年末調整2026 電子化ガイド
年末調整の電子化2026 — Lark × 労務SaaS で紙配布・回収・問い合わせ地獄から抜ける中小企業の実装ガイド
年末調整の電子化に踏み切るなら、2026年(令和8年分)が最適なタイミングです。「紙を配って、書き方を説明して、催促して、間違いを差し戻して、また催促する」——毎年11月に必ずやってくる年末調整の紙運用に、今年も同じ消耗を繰り返しますか。しかも 2026年(令和8年分)の年末調整は、基礎控除・給与所得控除の上乗せが月々の源泉徴収に反映されないまま12月の年末調整で一括精算されるため、例年より「間違えられない」年です。本記事は、国税庁の年末調整電子化ページなどの一次情報をもとに、労務SaaS(SmartHR / freee人事労務 / マネーフォワード クラウド年末調整)で「書類」を電子化し、Lark で「回収・督促・問い合わせ・進捗共有」を仕組み化する——中小企業がこの秋に間に合う現実的な段取りを、9月からの逆算スケジュール付きで解説します。
所要 13 分 / 中小企業の経営者・総務/労務担当者向け / 2026 年 8 月 22 日公開
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年末調整の電子化で失敗する会社の共通点は、ツールを入れることではなく「回収・督促・問い合わせ対応」という人の動きを設計しないまま始めることです。当社は群馬・前橋で自社の物販事業を Lark に集約し、月240時間の定型業務を24時間(90%削減)まで圧縮した実体験から、貴社の人数・給与体制に合わせた「労務SaaS×Lark の役割分担」と「11月に回収が止まらない進捗設計」を診断メモ(Lark Docs)にして60分の無料相談でお渡しします。
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この記事でわかること
- 2026年(令和8年分)の年末調整の変更点 — 基礎控除・給与所得控除の上乗せ、特定親族特別控除、扶養親族の所得要件緩和が実務に与える影響
- 紙の年末調整が消耗する構造 — 配布・記入ミス・回収督促・問い合わせ・保管という5つの詰まりどころ
- 電子化の全体像 — 国税庁の年調ソフト・マイナポータル連携・労務SaaSそれぞれの守備範囲
- 労務SaaS 3つの選択肢 — SmartHR / freee人事労務 / マネーフォワード クラウド年末調整の特徴と選び方
- SaaSだけでは残る穴を Lark で塞ぐ方法 — 回収進捗トラッカー・自動リマインド・FAQ対応・書き方ガイドの実装パターンと、9月から間に合う逆算スケジュール
目次
- 結論 — 2026年の年末調整は「例年通り」が通用しない。電子化は今年やるのが最も割に合う
- 令和8年分 年末調整の変更点 — 何がどう変わるのか
- 紙の年末調整が消耗する5つの詰まりどころ — ペーパーレス化で消える業務はどこか
- 電子化の全体像 — 国税庁の年調ソフト・マイナポータル連携・労務SaaSの守備範囲
- 労務SaaS 3つの選択肢 — SmartHR / freee人事労務 / マネーフォワード クラウド年末調整
- SaaSだけでは残る穴 — 回収・督促・問い合わせを Lark で仕組み化・効率化する
- 9月から間に合う逆算スケジュール — 選定から精算・保管まで
- 当社の実例 — 「回収と督促の仕組み化」が効くことを自社で実証した話
- よくある質問(FAQ)
- まとめ — 書類の電子化と「人の動きの電子化」はセットで初めて楽になる
結論 — 2026年の年末調整は「例年通り」が通用しない。電子化は今年やるのが最も割に合う
