卸売業 DX / 受発注・在庫・マスタの脱Excel一元化 / 発注ミスと属人化を止める
卸売業の中小DX2026 — 受発注・在庫・得意先マスタ・商流を Lark Base で脱Excel一元化し、発注ミスと属人化を止める実装ガイド
「受注は FAX と電話とメールでバラバラに届き、担当者が Excel に手で転記している」「在庫の最新数字が Excel を開くまで分からず、受注を受けてから欠品に気づく」「得意先ごとの単価や掛率は、ベテラン担当者の頭の中にしかない」——本記事は、卸売業 DX の最初の一歩として、こうした中小卸売業の「受発注が散らばって見えない」悩みに対し、高額な専用販売管理システムを入れる前に、Lark Base の標準機能だけで受発注・在庫・得意先マスタ・商品マスタを1つに連結する方法を解説します。結論を先に言えば、卸売の受発注管理は「①4つのテーブルを連結する ②受注の入口をWebフォームに寄せる ③通知を自動化する」の3手で、脱Excel の一元管理に到達できます。機能・料金はすべて Lark公式料金ページ・Lark公式ヘルプの一次情報のみを使用。自社EC事業(仕入れ・受発注・在庫運用)を Lark に集約し、月 240 時間 → 24 時間(90% 削減)を実証した当社の実装知見も併記します。
所要 15 分 / 従業員10〜100名規模の卸売業経営者・業務責任者向け / 2026 年 8 月 13 日公開
「うちの受発注は、どのテーブル設計で一元化できるか」を60分で設計する無料相談
卸売業のシステム化でいちばん多い失敗は、「高機能な販売管理システムを入れたのに、現場が Excel と FAX に戻ってしまう」ことです。当社は群馬・前橋で自社 EC 事業(仕入れ・受発注・在庫)を Lark に集約し定型業務を9割圧縮した実体験から、貴社の商流(得意先・仕入先・商品・受発注・在庫)を棚卸しし、どのテーブルをどう連結し、受注の入口をどこからフォーム化するかを1枚の設計マップ(Lark Docs)にして、60分の無料相談でお渡しします。専用システムありきではなく「まず標準機能の内製で足りるか」から中立にご提案します。
この記事でわかること
- なぜ卸売業の受発注は Excel・FAX・電話に分散し続けるのか — 「転記」「引当」「属人化」の3つの構造問題
- Lark Base で組む卸売業務の全体設計 — 得意先マスタ・商品マスタ・受発注・在庫の「4テーブル連結モデル」の作り方
- 受注の入口を Web フォーム化する具体手順 — 得意先が Lark を使っていなくても発注できる公式フォーム共有の仕組み
- 発注ミス・連絡漏れを止めるオートメーション設計と、在庫をダッシュボードで「引当できる数字」にする方法
- 専用販売管理システムとの中立な使い分け基準、料金の一次情報(20名まで無料/Pro ¥1,420)、90日の段階導入ロードマップ
目次
- 結論 — 専用販売管理システムを買う前に、Lark Base 内製で足りるか確かめよ
- なぜ卸売業の受発注は Excel・FAX・電話に分散するのか — 3つの構造問題
- Lark Base で組む卸売業務の全体設計 — 4テーブル連結モデル
- 受注の入口を Web フォーム化する — FAX・電話・メール受注を1本に寄せる
- 在庫管理を脱Excelする — 入出荷記録とダッシュボードで「引当できる数字」へ
- オートメーションで発注ミス・連絡漏れを止める
- 専用販売管理システムとの違い — 内製をいつ選び、いつ選ばないか
- 料金の一次情報 — 30名の卸売会社でいくらかかるか
- 自社EC事例 — 仕入れ・受発注・在庫を Lark に集約して240h→24h
- 90日で立ち上げる現実的3ステップ
- よくある質問(FAQ)
- まとめ — 受発注は「人が転記する仕事」から「仕組みが流す仕事」へ
