「106万円の壁」撤廃・社会保険の適用拡大2026 — 中小企業がパート社保コスト増に今から備える労務対応をLarkで実装するガイド

社会保険の適用拡大 / パート社保コスト対応 / 中小企業の労務DX

目次

「106万円の壁」撤廃・社会保険の適用拡大2026 — 中小企業がパート社保コスト増に今から備える労務対応を Lark で実装するガイド

「うちはパートが多いから、社会保険の適用拡大が進むと、これから負担がどれだけ増えるのか読めない」——2025年6月に成立した年金制度改正法により、いわゆる「106万円の壁」(賃金要件)は撤廃され、従業員50人超の企業だけを対象としてきた企業規模要件も2027年10月から段階的に撤廃されていきます。これは、これまで扶養の範囲で働いていたパート・アルバイトが順次厚生年金・健康保険の加入対象になり、事業主にも社会保険料の負担が発生することを意味します。本記事は、この制度変化を正確に整理したうえで、誰が新たに対象になるかの可視化・週20時間の勤怠/シフト管理・加入手続きLark の勤怠・Base・承認・Docs で仕組み化し、慌てずに備える手順を、厚生労働省の公式情報と自社の実証をもとに解説します。

所要 18 分 / パート・アルバイトを雇用する中小企業の経営者・労務担当者向け / 2026 年 8 月 8 日更新

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社会保険の適用拡大で本当に効くのは「制度を丸暗記すること」より、誰が・いつ・いくらの負担で対象になるかを先に見える化し、勤怠とシフトを仕組みで管理することです。当社は群馬・前橋で自社EC事業を Lark に集約し、専任エンジニアなしで 月240時間 → 24時間(90%削減)を実証しました。その運用ノウハウをもとに、御社のパート雇用状況・週20時間の線引き・社保シミュレーションを可視化し、Lark Base/勤怠のテンプレートを60分の無料相談でご提供します。

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この記事でわかること

  • 2025年成立の年金制度改正法で何が・いつ変わるのか — 106万円の壁(賃金要件)の撤廃、企業規模要件の段階撤廃、そして週20時間要件は維持されるという正確な線引き
  • 企業規模要件の撤廃スケジュール — 2027年10月の36人以上から2035年の完全撤廃までの段階(厚生労働省の公表資料に基づく)
  • 2026年10月に「今すぐ」効くもう一つの変化 — パート・有期雇用労働法の3つの改正(労働条件明示・説明義務)
  • 新たに社保対象になるパートの洗い出しと、事業主負担の概算試算、3年間の負担軽減特例の考え方
  • 週20時間の勤怠・シフト管理、社保対象シミュレーション、加入手続きを Lark の勤怠/Base/承認/Docs で実装する設計図
  • Lark は給与計算ソフトや社会保険の電子申請そのものではないという線引き — どこまでを Lark に載せ、どこから専用システムに任せるか

目次

  1. 結論 — 制度は段階的に効いてくる。今やるべきは「対象者の可視化」と「週20時間の管理」の仕組み化
  2. 何が・いつ変わるのか — 106万円の壁撤廃・企業規模要件の段階撤廃・週20時間は維持
  3. 自社にどう効くか — 新たに対象になるパートの洗い出しと事業主負担の試算
  4. 2026年10月に「今すぐ」効くもう一つの変化 — パート・有期雇用法の3改正
  5. Lark で組む社保対応の設計図 — 勤怠/Base/承認/Docs の役割分担
  6. 領域別の実装 — 週20時間の可視化/対象シミュレーション/加入手続き/説明資料
  7. 給与計算・電子申請システムとの線引き — Lark がやること/やらないこと
  8. コスト比較 — 労務ツールの積み上げ vs Lark 一本化と、3年間の負担軽減特例
  9. 自社事例 — 240h→24h の実証を労務業務へ応用する
  10. 施行に向けて90日で準備するロードマップ
  11. 社保対応特有のつまずきポイントと回避策
  12. よくある質問(FAQ)
  13. まとめ — 「制度に振り回される」から「仕組みで先回りする」へ

結論 — 制度は段階的に効いてくる。今やるべきは「対象者の可視化」と「週20時間の管理」の仕組み化

結論を先に述べます。社会保険の適用拡大への対応は、制度の施行日を待ってから慌てて動くものではなく、いまから「対象者の可視化」と「週20時間の労働時間・シフト管理」を仕組みにしておくものです。2025年の年金制度改正法によって、これまで扶養内で働いていたパート・アルバイトが段階的に厚生年金・健康保険の加入対象へと広がり、そのたびに事業主にも社会保険料(労使折半)の負担が発生します。この負担は「知らないうちに増えていた」では済まされず、シフトの組み方や雇用契約の見直しで、事前にコントロールできる余地があるからです。