結論を先に述べます。2026年(令和8年分)の年末調整は、税制改正の「上乗せ分」が月々の給与の源泉徴収に反映されないまま、12月の年末調整で一括精算される構造になっています(詳細は次章)。つまり、例年に比べて年末調整で動く金額と確認項目が増え、紙とExcelの手作業運用では記入ミス・差し戻し・問い合わせが膨らみやすい年です。だからこそ、「いつかやろう」と先送りしてきた年末調整の電子化を、今年の9〜10月に実行する価値が例年より高い——これが本記事の結論です。
そしてもう1つの結論は、電子化は「書類のデジタル化」と「人の動きの仕組み化」の2階建てで考えるということです。労務SaaSを導入すれば控除申告書の入力・計算・帳票作成は劇的に楽になります。実際、マネーフォワード クラウド年末調整は年末調整業務にかかる時間を約63%削減できると公式に謳っています(マネーフォワード クラウド年末調整 公式、2026年8月22日確認)。しかし現場で本当に消耗するのは、「まだ出していない人への督促」「書き方がわからないという問い合わせ」「進捗が見えない不安」——つまりSaaSの外側にある人の動きです。ここを Lark のチャット・Base・ドキュメントで仕組み化すると、担当者の心理的負担まで含めて年末調整が「回る」ようになります。当社が自社実証で9割の業務時間削減を実現できたのも、この「人の動きの仕組み化」が本体だったからです(月240時間→24時間の自社実証レポート)。
令和8年分 年末調整の変更点 — 何がどう変わるのか
ひと言でまとめると、令和8年分(2026年12月の年末調整)は「基礎控除・給与所得控除のさらなる上乗せ」「特定親族特別控除の定着」「扶養親族の所得要件緩和」という3つの変更が重なり、確認すべき項目が例年より多い年です。主な変更点を整理します(2026年8月22日時点の公表情報に基づく。最終的な実務は国税庁の年末調整ページと顧問税理士・社労士にご確認ください)。
① 基礎控除・給与所得控除の上乗せ — 月々の源泉徴収には反映されず、12月に一括精算
令和7年度税制改正で基礎控除と給与所得控除の最低保障額が引き上げられ、いわゆる「年収の壁」が拡大したのは既報の通りですが、令和8年分ではさらに上乗せが行われ、所得階層に応じた特例加算を含めると基礎控除は最大104万円になります。ここで実務上重要なのは、改正を反映した源泉徴収税額表の適用は令和9年1月以降の給与からであり、令和8年中の月々の源泉徴収にはこの上乗せ分が織り込まれていないという点です(出典: 国税庁 令和8年分 源泉徴収税額表)。つまり差額は12月の年末調整で一括精算され、多くの従業員にとって還付額が動く年になります。「精算漏れ・計算ミスが例年より許されない」——これが2026年の年末調整の最大の特徴です。
② 特定親族特別控除 — 19歳以上23歳未満の子がいる家庭は申告書が1枚増える
大学生年代(19歳以上23歳未満)の親族を扶養する納税者向けに創設された特定親族特別控除は、令和7年分から適用が始まった新しい控除です。生計を一にする19歳以上23歳未満の親族で合計所得金額123万円以下(給与収入のみなら188万円以下)が対象で、親族の所得に応じて3万円〜63万円が段階的に控除されます(出典: 国税庁 タックスアンサー No.1177 特定親族特別控除)。対象家庭では「給与所得者の特定親族特別控除申告書」の提出が必要になり、紙運用なら配布・回収する書類がもう1枚増えることを意味します。アルバイト収入のある大学生の子を持つ従業員には、収入見込みの確認という新しい問い合わせ対応も発生します。
③ 扶養親族等の所得要件の緩和 — 「去年は対象外だった家族」が対象になるケースが増える
令和8年分以後、扶養親族・同一生計配偶者の合計所得要件は62万円以下(給与収入のみなら136万円以下)に緩和される見込みです(2026年8月時点の公表情報)。昨年までの基準では扶養に入れなかったパート収入の家族が対象になるケースが出てくるため、「うちの場合はどうなるのか」という従業員からの質問が増えることが確実です。担当者が一人ひとりに口頭で答えていたら、それだけで数日が溶けます。後述する「FAQのドキュメント化と共有」が効く典型的なポイントです。