結論 — 専用販売管理システムを買う前に、Lark Base 内製で足りるか確かめよ
結論を先に述べます。中小卸売業が「受発注と在庫をシステム化したい」と考えたとき、最初に検討すべきは高額な専用販売管理システムではなく、Lark Base による内製の一元管理です。理由は3つあります。第一に、卸売の受発注管理の本体は「得意先・商品・受発注・在庫という4種類のデータを正しくつなぐこと」であり、これはノーコードのデータベースで十分に構成できるから。第二に、専用システムの多くは自社の商流(得意先ごとの掛率、ロット単位、締め日、直送の有無など)に合わせてカスタマイズ費用が積み上がるのに対し、内製ならテーブルとフィールドを自分で足すだけだから。第三に、Lark なら受発注データベースとチャット・通知・承認が同じアプリの中にあり、「システムに入力したのに連絡は電話」という二度手間が消えるからです。
本記事の立ち位置をはっきりさせておきます。世の中の「卸売業 DX」記事の多くは、販売管理システムや受発注 SaaS の製品紹介です。それらが有効な場面は確かにあります(後述の使い分け基準で中立に整理します)。しかし、中小企業白書が繰り返し指摘するとおり、中小企業の DX を阻む二大要因は「人手不足」と「コスト負担」です。専任の情シスがいない卸売業が、いきなり月額数万円〜のシステムと数ヶ月の導入プロジェクトを抱えるのは重すぎる。だからこそ、まず「いま Excel でやっていることを、そのまま連結型のデータベースに載せ替える」ところから始め、足りなければ専用システムを検討する——この順番が現実解です。判断の軸は次の3問です。
受発注システムを選ぶ前の3つの問い
① 受注は今、何経路で届いているか?(FAX/電話/メール/Web…)その転記は誰がやっているか?
② 在庫の「今の数字」は、何分前のものか? 受注時に引当できているか?
③ 得意先ごとの単価・掛率・締め日は、データになっているか? それとも担当者の頭の中か?
この3問に「Excel/数日前/頭の中」と答えた会社ほど、本記事のモデルが効きます。Lark Base そのものの基礎は姉妹記事 Lark Base が中小企業の業務効率を変える3つの理由 に、DX 全体の進め方は 中小企業の DX を 90 日で軌道に乗せる実践ロードマップ にまとめています。本記事はその「卸売業の受発注・在庫」への具体適用編です。
なぜ卸売業の受発注は Excel・FAX・電話に分散するのか — 3つの構造問題
結論として、卸売業の受発注が散らばるのは現場の怠慢ではなく、「受注経路が得意先ごとに違う」という卸売業固有の商流構造が原因です。小売業なら販売チャネルは自社のレジや EC に集約されますが、卸売業の受注窓口は得意先の数だけ存在します。A社は FAX、B社は電話、C社は担当者宛のメール、D社は LINE——得意先に合わせるのが商売である以上、入口は自然に分散します。その結果、次の3つの構造問題が発生します。
| 構造問題 | 現場で起きること | 経営に効いてくる損失 |
|---|---|---|
| ① 転記の多重化 | FAX・電話・メールの受注を人が Excel へ手入力。品番・数量・単価の入力ミスが混入 | 誤出荷・返品・値引対応。信用の毀損 |
| ② 在庫引当の遅延 | 在庫 Excel が別ファイルで、受注時に最新在庫が見えない。締めてみたら欠品・過剰 | 欠品による失注、過剰在庫による資金繰り悪化 |
| ③ マスタの属人化 | 得意先ごとの単価・掛率・締め日・配送条件がベテランの記憶と個人メモに存在 | 退職・休職で業務停止。新人が育たない |