やるべきことは大きく3つです。第一に、いま自社のパート・アルバイトのうち誰が「週20時間以上・雇用契約2か月超」に該当し、企業規模要件の段階撤廃でいつ対象になるかを一覧化すること。第二に、週20時間という境界を、勤怠とシフトで継続的に管理できるようにすること。第三に、対象者が出たときの加入手続き・本人への説明を、抜け漏れなく回せる業務フローにしておくことです。これらはいずれも、専用の高額な労務システムを導入しなくても、多くの中小企業が使える Lark勤怠管理・Base(従業員台帳)・承認(申請)・Docs(説明資料)で仕組み化できます。

ただし、ひとつ明確な線引きが必要です。Lark は給与計算ソフトや、日本年金機構への社会保険の電子申請(e-Gov)システムそのものの代わりにはなりません。保険料の計算や公的手続きは、それに対応した給与・労務ソフトや電子申請に任せるべきです。本記事で Lark に載せるのは、あくまで対象者の可視化・勤怠とシフトの管理・加入手続きの社内フロー・本人説明の資料共有といった”労務の周辺業務”。この区切りを守ることが、コンプライアンスと業務効率を両立させる前提になります(詳細は第7章)。

読み方のポイント: 本記事の社会保険の適用拡大・年金制度改正法・企業規模要件に関する記述は 厚生労働省の公表資料に、パート・有期雇用労働法の2026年10月改正は 厚生労働省 Webマガジンに基づく引用です(2026年8月時点)。賃金要件(106万円の壁)の撤廃日は「公布から3年以内に政令で定める日」とされ、本記事執筆時点で具体的な期日は確定していません。保険料率・制度・要件・数値は改定される場合があります。実際の加入判定・保険料計算・手続きを行う際は、必ずリンク先の一次ソースおよび年金事務所・社会保険労務士・顧問の専門家にご確認ください。また Lark の機能・料金も2026年8月時点の公式公開情報に基づきます。

何が・いつ変わるのか — 106万円の壁撤廃・企業規模要件の段階撤廃・週20時間は維持

結論から言うと、社会保険の適用拡大は「賃金要件(106万円の壁)の撤廃」と「企業規模要件の段階的撤廃」の2本柱で進み、一方で「週20時間以上」という労働時間の要件は維持されます。まず現行の短時間労働者の社会保険(厚生年金・健康保険)加入の要件を整理します。

現行の加入要件 内容 改正後
①週の所定労働時間 週20時間以上 維持
②賃金要件 所定内賃金 月額8.8万円以上(=年収約106万円、いわゆる「106万円の壁」) 撤廃(公布から3年以内・政令で定める日)
③雇用の見込み 2か月を超える雇用の見込み 維持
④学生でないこと 昼間学生は原則対象外 維持
⑤企業規模要件 従業員数50人超(51人以上)の特定適用事業所 段階的に撤廃(2027年10月〜2035年10月)

出典: 厚生労働省「社会保険の加入対象の拡大について」厚生労働省「年収の壁への対応」(2026年8月確認)。

「106万円の壁」(賃金要件)は撤廃されるが、日付は未確定

厚生労働省の資料によれば、所定内賃金が月額8.8万円以上(年収約106万円)とする賃金要件は、2025年6月の法公布から3年以内に撤廃されることになっています。撤廃の具体的な時期は「政令で定める日」とされ、全国の最低賃金の引上げ状況(目安として全国加重平均で1,016円以上)を見極めて判断されます。ここで重要なのは、すでに最低賃金がこの水準を大きく超えているという事実です。2025年度(2025年10月改定)の地域別最低賃金は全国加重平均で1,121円となり、2026年度も引上げの目安が示されています(出典: 厚生労働省 地域別最低賃金の全国一覧)。時給1,016円で週20時間・月換算で働くと所定内賃金は月約8.8万円に達するため、週20時間以上働くパートは、賃金要件の撤廃を待たずとも実質的に月8.8万円のラインを超えつつあるのが現状です。つまり「106万円の壁」は、制度上の撤廃を待つまでもなく、最低賃金の上昇によって年々”効かなくなって”きています。