| 変更点 | 内容(令和8年分) | 実務への影響 |
|---|---|---|
| 基礎控除・給与所得控除の上乗せ | 特例加算を含め基礎控除は最大104万円。改正後の税額表適用は令和9年1月から | 12月の年末調整で一括精算。還付差額が動き、ミスが許されない |
| 特定親族特別控除 | 19歳以上23歳未満・合計所得123万円以下(給与のみ188万円以下)で3万〜63万円を控除 | 対象家庭は申告書が1枚増える。大学生の子の収入確認の問い合わせ増 |
| 扶養親族等の所得要件緩和 | 合計所得62万円以下(給与のみ136万円以下)へ緩和見込み | 「扶養に入れるか」の個別質問が増加。記載誤りの差し戻しリスク |
出典: 国税庁 令和8年分 源泉徴収税額表 / 国税庁 タックスアンサー No.1177(いずれも2026年8月22日確認)。制度の詳細・最新情報は国税庁の公表資料をご確認ください。なお、パート従業員の社会保険適用拡大(いわゆる106万円の壁の撤廃)も2026年10月に控えており、扶養まわりの従業員対応は税・社保の両面で増えます。社保側の整理は 106万円の壁撤廃と中小企業の対応 にまとめています。
紙の年末調整が消耗する5つの詰まりどころ — ペーパーレス化で消える業務はどこか
紙の年末調整の本当の問題は「書類が紙であること」自体ではなく、紙であるせいで「配布→記入→回収→検算→差し戻し」の各工程に人手の追いかけ作業が発生することです。従業員45名の会社で総務担当が1人——という中小企業の典型的な体制を想像してください。11月、その1人のデスクには記入済み・未記入・差し戻し中の紙が積み上がり、通常業務の合間に「あの人まだ出してない」「この書き方で合ってますか」への対応が割り込み続けます。仮に1人あたりの配布・回収・検算・差し戻し対応を平均20〜30分とすると、45名で約15〜22時間。問い合わせ対応と督促を足せば、担当者の数日分の労働時間が年末調整だけに消えます(当社の伴走支援経験に基づく目安試算です)。詰まりどころを5つに分解します。
① 配布と説明のコスト
扶養控除等申告書・保険料控除申告書・基礎控除申告書——毎年様式が微妙に変わる紙を人数分印刷し、記入例を作って配る。今年は特定親族特別控除申告書が加わる家庭もあり、説明資料の作り直しが必要です。
② 記入ミスと差し戻し
手書きの書類は、所得見積額の計算違い・記入漏れ・証明書の添付漏れが必ず起きます。1件の差し戻しには「連絡→再記入→再提出→再チェック」という往復が発生し、担当者の時間を細切れに奪います。
③ 回収の督促
提出期限を過ぎても出さない人は毎年一定数います。誰が出していて誰が出していないかを紙の山から突き合わせ、個別に声をかけて回る——この「進捗管理と督促」が担当者の最大のストレスです。
④ 問い合わせ対応
「妻のパート収入が増えたが扶養のままでいいか」「大学生の息子のバイト代はどう書くのか」。同じ質問に何度も口頭で答え、そのたびに手が止まります。制度変更が重なる2026年は、問い合わせが確実に増えます。
⑤ 保管とその後
回収した紙は法定期間の保管が必要で、税務調査や再発行依頼のたびにキャビネットを掘り返すことになります。
この5つのうち、労務SaaSによるペーパーレス化が直接解決するのは主に①②⑤(書類の作成・検算・保管)です。③④——督促と問い合わせは、ツールを入れても「人の動きの設計」をしなければ残り続けます。ここが本記事の後半の主題です。なお、紙運用からの脱却が進まない構造的な原因については ペーパーレス化が失敗する5パターン でも詳しく扱っています。
電子化の全体像 — 国税庁の年調ソフト・マイナポータル連携・労務SaaSの守備範囲
年末調整の電子化には「国税庁の無料ルート」と「労務SaaSルート」の2つの道があり、中小企業が業務全体を楽にしたいなら後者が本命です。まず全体像を整理します。
国税庁ルート — 年調ソフトとマイナポータル連携