損失は感覚ではなく計算できます。仮に 1 日 20 件の受注を 1 件 5 分で転記しているなら、それだけで月 約33 時間(20 営業日換算)。時給 2,000 円で見れば転記だけで月 約6.6 万円、年 約80 万円が消えている計算です——入力ミスの後始末や欠品対応の損失を足す前の数字です。そして重要なのは、この3つが独立の問題ではなく連鎖していることです。受注が転記制だから在庫と切り離され、在庫と切り離されているから引当が遅れ、単価や条件がデータ化されていないから転記がベテランにしかできない。つまり「受注」「在庫」「マスタ」を別々のツールで直しても解決せず、1つのデータベースの中で連結して初めて解ける構造です。IPA「DX動向」が示すとおり、日本の中小企業の DX は「ツールを個別に入れる」段階で止まりがちですが、卸売業で本当に必要なのは個別ツールではなくデータの連結です。次章で、その連結の設計図を示します。
Lark Base で組む卸売業務の全体設計 — 4テーブル連結モデル
結論として、中小卸売業の受発注・在庫管理は「得意先マスタ」「商品マスタ」「受発注」「在庫入出庫」の4テーブルを Lark Base 上で連結する構成で、業務の背骨が完成します。Lark Base はテーブル同士をリンクフィールドで参照し合える業務データベースで、Excel と決定的に違うのは「同じ得意先・同じ商品を、全テーブルが1つのマスタを参照して使う」点です。品番や社名を毎回手打ちしないので、表記ゆれと入力ミスが構造的に消えます。
| テーブル | 持たせるフィールドの例 | 連結先 |
|---|---|---|
| ① 得意先マスタ | 社名/担当者/掛率・単価条件/締め日/支払条件/配送条件/直送の有無 | 受発注(1得意先 → 多受注) |
| ② 商品マスタ | 品番/品名/仕入先/仕入価格/標準卸価格/ロット単位/ケース入数 | 受発注・在庫入出庫 |
| ③ 受発注 | 受注日/得意先(リンク)/商品(リンク)/数量/単価(マスタ参照)/出荷予定日/ステータス(受注→引当→出荷→請求) | ①②を参照、④へ出庫を発生 |
| ④ 在庫入出庫 | 日付/商品(リンク)/入庫数・出庫数/理由(仕入・受注出荷・返品・棚卸調整) | ②を参照。集計で現在庫を算出 |
設計のポイントは3つです。第一に、単価・掛率は得意先マスタに持たせ、受注行はそれを参照すること。「A社は掛率○%」という頭の中の知識が、マスタの1フィールドになった瞬間に属人化が解けます。第二に、在庫は「現在庫」という1つの数字を手で直すのではなく、入庫・出庫の履歴を記録して集計で算出すること。誰がいつ何個動かしたかが履歴として残るため、棚卸差異の原因追跡ができるようになります。第三に、受発注のステータス(受注→引当→出荷→請求)を単一選択フィールドで持ち、かんばんビューで工程管理すること。これで「どの注文がどこで止まっているか」が全員に見えます。Excel からの載せ替えは CSV インポートで始められます。手順は Lark Base 脱Excel 30日チャレンジ に詳しくまとめています。
4テーブル連結モデルの本質
① マスタ参照: 得意先・商品の情報は1ヶ所にだけ存在し、全テーブルが参照する。表記ゆれ・単価ミスが構造的に消える。
② 履歴主義: 在庫は「数字を直す」のではなく「入出庫を記録する」。現在庫は集計結果として常に正しい。
③ ステータス駆動: 受注はステータスで流れる。「どこで止まっているか」が属人メモでなくビューで見える。
受注の入口を Web フォーム化する — FAX・電話・メール受注を1本に寄せる
結論として、転記ミスを根本から消す最短の一手は、受注の入口を Lark Base のフォームに寄せることです。Lark Base のフォームビューは、テーブルの入力画面を Web フォームとして共有できる標準機能で、公式ヘルプに「フォームの共有を有効にすると、フォームのリンクが生成されます。このリンクを他人に共有すると、相手はリンクを開いてフォームに回答可能です」と明記されています(Lark公式ヘルプ「Base でフォームビューを使用する」、2026年8月確認)。ここで卸売業にとって決定的なのは、入力できるユーザーの設定で「リンクを取得した全員が入力可能」を選べば、フォームのリンクを受け取ったユーザーなら誰でも回答・送信できる——つまり得意先が Lark を使っていなくても、ブラウザから発注できることです。QR コードでの共有にも対応しているため、名刺や納品書に発注用 QR を刷る運用も可能です。