企業規模要件は2027年10月から段階的に撤廃される

もう一つの柱が、これまで従業員50人超(51人以上)の企業だけを対象としてきた企業規模要件の撤廃です。厚生労働省の公表資料によると、この要件は施行日から段階的に引き下げられ、最終的に企業規模にかかわらず要件を満たせば社会保険に加入することになります。段階のイメージは次のとおりです。

時期 対象となる企業規模(従業員数)
現行 50人超(51人以上)
2027年10月 36人以上
2029年10月 21人以上
2032年10月 11人以上
2035年10月 企業規模要件を撤廃(10人以下も対象)

出典: 厚生労働省「年収の壁への対応」(2026年8月確認)。段階・時期は政令等で変更される可能性があります。最新の適用時期は必ず一次ソースおよび年金事務所でご確認ください。

ここが中小企業にとっての要点です。従業員20〜50名規模の会社は、早ければ2027年10月(36人以上)や2029年10月(21人以上)の段階で、パートの社会保険加入が「他人事」ではなくなります。しかも判定に使うのは「週の所定労働時間20時間以上」——つまり雇用契約上の所定労働時間であり、実際の残業を含む労働時間ではありません。だからこそ、雇用契約とシフト設計の段階から、誰がラインに乗るのかを把握しておくことが、負担を予見しコントロールする第一歩になります。中小企業のDXの進め方全体は 中小企業のDXを90日で軌道に乗せる実践ロードマップ も参考にしてください。

自社にどう効くか — 新たに対象になるパートの洗い出しと事業主負担の試算

結論として、まずやるべきは「自社のパート・アルバイトのうち、誰が・いつ・いくらの負担で社会保険の対象になるか」を一覧化することです。社会保険料は原則として労使折半(事業主と本人が半分ずつ負担)で、事業主にも新たなコストが発生します。ざっくりした負担の規模感を、概算の試算で押さえておきましょう。

事業主負担の概算(1人あたり・月額): 月給10万円のパートが新たに社会保険に加入した場合の目安です。

  • 厚生年金保険料:料率18.3%(労使折半で事業主 9.15%)→ 事業主負担 約9,150円/月
  • 健康保険料:協会けんぽの料率は都道府県により異なりおおむね10%前後(労使折半で事業主 約5%)→ 事業主負担 約5,000円/月(40歳以上は介護保険料が上乗せ)
  • 合計の事業主負担:おおむね月1.4万円前後/年間で約17万円前後(1人あたり)

※厚生年金の保険料率は日本年金機構、健康保険の料率は全国健康保険協会(協会けんぽ)の公表値に基づく概算です(2026年8月時点)。健康保険料率は都道府県ごとに毎年見直され、実際の負担は標準報酬月額の等級で決まります。正確な額は年金事務所・給与ソフト・社会保険労務士でご確認ください。

この試算が示すのは、対象になるパートが10人いれば、事業主負担だけで年間150万円規模のコスト増になり得るということです。もちろん本人にとっては将来の年金が手厚くなる、傷病手当金など健康保険の給付が受けられるといったメリットもあり、単純な「コスト」ではありません。しかし経営としては、この負担がいつ・どの規模で立ち上がるかを見通せているか否かが、資金繰りとシフト戦略を大きく左右します。

だからこそ、従業員台帳に「週の所定労働時間」「月額賃金」「雇用契約の期間」「加入対象になる見込み時期」を持たせ、企業規模要件の段階(36人→21人→11人→撤廃)と突き合わせて一覧化しておくことが有効です。これを紙やバラバラのExcelでやると更新が止まりますが、Lark Base のような共有データベースに載せておけば、シフトや契約が変わるたびに最新の”対象者マップ”が維持されます。人件費と最低賃金上昇そのものへの対応は 最低賃金2026 × Lark で労務コストを効率化する でも扱っていますが、本記事はそれとは別の「社会保険の適用拡大」という負担軸に焦点を当てています。両者はセットで押さえておくと、人件費まわりの見通しが立てやすくなります。

2026年10月に「今すぐ」効くもう一つの変化 — パート・有期雇用法の3改正

結論として、社会保険の適用拡大とは別に、2026年10月にはパートタイム・有期雇用労働法の改正が施行され、こちらは”待ったなし”で対応が必要です。適用拡大が段階的なのに対し、この改正は期日が決まっており、パート・アルバイトを雇う全事業主が対象になります。厚生労働省が示す3つのポイントは次のとおりです。