国税庁は年末調整手続の電子化を推進しており、控除申告書を電子データで作成できる「年末調整控除申告書作成用ソフトウェア(年調ソフト)」をパソコン(Windows/Mac)・スマートフォン(Android/iOS)向けに提供しています(出典: 国税庁 年末調整手続の電子化ページ、2026年8月22日確認)。またマイナポータル連携を使うと、生命保険料控除証明書などの控除証明書データを一括取得して申告書に自動反映でき、「証明書ハガキをなくした・転記を間違えた」という毎年の定番トラブルを構造的に減らせます。コストをかけずに電子化の第一歩を踏み出せるのがこのルートの利点ですが、給与計算システムとのデータ連携や提出状況の進捗管理は自社で設計する必要があり、「集めて計算して帳票を作る」業務全体の自動化には届きません。
労務SaaSルート — 入力から計算・帳票・電子申告までを一気通貫
SmartHR・freee人事労務・マネーフォワード クラウド年末調整に代表される労務SaaSは、従業員がスマホでアンケートに答えるだけで控除申告書が完成し、担当者側は進捗確認・検算・源泉徴収票などの帳票作成・電子申告までを1つの画面で完結させる設計です。紙の「配布→記入→回収→検算」の往復そのものを消せるため、担当者・従業員双方の負担が最も小さくなります。月額費用はかかりますが、担当者の残業時間と差し戻しのストレスを考えれば、多くの中小企業で十分に元が取れる投資です。次章で3つのサービスの特徴を見ていきます。
労務SaaS 3つの選択肢 — SmartHR / freee人事労務 / マネーフォワード クラウド年末調整
先に要点を言うと、3サービスとも「アンケート形式の入力→自動計算→帳票作成」という中核は共通しており、選定の決め手は「いま使っている給与計算・会計ソフトとの連携」です。まず一覧で比較し、それぞれの特徴を公式情報から整理します(いずれも2026年8月22日に公式サイトで確認。料金は人数・プランで変わるため各公式ページをご確認ください)。
| サービス | 入力方式 | 特徴的な機能 | 向いている会社 |
|---|---|---|---|
| SmartHR | アンケート形式(最短3分・スマホアプリ対応) | 保険料控除証明書をスマホ撮影→AIが自動入力 | パート・現場スタッフが多く、従業員の入力ハードルを最優先したい会社 |
| freee人事労務 | アンケート形式 | 源泉徴収票・給与支払報告書・法定調書まで自動作成、電子申告対応 | freee会計を使っており、労務から経理まで一気通貫にしたい会社 |
| マネーフォワード クラウド年末調整 |
Web上でアンケート回答 | 進捗一覧の管理画面、既存給与ソフト連携、英語表記。業務時間を約63%削減(公式) | マネーフォワード クラウド給与・会計の利用会社、進捗管理を重視する会社 |
SmartHR — アンケート形式と AI 入力で従業員体験を最優先
SmartHR の年末調整機能は、「はい」「いいえ」で答えるアンケート形式で従業員が最短3分で書類を提出でき、保険料控除証明書はスマホで撮影するだけで AI が自動でデータ入力する仕組みを備えています。従業員側の入力ハードルを徹底的に下げる設計で、ITが得意でないパート・現場スタッフが多い会社に向きます。なお SmartHR の2026年(令和8年)版の年末調整機能は秋頃の公開が案内されており、最新の対応状況は公式ヘルプで確認できます。
freee人事労務 — freee会計と一体で「労務から経理まで」つなぐ
freee人事労務は、アンケート形式の回答から扶養控除等申告書・保険料控除申告書などを自動作成し、源泉徴収票・給与支払報告書・法定調書までの帳票作成と電子申告に対応しています。freee会計を既に使っている会社なら、給与・年末調整・会計データが一気通貫でつながるのが最大の強みです。freee・マネーフォワードと Lark の連携パターンは 経理SaaS × Lark 連携ガイド で詳しく解説しています。