フォームで受けた注文は、回答結果がフォームに対応するテーブルに自動追加されます(同公式ヘルプ)。つまり「得意先がフォームに入力した瞬間、受発注テーブルに受注行が生まれる」。人の転記がゼロになるので、品番・数量の写し間違いがそもそも発生しません。現実的な移行は一斉切替ではなく、次の段階方式が定着します。
- 社内転記のフォーム化(初週から):FAX・電話受注はこれまで通り受け、社内の転記先を Excel からフォーム(またはテーブル直接入力)へ変更。この時点で在庫・マスタとの連結が効き始める。
- 協力的な得意先から順にリンク共有(1〜2ヶ月目):取引量が多くデジタル対応可能な得意先 2〜3 社にフォーム発注を案内。「入力後すぐ受注確認の連絡が届く」体験を作ると切替が進む。
- FAX 併存を前提に運用(3ヶ月目以降):全得意先の切替は狙わない。FAX 経路は残しつつ、社内側の入口は Base に一本化されているので、一元管理は既に成立している。
「得意先に新しいやり方を頼むのはハードルが高い」と感じるかもしれませんが、ポイントは得意先メリットを添えて案内することです。フォーム発注なら 24 時間いつでも発注でき、電話の待ち時間がなく、発注履歴の控えも残る。実際の案内文面の作り方や現場への定着のさせ方は 現場DXの進め方 でも扱っています。
💡 貴社の場合はどうなる? 「うちの得意先構成で、どこからフォーム化すべきか」は商流次第です。無料相談で、貴社の受注経路(FAX/電話/メール比率)を棚卸しし、フォーム移行の順番と得意先への案内文面の雛形までお渡しします。
在庫管理を脱Excelする — 入出荷記録とダッシュボードで「引当できる数字」へ
結論として、在庫管理の目的は「数を数えること」ではなく「受注の瞬間に引当できること」であり、そのためには入出庫の履歴化と、現在庫の常時可視化をセットで作る必要があります。前章までの4テーブルモデルでは、在庫入出庫テーブルに仕入(入庫)と出荷(出庫)を記録し、商品ごとに集計した差引が現在庫になります。この「履歴から算出する在庫」は、誰かが Excel の数字を直し忘れても壊れません。受注担当者は受注時に商品マスタ経由で現在庫を確認でき、「受けてから欠品に気づく」が「受ける前に分かる」に変わります。
さらに、Lark Base のダッシュボード機能を使えば、在庫と入出荷の状況をグラフで常時表示できます。公式ヘルプはダッシュボードの使用例として、棒グラフで在庫と入荷・出荷データをリアルタイムに把握する構成を挙げています(Lark公式ヘルプ「Base でダッシュボードを使用する」、2026年8月確認)。卸売業でまず置くべきブロックは次の4つです。
- メトリックカード:今月の受注金額・出荷件数・粗利。経営者が毎朝スマホで見る数字。
- 横棒グラフ:得意先別売上ランキング。上位得意先の動きの変化を早期検知。
- 棒グラフ(商品別在庫):現在庫と発注点の比較。欠品予備軍を目視で拾う。
- かんばん/グリッドのビューブロック:受注ステータス別の一覧。「引当待ち」「出荷待ち」の滞留を毎朝確認。
ダッシュボードの作り方・全ブロックの種類・スマホ対応は、昨日公開した Lark Base ダッシュボードで経営数字を可視化する2026 で網羅しています。在庫・受発注のデータが Base に貯まり始めた瞬間から、可視化は追加費用ゼロで手に入ります。
オートメーションで発注ミス・連絡漏れを止める