改正ポイント 内容
①労働条件明示事項の追加 正社員との「待遇の相違の内容・理由等に関する説明を求めることができる」旨の明示が新たに義務付け
②ガイドラインの改正 賞与・退職手当・各種手当・福利厚生の記載が見直され、家族手当・住宅手当・夏季冬季休暇などで正社員と同一の待遇支給が求められる
③雇用管理上の措置の変更 待遇差について「資料を活用した口頭説明」または「記載資料の交付」による説明が必須化、正社員転換制度の内容・実績の明示・公表が望ましい

出典: 厚生労働省 Webマガジン「2026年10月からパートタイム・有期雇用のルールが変わります」(2026年8月確認)。

この3改正に共通するのは、「説明できる状態」を整えておく必要があるという点です。求められたら待遇差の理由を資料で説明し、労働条件を明示し、正社員転換の道筋を示す——いずれも労働条件通知書・待遇の説明資料・転換制度の規程を、いつでも取り出せる形で整理・共有しておくことが前提になります。これは Lark Docs/Wiki による社内文書の一元化 が効く典型的な領域です。社会保険の適用拡大(段階的)と、このパート・有期雇用法改正(2026年10月)は、どちらも「非正規雇用の処遇と手続きを、記録と説明が残る形で運用する」ことを迫っているという意味で地続きです。だからこそ、労務まわりの情報基盤を今のうちに整えておく価値があります。

Lark で組む社保対応の設計図 — 勤怠/Base/承認/Docs の役割分担

結論として、社会保険の適用拡大への対応は Lark の4つの機能に素直にマッピングできます。Lark は、チャット(Messenger)・ドキュメント(Docs)・データベース(Base)・カレンダー・承認(Approval)・勤怠管理などを1つのアプリ・1つのIDでまとめて使えるグループウェアで、機能ごとに別サービスを契約する必要がありません。役割分担は次のとおりです。

Lark 機能 担当する労務の周辺業務 置き換わる従来のやり方
Lark 勤怠管理 出退勤の打刻・週/月の労働時間集計・シフト設定・打刻忘れ通知(GPS/Wi-Fi打刻対応) タイムカード・手書きシフト表・Excelの勤怠集計
Lark Base(データベース) 従業員台帳・所定労働時間/月額賃金の管理・社会保険の対象者マップ・加入見込み時期の一覧 紙の従業員名簿・バラバラのExcel
Lark 承認(Approval) 社会保険の加入/喪失手続きの申請・シフト変更申請・扶養状況の確認フロー 紙の申請書・口頭依頼・メール
Lark Docs / Wiki(文書) 労働条件通知書のひな型・待遇の説明資料・社保加入のFAQ・本人向け案内文 棚のファイル・個人のWord

ポイントは、これらが連動することです。たとえば Lark 勤怠で集計した所定労働時間をもとに、週20時間ラインに近づいたパートを Base の対象者マップに反映し、対象になったら承認フローで加入手続きを起こす。手続きの案内文(Docs)はチャットからワンタップで本人に共有する——このように勤怠 → 台帳 → 手続き → 説明が1つのIDでつながるのが、個別ツールの寄せ集めにはない強みです。Lark 勤怠管理はGPS打刻・Wi-Fi打刻やシフト設定、打刻忘れ通知に対応しており、詳細はLark 公式ヘルプ「勤怠管理」で確認できます。承認フローの組み方は Lark 承認ワークフロー実装ガイド で詳しく解説しています。

設計の原則: 最初から全部を作り込まないこと。まず「一番読めない1点」(多くの場合はパートの週20時間ラインの把握 か 対象者マップの作成)だけを Lark に載せ、2週間運用してから次へ広げます。全領域を同時に切り替えると、少人数の会社では定着せずに元へ戻ってしまいます。

領域別の実装 — 週20時間の可視化/対象シミュレーション/加入手続き/説明資料

ここからは、社保対応の各領域を Lark でどう組むかの実装イメージです。いずれもノーコードで、専任エンジニアは不要です。

① 週20時間を Lark 勤怠で”継続的に見える化”する

社会保険の加入判定は雇用契約上の「週の所定労働時間」で行いますが、実務では実際の労働時間が所定を恒常的に上回っていないか、シフトが週20時間の境界にどう分布しているかを把握しておくことが欠かせません。Lark 勤怠管理で出退勤を打刻し、週・月単位の労働時間を自動集計すれば、「誰が20時間ラインの近くにいるか」を一覧で追えます。GPS打刻・Wi-Fi打刻に対応しているため、店舗や現場が複数あっても打刻を集約でき、打刻忘れは通知で防げます。ここで得たデータが、次の対象者シミュレーションの土台になります。外回りや現場中心の働き方への当てはめは ノンデスクワーカーの現場DX も参考にしてください。