マネーフォワード クラウド年末調整 — 進捗管理画面と約63%の時間削減
マネーフォワード クラウド年末調整は、書類の配布から入力・回収・提出までを Web 上で完結させ、年末調整業務にかかる時間を約63%削減できると公式に謳っています。管理画面で従業員ごとの進捗状況を一覧管理できる点が特徴で、既存の給与計算ソフトとの連携や英語表記の切り替えにも対応します。マネーフォワード クラウド給与・会計を使っている会社の第一候補です。
どのSaaSを選んでも共通して言えるのは、「SaaSの管理画面を毎日開いて進捗を見る」のは担当者だけだということです。経営者・上長・従業員本人を巻き込んだ「全員に見える進捗」と「自動で飛ぶリマインド」は、日常的に全員が開くツール——つまりチャット基盤の側に作るのが定石です。次章で Lark での実装を見ていきます。
労務SaaS選定と Lark の役割分担、自社の場合の最適解を知りたい方へ
「給与計算はいまの顧問先・ソフトのまま変えたくない」「パートが多くてスマホ入力が不安」——条件は会社ごとに違います。60分の無料相談で、貴社の給与体制・人数・ITリテラシーに合わせた電子化の段取りを診断メモにしてお渡しします。今年に間に合わせるなら選定は9月中がラインです。
診断のみのご利用も歓迎です。その場での売り込み・強引な営業は行いません。
SaaSだけでは残る穴 — 回収・督促・問い合わせを Lark で仕組み化・効率化する
この章の要点は1つです。Lark の役割は「税金の計算」ではなく、SaaSの外側に残る「人の動き」——アナウンス・回収進捗・督促・問い合わせ対応——を自動で回る仕組みに変えることです。当社が推奨する実装は次の4点セットです。
① 年末調整の専用チャット+書き方ガイドの Docs 化
年末調整の案内をメールや紙の回覧で流すと、読まれたかどうかが分かりません。Lark なら「年末調整2026」の専用グループチャットを作り、アナウンスをピン留めして固定します。あわせてスクリーンショット付きの「書き方ガイド」を Lark Docs で1本作成し、「妻のパート収入が136万円以下なら扶養の欄はこう書く」「大学生の子のバイト収入はここに見込み額を書く」といった今年増える質問への回答を先回りして載せておく。問い合わせが来たら口頭で答えず、Docs の該当箇所のリンクを返す——これだけで同じ説明の繰り返しが消えます。
② Lark Base で回収進捗トラッカーを作る
従業員名を並べた Lark Base のテーブルに「SaaS入力」「証明書アップロード」「担当者確認」のステータス列を作れば、誰がどこで止まっているかが一目で分かる回収ダッシュボードになります。ステータス別の件数をダッシュボードで可視化すれば、経営者も「あと何人か」を聞かずに把握できます。50名規模でもテーブルは50行——Lark の無料プラン(Starter、20名まで)でも Base は1テーブル2,000行まで扱えるので、容量の心配は不要です(出典: Lark 公式プランページ、2026年8月22日確認)。
③ 自動リマインドで「督促する心理的負担」をなくす
担当者が消耗する最大の理由は、未提出者に「まだですか」と個別に言い続けることです。Lark Base の自動化機能で「期限3日前になってもステータスが未提出の人に自動でリマインドメッセージを送る」ワークフローを組めば、督促は人ではなくシステムの仕事になります。言われる側も「システムからの定期通知」なら角が立ちません。自動化は無料プランでも月1,000回まで実行でき、50名規模の年末調整リマインドには十分な回数です。承認フローを組み合わせた応用は Lark 承認ワークフロー実装ガイド を参照してください。
④ AnyGen で「年末調整FAQボット」を作る(余力があれば)