結論として、受発注の「うっかり」は人の注意力ではなくオートメーション(自動化)で止めるべきです。Lark Base のオートメーションは「トリガー条件と実行操作から構成される機能」で、レコードの追加・更新をトリガーに、Lark メッセージ送信・メール送信・HTTP リクエストなどを自動実行できます(Lark公式ヘルプ「Base のオートメーションを使用する」、2026年8月確認)。卸売業の受発注で効果が大きい定番レシピは次の4つです。
| トリガー | 自動実行 | 止まるミス |
|---|---|---|
| フォームから受注行が追加された | 受注チームのグループに Lark メッセージで通知 | 「フォームに入っていたのに誰も見ていない」 |
| 受注ステータスが「引当」→「出荷」に更新 | 得意先担当者へ出荷連絡のメッセージ/メール | 出荷連絡の抜け・遅れ |
| 出荷予定日の前日になってもステータスが「引当待ち」 | 担当者にリマインダー通知 | 納期遅延の見落とし |
| 在庫レコードが更新され現在庫が発注点を下回った | 仕入担当グループへ発注アラート | 欠品してから気づく発注遅れ |
ここで効いてくるのが、Lark は業務データベースとチャットが同じアプリであるという構造です。通知は普段使っているチャットにそのまま届き、通知内のボタンから該当レコードへ直接ジャンプできます。kintone や Notion のように「データベースは別ツール、通知は別のチャットツール」という構成だと、この連携自体を設定・保守し続ける必要があります(比較の詳細は Lark vs kintone 徹底比較・Notion vs Lark Base 参照)。オートメーションの実行回数はプランごとに月間上限があり(Starter 1,000回/Pro 5万回/Enterprise 50万回、Lark公式料金ページ、2026年8月確認)、受発注通知が中心の中小規模なら Starter の 1,000 回でも検証には十分、本稼働は Pro が現実的です。さらに複雑な社内承認(値引き承認・与信承認など)を挟みたい場合は Lark 承認ワークフロー実装ガイド が参考になります。
専用販売管理システムとの違い — 内製をいつ選び、いつ選ばないか
結論として、Lark Base 内製と専用販売管理システムは競合ではなく守備範囲が違います。「商流がシンプルでカスタマイズ願望が強い会社」は内製が合い、「EDI・大量SKU・複雑な在庫評価が必須の会社」は専用システムが合います。中立に整理します。
| 観点 | Lark Base 内製 | 専用販売管理システム |
|---|---|---|
| 初期コスト・スピード | 低い。テーブル設計から数週間で運用開始。20名までは無料プランで検証可 | 導入プロジェクト(要件定義〜設定)で数ヶ月・初期費用が発生しがち |
| 自社商流への適合 | フィールド・テーブルを自分で追加。掛率・ロット・直送など独自条件に柔軟 | 標準機能に業務を合わせるか、カスタマイズ費用を払う |
| 請求書・帳票 | 標準の帳票エンジンはなく、会計・請求ソフトとの併用が前提 | 見積書・納品書・請求書・元帳まで標準装備が多い |
| EDI・大量データ | 大手量販店との EDI 接続は守備範囲外。行数上限もプラン依存(後述) | EDI 対応・大量 SKU・ロット/賞味期限管理は専用系の独壇場 |
| コミュニケーション連携 | チャット・通知・承認・ビデオ会議と同一アプリ。連携構築が不要 | チャットツールとは別システム。通知連携は個別構築 |
目安として、①得意先が大手量販店中心で EDI 接続が取引条件になっている、②SKU がロット・賞味期限・倉庫別で数万件規模に及ぶ、③在庫の評価法(先入先出等)まで厳密なシステム計算が必要——のいずれかに該当するなら、最初から専用販売管理システムを検討すべきです。逆に、受注経路が FAX・電話・メール中心で、SKU が数百〜数千、在庫管理の目的が「引当と発注点」レベルなら、Lark Base 内製で業務の背骨は組めます。そして重要なのは、内製で始めても無駄にならないことです。マスタ整備・商流のデータ化・現場の入力習慣という「DX の土台」は、将来専用システムに移る場合でもそのまま資産になります。ツール選定の考え方全般は Salesforce・Notion・kintone・Lark の使い分け でも整理しています。