② 社会保険の対象者を Lark Base で”シミュレーション”する

従業員台帳を Lark Base に作り、パート・アルバイトごとに週の所定労働時間・月額賃金・雇用契約の期間・学生区分のフィールドを持たせます。ここに「加入対象になる見込み時期」の列を加え、企業規模要件の段階(2027年10月=36人以上、2029年10月=21人以上…)と自社の従業員数を突き合わせれば、「いつ・誰が・何人、新たに対象になるか」の対象者マップができます。Base のビューで「週20時間以上かつ2か月超雇用」を絞り込めば、対象候補が即座に一覧化されます。金額のシミュレーションは、標準報酬月額の目安に料率を掛けた概算列を設けておけば、負担のインパクトも見通せます(正確な保険料は給与ソフト・年金事務所で確定)。Excelからの移行手順は Lark Base 30日で脱Excel移行ガイド にまとめています。

③ 加入/喪失の手続きを Lark 承認で”抜け漏れなく”回す

対象者が出たら、社会保険の加入手続き(資格取得届の準備・本人への確認・扶養状況の把握)を Lark 承認のワークフローに載せます。「新規加入対象が発生」→「労務担当が確認」→「本人に説明・同意」→「給与ソフト/電子申請へ連携」という流れを申請フォーム化すれば、担当者が代わっても手順が標準化され、提出期限の遅れや手続き漏れを仕組みで防げます。シフト変更で所定労働時間が20時間を割り込み、資格喪失に該当する場合の手続きも同様にフロー化できます。承認の履歴が残るので、「いつ・誰が・何を承認したか」が後から追え、社内統制の観点でも安心です。

④ 労働条件・待遇の説明資料を Lark Docs で”いつでも取り出せる”状態にする

2026年10月のパート・有期雇用法改正で求められる労働条件の明示・待遇差の説明・正社員転換制度の周知に備え、労働条件通知書のひな型、待遇の説明資料、社保加入のよくある質問、本人向けの案内文を Lark Docs/Wiki に集約します。求められたときに最新版を即座に共有でき、説明の品質を担当者ごとにばらつかせずに揃えられます。本人からの「社会保険に入ると手取りはどうなるのか」といった質問にも、あらかじめ用意したFAQで丁寧に答えられるようにしておくと、加入への不安や離職リスクを減らせます。

自動化の一例: Lark Base のオートメーション機能を使えば、「週の集計労働時間が20時間を超えたパートを毎週チャットに通知」「加入見込み時期が翌月に迫った対象者をリマインド」といった連携をノーコードで組めます。オートメーションの実行回数は Starter で月1,000回、Pro で月5万回まで(2026年8月時点の公式値、後述)。少人数の労務担当でも、この通知だけで対応漏れが目に見えて減ります。

給与計算・電子申請システムとの線引き — Lark がやること/やらないこと

結論として、Lark は”保険料計算・公的手続き”の専用システムを置き換えるものではなく、その周りの情報共有・勤怠・対象者管理・社内フローを担うものです。この線引きを守ることが、コンプライアンスと業務効率を両立させる鍵になります。

領域 Lark で扱う(周辺業務) 専用システムに任せる
勤怠・シフト 打刻・労働時間集計・シフト設定・週20時間の見える化 給与へ連携する確定的な勤怠締め(給与ソフト側の勤怠機能)
保険料計算 概算のシミュレーション(目安の把握) 標準報酬月額・等級に基づく正確な保険料計算(給与計算ソフト)
公的手続き 加入/喪失手続きの社内申請・確認フロー・進捗共有 資格取得届等の電子申請(e-Gov/対応労務ソフト)
従業員情報 対象者マップ・所定労働時間・雇用契約の社内共有(権限設定で保護) マイナンバー等の特定個人情報の厳格な管理