書き方ガイドの Docs をナレッジとして読み込ませた社内AIボットを Lark AnyGen で作っておくと、従業員の質問にチャットで即答できます。「扶養 いくらまで」のような質問の一次回答をAIに任せ、担当者は例外ケースだけ対応する体制です。作り方は AnyGen 社内AIエージェント実装ガイド で手順を公開しています。
この4点はすべて、労務SaaSを置き換えるのではなく補完する実装です。税額計算・帳票・電子申告はSaaSに任せ、Lark は「全員が毎日開く場所」として進捗と情報を一元化する——この役割分担が、中小企業にとって最も費用対効果の高い年末調整の電子化です。
9月から間に合う逆算スケジュール — 選定から精算・保管まで
結論として、2026年の年末調整に電子化を間に合わせるデッドラインは「9月中のツール選定・10月中の社内準備」です。12月から逆算した現実的なスケジュールを示します。
| 時期 | やること | ポイント |
|---|---|---|
| 9月 | 労務SaaSの選定・契約。給与計算ソフト/顧問税理士・社労士との連携方法を確認 | 各SaaSの令和8年版機能は秋頃に順次公開。選定を10月に持ち越すと初年度は間に合わないと考える |
| 10月 | 従業員データ登録・SaaS初期設定。Lark に専用チャット・書き方ガイド Docs・回収トラッカー Base を準備。従業員へ事前アナウンス | マイナポータル連携を使う場合は従業員側の準備(マイナンバーカード・連携設定)に時間がかかるため早めに案内 |
| 11月 | 従業員の入力期間。Base トラッカーで進捗管理、自動リマインドで督促、FAQ対応は Docs リンクで返す | 期限は「給与締めの2週間前」など余裕を持って設定。差し戻し往復の時間を織り込む |
| 12月 | 担当者確認・税額計算・12月給与(または1月給与)で精算。今年は上乗せ分の一括精算があるため検算を丁寧に | 還付額が例年と違うことへの従業員向け説明文をあらかじめ用意しチャットで一斉配信 |
| 1月 | 源泉徴収票の交付、法定調書・給与支払報告書の提出(電子申告)。データの保管ルール確定 | 電子帳簿保存法の要件整理は 電帳法2026対応ガイド を参照 |
なお、10月には最低賃金の改定と社会保険の適用拡大も重なり、秋の労務イベントは渋滞します。年末調整の電子化を単発で終わらせず、労務・バックオフィス全体のDXの入口と位置づけるなら、全体の進め方は 中小企業DX 90日ロードマップ が参考になります。
当社の実例 — 「回収と督促の仕組み化」が効くことを自社で実証した話
「書類を集めて・確認して・催促する」型の業務は、仕組み化したときの削減効果が最も大きい業務——これが当社の実感です。当社アウフヘーベンジャパンは群馬・前橋で自社のEC事業を運営しており、受発注・在庫・顧客対応・経理といった定型業務を Lark に集約した結果、月240時間かかっていた定型業務を24時間まで、90%削減できました。この数字は、集約前に洗い出した定型業務の作業時間を集約後に同じ項目で計測し直した自社実測値です(実証の詳細)。
このとき最も効いたのが、まさに年末調整と同じ構造を持つ「追いかけ業務」の自動化です。ECの現場では「仕入先からの回答待ち」「出荷確認の突き合わせ」など、誰かの提出・回答を待って督促する業務が無数にあります。これを Lark Base のステータス管理と自動リマインドに置き換えたことで、「確認して・催促して・転記する」という人の追いかけ作業がほぼ消えました。年末調整の回収管理は、この横展開そのものです。一度「回収トラッカー+自動リマインド」の型を作れば、年末調整だけでなく、資格更新の書類回収・健康診断の日程調整・棚卸の報告収集など、社内のあらゆる「集める業務」に使い回せます。年末調整はその最初の題材として、全員が関わるぶん効果を実感しやすいテーマです。
よくある質問(FAQ)
Q1. 2026年(令和8年分)の年末調整は何がそんなに特別なのですか?
