 (arXiv:0802.3457) 、中小企業 DX 関連の数値は 中小企業庁 2024 年版中小企業白書 を一次情報として参照しました。