社会保険にかかわる従業員情報は、氏名・生年月日・報酬・扶養状況など機微な個人情報を含み、加入手続きではマイナンバー(特定個人情報)を扱う場面もあります。Lark Base にはテーブル・行・列単位の細かな権限設定があるため、「労務担当と経営者しか見られない」レコード設計が可能です。とはいえ、マイナンバーそのものの保管・利用は、番号法に基づく厳格な安全管理措置に従い、それに対応した給与・労務システムやルールで扱うのが安全です。Lark に載せるのは”社内で共有すべき労務の業務情報”、専用システムに任せるのは”正確な保険料計算・公的な電子申請・特定個人情報”——この切り分けを最初に決めておけば、労務DXを安心して進められます。権限設計の考え方は Lark のセキュリティ・権限設計ガイド で詳しく解説しています。

コスト比較 — 労務ツールの積み上げ vs Lark 一本化と、3年間の負担軽減特例

結論として、チャット・勤怠・従業員台帳・申請・文書を個別に契約するより、Lark 1本にまとめるほうが割安になるケースが多いです。まず Lark の公式料金(2026年8月時点、すべて税抜)を整理します。

プラン 料金(1ユーザー/月) ユーザー上限 Base 1テーブル行数 / ストレージ
Starter ¥0(無料) 20名まで 2,000行 / 100GB
Pro ¥1,420(年払い) 500名まで 2万行 / 15TB
Enterprise 要お問い合わせ(個別見積) 無制限 5万行 / 15TB+1人あたり30GB

出典: Lark 公式料金プラン(2026年8月確認)。表示はすべて税抜、Pro は年払い価格。Enterprise は公式ページ上で公開価格の掲示がなく「お問い合わせ」のみ。

ここが重要な点です。従業員20名までの会社なら、Starter プラン(20名まで無料)で勤怠・従業員台帳・社内連絡・申請・マニュアル共有を”0円”で始められます。無料枠で運用を回し、人数や行数(1テーブル2,000行)、勤怠の高度な機能などが必要になってから Pro(1ユーザー月1,420円)に上げればよく、いきなり有料の労務システムを契約する必要はありません。勤怠専用SaaSに1人あたり月数百円、従業員管理・申請ワークフローに別途——と個別契約を積み上げると、少人数でも固定費がかさみ、しかもツール間の連携は結局”人手”で埋めることになります。Lark 一本化なら、料金が1本にまとまるだけでなく、勤怠 → 台帳 → 申請 → 文書の連携がプラットフォーム内で自動化されます。料金の全体像は Lark 料金完全ガイド2026、ツール選定は Lark vs kintone 徹底比較Lark vs Microsoft Teams 比較 で詳しく解説しています。

3年間の負担軽減特例も押さえる: 社会保険の適用拡大にあたり、従業員50人以下の企業などで新たに加入対象となり、標準報酬月額が12.6万円以下の短時間労働者を対象に、3年間、事業主が任意で負担割合を増やして本人負担を軽減できる特例措置が設けられています(事業主が追加負担した分は国等が支援)。本人の手取り減という加入への不安をやわらげる仕組みなので、活用を検討する価値があります(出典: 厚生労働省「年収の壁への対応」。要件・期間は改定される場合があるため、必ず一次ソースと年金事務所でご確認ください)。

自社事例 — 240h→24h の実証を労務業務へ応用する

結論として、私たちアウフヘーベンジャパンは自社のEC事業を Lark に集約し、月240時間かかっていた定型業務を月24時間まで、90%削減しました。専任のエンジニアを雇わず、ノーコードの Lark Base とオートメーションだけで実現した実証です。群馬・前橋を拠点に、この運用ノウハウを中小企業のDX伴走支援に応用しています。

この実証が労務業務に効くのは、削減できた業務の構造が同じだからです。私たちがECで削ったのは、①バラバラのデータの手入力・転記、②担当者の頭に依存した進捗管理、③月末にまとめて作っていた集計・報告——この3つでした。これは社保対応の①勤怠・従業員データの二重入力、②担当依存の対象者把握と手続き、③制度改正のたびに手作業でやり直す試算と、ほぼ一対一で対応します。勤怠と台帳を Base に集約し、通知と集計を自動化するという打ち手は、業務が変わっても再現します。自社EC 240h→24h の実証の詳細もあわせてご覧ください。

応用のコツ: 一気に全業務を移さないこと。私たちも最初は「一番手間だった1業務」だけを Base 化し、効果を確かめてから横に広げました。社保対応なら、まずパートの週20時間ラインを見える化する勤怠と、対象者マップだけを Lark に載せ、負担の見通しが立つ手応えを掴んでから、手続きフロー・説明資料へ広げるのが失敗しない順番です。