料金の一次情報 — 30名の卸売会社でいくらかかるか
結論として、Lark は 20 ユーザーまで無料の Starter プランがあり、30名規模の卸売会社が本稼働する場合は Pro プラン(1ユーザー月額 ¥1,420・税抜・年払い)で月額 ¥42,600 が目安です。Lark公式料金ページ(2026年8月13日確認)の一次情報を整理します。
| プラン | 料金(税抜) | ユーザー上限 | Base 行数上限/テーブル | オートメーション/月 |
|---|---|---|---|---|
| Starter | ¥0 | 20 名 | 2,000 行 | 1,000 回 |
| Pro | ¥1,420/ユーザー・月(年払い) | 500 名 | 2 万行 | 5 万回 |
| Enterprise | 要お問い合わせ(個別見積) | 無制限 | 5 万行 | 50 万回 |
出典: Lark公式料金ページ(2026年8月13日確認)。Starter のユーザー上限は 2025 年 3 月 1 日の改定で 50 名から 20 名に変更されています。料金・上限は変更される場合があるため、最新は公式ページでご確認ください。
卸売業の設計で気をつけるべきは行数上限です。受発注テーブルは受注1件=1行(明細方式なら明細1行)で増えるため、月200件の受注なら年間 2,400 行。無料の Starter(2,000 行/テーブル)は検証・立ち上げ用と割り切り、本稼働は Pro(2 万行/テーブル)を前提にするのが安全です。それでも 30 名で月 ¥42,600——専用販売管理システムの多くが同価格帯かそれ以上で「販売管理だけ」を提供するのに対し、Lark はこの金額にチャット・ビデオ会議・ドキュメント・承認・メールまで含まれるため、既存のグループウェアやチャットツールの置き換えと合算で判断すると TCO はさらに下がります。プラン選定の詳細は Lark 料金完全ガイド2026、Teams や Google Workspace との比較は Lark vs Microsoft Teams・Lark vs Google Workspace をご覧ください。
💡 貴社の場合はいくらになる? 「うちの人数・受注件数だと、どのプランでいくらになるか」を試算します。無料相談で、現在お使いのツール(グループウェア・チャット・在庫 Excel)の合算コストと Lark 一本化後の比較表をお作りします。
自社EC事例 — 仕入れ・受発注・在庫を Lark に集約して240h→24h
結論として、「商品を仕入れて売る業務を Lark に集約する」モデルは、当社自身が自社 EC 事業で実証済みです。月 240 時間かかっていたバックヤード業務が 24 時間、90% の削減になりました。当社(アウフヘーベンジャパン株式会社・群馬県前橋市)は Lark コンサルティングと並行して自社 EC 事業(4 チャネル・約 200 SKU)を運営しており、仕入れ・受発注・在庫・売上集計というまさに「商品を仕入れて売る」商流を持っています。正直に書くと、受注処理そのものは EC 一元管理 SaaS でほぼ自動化できていました。手作業のまま残っていたのはその上のオペレーション層——倉庫との連絡が LINE とメールに分散して月 30 時間、売上分析・仕入れ販促の判断材料づくりが Excel 6 シートで月 36 時間、チャネル横断の顧客対応が月 72 時間——という、卸売業の「電話・FAX・Excel の突き合わせ」と同じ構造の仕事でした。