A. 基礎控除・給与所得控除の上乗せ分が月々の源泉徴収に反映されておらず、12月の年末調整で一括精算されるためです(国税庁 令和8年分 源泉徴収税額表参照)。さらに特定親族特別控除の申告書追加、扶養親族の所得要件緩和も重なり、確認項目と従業員からの質問が例年より増える年です。
Q2. 労務SaaSを入れれば年末調整は全部自動になりますか?
A. 書類の入力・計算・帳票作成は大幅に自動化されますが、「未提出者への督促」「書き方の問い合わせ対応」「進捗の共有」は残ります。ここを放置するとSaaSを入れても担当者の消耗は減りません。Lark のチャット・Base・自動リマインドで「人の動き」側を仕組み化するのが本記事の提案です。
Q3. 国税庁の年調ソフトと労務SaaS、どちらを使うべきですか?
A. コストをかけずに始めるなら国税庁の年調ソフト+マイナポータル連携、業務全体を楽にしたいなら労務SaaSが本命です。年調ソフトは控除申告書の電子作成には対応しますが、給与計算との連携や進捗管理は自社設計になります。従業員数が20名を超え、毎年の担当者負担が重いなら労務SaaSの投資対効果が出やすいです。
Q4. Lark だけで年末調整を完結できますか?
A. できません。税額計算・源泉徴収票などの帳票作成・電子申告は労務SaaSまたは給与計算ソフトの領域です。Lark が担うのは、アナウンス・書き方ガイド・回収進捗の可視化・自動督促・FAQ対応という「人の動き」の部分です。この役割分担を守るのが、遠回りに見えて最短の電子化です。
Q5. 20名の会社だと、年末調整電子化のコストはどれくらいかかりますか?
A. Lark は20名まで無料の Starter プランで回収トラッカー・チャット・Docs・自動リマインドまで使えます(Lark 公式プランページ、2026年8月22日確認)。かかるのは労務SaaSの利用料のみで、料金は人数・プラン構成により異なるため各公式ページでの見積もりをおすすめします。マネーフォワードは年末調整業務の時間を約63%削減と公式に示しており、担当者の残業時間と比べれば回収しやすい投資です。
まとめ — 書類の電子化と「人の動きの電子化」はセットで初めて楽になる
本記事の要点を整理します。2026年(令和8年分)の年末調整は、控除の上乗せ分が12月に一括精算される「間違えられない年」であり、紙運用のまま迎えるリスクが例年より高い。だからこそ、9月にツールを選定し10月に準備を終える逆算で、今年こそ電子化に踏み切る価値があります。
そして電子化の設計は2階建てです。1階=書類の電子化は労務SaaS(SmartHR / freee人事労務 / マネーフォワード クラウド年末調整)に任せる。2階=回収・督促・問い合わせという「人の動き」は、全員が毎日開く Lark の側に、専用チャット・書き方ガイド Docs・回収トラッカー Base・自動リマインドとして実装する。この役割分担ができたとき、年末調整は「毎年の消耗戦」から「仕組みが回すルーチン」に変わり、担当者の残業だけでなく会社全体の業務効率化につながります。さらに、ここで作った「集める業務」の型は年末調整以外にも使い回せる——それが、年末調整を入口にバックオフィス全体を変えていく最初の一歩です。当社の Lark 導入支援・Lark Base 業務システム構築・DXコンサルティング では、この設計と実装を伴走で支援しています。
仕組みを変える。会社を変える。
今年の年末調整、「督促と問い合わせに追われない仕組み」を一緒に作りませんか
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本記事は税務の一般的な情報提供を目的としたもので、個別の税務判断は税理士等の専門家にご相談ください。記載の制度・仕様・料金は 2026 年 8 月 22 日時点で国税庁・各公式サイトにて確認した情報です。制度・ツールの仕様は変更される可能性があるため、最新の情報は各公式ページをご確認ください。