施行に向けて90日で準備するロードマップ

結論として、90日を「30日×3」に区切り、1領域ずつ載せていくのが、少人数の会社でも定着する現実的な進め方です。企業規模要件の段階撤廃は2027年10月から始まるため、今から準備を始めれば十分に間に合います。

期間 やること ゴール
1〜30日 社内連絡を Messenger に移行+パートの勤怠を Lark 勤怠で打刻・集計開始 週20時間ラインに近い人が一覧で見える
31〜60日 従業員台帳を Base 化+対象者マップ(加入見込み時期)を作成+概算試算列を追加 いつ・誰が・いくらの負担で対象になるかが見通せる
61〜90日 加入/喪失の承認フロー+労働条件・待遇説明資料を Docs 化+オートメーションで通知 手続きと説明が標準化され、改正に先回りできる

この順番の肝は、最初に”効果が一番見えやすい領域”(勤怠と対象者の可視化)から始めて、現場に手応えを作ることです。負担の見通しが立てば、経営判断もシフト戦略も打ちやすくなります。逆に、いきなり手続きや規程の整備から入ると、日々の業務に追われて定着しません。DXを全社へ広げる時間軸は 中小企業のDXを90日で軌道に乗せる実践ロードマップ、着手前のつまずき回避は 中小企業のDXが失敗する典型パターンと回避策 も参考にしてください。

社保対応特有のつまずきポイントと回避策

最後に、社会保険の適用拡大に Lark で備える際に特有のつまずきと、その回避策をまとめます。

  • つまずき①:加入判定を「実労働時間」で考えてしまう → 回避策:適用判定は雇用契約上の「週の所定労働時間20時間以上」で行う。Lark 勤怠の実績は管理の参考にしつつ、判定は契約内容で行うことを台帳に明記する。迷う事例は必ず年金事務所・社労士に確認。
  • つまずき②:マイナンバーを Lark に入れてしまう → 回避策:特定個人情報(マイナンバー)は番号法の安全管理措置に従い、対応した給与・労務システムで扱う。Lark には氏名・所定労働時間・雇用契約など”社内共有に必要な最小限”だけを載せ、権限を絞る。
  • つまずき③:本人が「手取りが減る」と加入に不安を示す → 回避策:将来の年金増や健康保険の給付といったメリット、3年間の負担軽減特例をFAQ(Docs)で丁寧に説明する。一方的な通知ではなく、対話の資料として用意する。
  • つまずき④:制度の日付を早合点する → 回避策:賃金要件の撤廃日は政令未定、企業規模要件は段階的(36人→21人→11人→撤廃)。台帳の「加入見込み時期」は最新の一次ソースで随時見直す前提で運用し、確定情報として断定しない。
  • つまずき⑤:勤怠・台帳・給与ソフトで二重管理になる → 回避策:Lark は勤怠の集計・対象者の可視化・社内フローに徹し、正確な保険料計算と電子申請は給与ソフト側に任せる。役割を重ねないことで二重入力を避ける。

これらはいずれも、「制度を完璧に理解してから、全部を一度に」を目指すから起きるつまずきです。まず勤怠と対象者の可視化から、現場が楽になる順に載せていけば、無理なく社保対応の土台が整います。導入の伴走が必要なら、Lark Base 業務システム構築サービスLark 導入支援サービス でお手伝いします。

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よくある質問(FAQ)

Q. 「106万円の壁」はいつ撤廃されますか?

賃金要件(所定内賃金 月額8.8万円以上=年収約106万円)は、2025年6月の年金制度改正法の公布から3年以内に撤廃されることになっていますが、具体的な期日は「政令で定める日」とされ、本記事執筆時点(2026年8月)で確定していません。全国の最低賃金の引上げ状況(目安1,016円以上)を見極めて判断されます。すでに最低賃金は全国加重平均で1,016円を超えているため、週20時間以上働くパートは撤廃を待たずに実質的に月8.8万円ラインを超えつつあります。最新の施行時期は厚生労働省の公表資料と年金事務所でご確認ください。

Q. 従業員が50人以下でも社会保険の適用拡大は関係ありますか?

はい、段階的に関係してきます。企業規模要件は2027年10月に36人以上、2029年10月に21人以上、2032年10月に11人以上へと引き下げられ、2035年10月には企業規模要件そのものが撤廃されて10人以下の企業も対象になります(厚生労働省の公表資料に基づく)。従業員20〜50名規模の会社は、早ければ2027〜2029年の段階でパートの社会保険加入が現実になるため、今から対象者の把握を始めておくことをおすすめします。

Q. 社会保険の対象になると、事業主の負担はどのくらい増えますか?

社会保険料は原則として労使折半です。厚生年金保険料率は18.3%(事業主負担は労使折半で9.15%)、健康保険料率は協会けんぽで都道府県によりおおむね10%前後(事業主負担は約5%)で、月給10万円のパート1人あたり事業主負担はおおむね月1.4万円前後・年約17万円前後が目安です。ただし正確な額は標準報酬月額の等級で決まるため、給与ソフトや年金事務所、社会保険労務士でご確認ください。新たに加入する標準報酬月額12.6万円以下の人には3年間の負担軽減特例もあります。

Q. Lark は給与計算や社会保険の電子申請の代わりになりますか?

いいえ。Lark は正確な保険料計算を行う給与計算ソフトや、日本年金機構への電子申請(e-Gov)システムの代替にはなりません。Lark が担うのは、勤怠の打刻・労働時間集計・シフト管理、従業員台帳と対象者マップの可視化、加入/喪失手続きの社内申請フロー、労働条件・待遇の説明資料の共有といった労務の周辺業務です。正確な保険料計算・公的手続き・マイナンバーの管理は専用システムに任せ、その周りの情報共有と勤怠管理を Lark に集約する、という役割分担が前提です。

Q. 何人までなら無料で始められますか?

Lark は Starter プランなら20名まで無料で、勤怠管理・従業員台帳・社内連絡・申請フロー・マニュアル共有を無料枠で始められます。1テーブル2,000行やチャット履歴などの上限に達し、機能や容量が必要になれば Pro プラン(1ユーザーあたり月1,420円、税抜・年払い、2026年8月時点)が目安です。勤怠・従業員管理・申請を個別のSaaSで契約するより、1つに集約するほうが割安になるケースが多くあります。

まとめ — 「制度に振り回される」から「仕組みで先回りする」へ

社会保険の適用拡大は、2025年の年金制度改正法によって段階的に、しかし確実に中小企業へと広がっていきます。「106万円の壁」は撤廃され(時期は政令待ち)、企業規模要件は2027年10月の36人以上を皮切りに2035年の完全撤廃へ向かいます。加えて2026年10月にはパート・有期雇用法の改正が施行され、待遇の説明や労働条件の明示が求められます。これらに共通するのは、非正規雇用の処遇と手続きを、記録と説明が残る形で運用する必要があるということです。

この変化に振り回されないために効くのは、制度を丸暗記することではなく、誰が・いつ・いくらの負担で対象になるかを見える化し、週20時間の勤怠・シフトと加入手続きを仕組みにしておくことです。そしてその仕組みは、すでに多くの会社が使えて、20名まで無料で始められる Lark の勤怠・Base・承認・Docs で作れます。まずはパートの勤怠と対象者マップを1つ、Lark に載せるところから。その小さな一歩が、制度改正に先回りする経営の余裕を生みます。「どこから始めればいいか」を一緒に見極める無料相談を、ぜひご活用ください。

本サイトは アウフヘーベンジャパン株式会社 が運営しています。

Lark は ByteDance Ltd. の登録商標です。当社は Lark の導入を支援する独立した第三者コンサルティング事業者であり、ByteDance 社の公式機関ではありません。kintone はサイボウズ株式会社、Microsoft Teams は Microsoft Corporation の各商標・サービスです。本記事中の社会保険の適用拡大・年金制度改正法・企業規模要件・賃金要件・最低賃金に関する情報は厚生労働省の公表資料に、パート・有期雇用労働法の2026年10月改正は厚生労働省 Webマガジンに、保険料率は日本年金機構・全国健康保険協会(協会けんぽ)の公表値に基づく引用・概算です(2026年8月時点)。とりわけ賃金要件(106万円の壁)の撤廃日は「公布から3年以内に政令で定める日」とされ、執筆時点で確定していません。制度・要件・数値・保険料率・料金は改定される場合があるため、実際の加入判定・保険料計算・手続き・導入の判断時には、一次ソースおよび年金事務所・社会保険労務士・専門家・自社テナントで最新情報をご確認ください。Lark の料金・機能は同時点の公式公開情報に基づいています。

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