Lark への集約で何が変わったかを、卸売業に引き付けて言えば次の3点です。第一に、業務データが Base に、連絡が同じアプリのチャットに一元化されたことで「ツール間の往復と転記」という工程自体が消えたこと。第二に、在庫・販売実績が同じ Base にあるため、発注判断(何をいくつ仕入れるか)が集計待ちゼロで即断できるようになったこと。第三に、通知の自動化で「人が思い出して連絡する」仕事がなくなり、ミスの後始末に使っていた時間がそのまま消えたこと。240 時間 → 24 時間の全内訳と実装の詳細は 自社EC事業を Lark に集約して月240時間を24時間にした話 で公開しています。誇張なしに言えば、削減の主因は高度な AI ではなく、本記事で述べた「マスタ参照・履歴主義・ステータス駆動」という地味な構造化でした。だからこそ、同じ商流構造を持つ卸売業で再現性が高いと考えています。
90日で立ち上げる現実的3ステップ
結論として、卸売業の Lark Base 一元化は「30日でマスタ、60日で受発注、90日でフォームと自動化」の3段階で立ち上げるのが現実的です。一気に全部を作らないことが定着の条件です。
- Day 1–30|マスタ整備と在庫の載せ替え:得意先マスタ・商品マスタを Excel から CSV インポートで移行。掛率・締め日・ロット単位など「頭の中の条件」をフィールド化する。在庫は棚卸を1回やって開始残高を確定し、入出庫の記録運用を開始。この30日が全体価値の半分を占めます。
- Day 31–60|受発注テーブルの運用開始:社内の受注転記先を Excel から Base に切替。ステータス(受注→引当→出荷→請求)で流し、かんばんビューで毎朝滞留を確認。ダッシュボードにメトリックカードと得意先別ランキングを設置。
- Day 61–90|フォーム受注とオートメーション:協力的な得意先 2〜3 社からフォーム発注を開始。受注通知・出荷連絡・発注点アラートのオートメーションを設定し、「人が思い出す仕事」を仕組みに移す。
90 日ロードマップの汎用版(推進体制・社内の巻き込み方・失敗パターン)は 中小企業の DX を 90 日で軌道に乗せる実践ロードマップ に、導入がつまずく典型パターンは Lark 導入失敗の3パターン にまとめています。製造・物流の隣接業種での組み方は 製造業の工程管理・運送・物流業のDX が参考になります。
よくある質問(FAQ)
Q1. 卸売業の受発注管理に、専用の販売管理システムは必要ないのでしょうか?
会社によります。得意先との EDI 接続が取引条件になっている、SKU がロット・賞味期限込みで数万件規模、在庫評価法まで厳密な計算が必要——のいずれかに該当するなら専用システムが適します。一方、受注経路が FAX・電話・メール中心で SKU 数百〜数千の規模なら、Lark Base の内製で受発注・在庫・マスタの一元管理は構成できます。内製で整備したマスタとデータは、将来専用システムへ移行する場合もそのまま資産になります。
Q2. 得意先が Lark を使っていなくても、発注フォームに入力できますか?
できます。Lark Base のフォームビューは共有設定で「リンクを取得した全員が入力可能」を選択でき、フォームのリンクを受け取ったユーザーなら誰でもブラウザから回答・送信できます(Lark公式ヘルプ、2026年8月確認)。QR コード共有にも対応しています。送信された内容は受発注テーブルに自動で行として追加されるため、転記作業は発生しません。
Q3. 費用はどのくらいかかりますか?
Lark は 20 ユーザーまで無料の Starter プランで検証を始められます。本稼働は Pro プラン(1ユーザー月額 ¥1,420・税抜・年払い)が目安で、30 名なら月額 ¥42,600 です。この金額に業務データベース(Base)だけでなくチャット・ビデオ会議・ドキュメント・承認も含まれます(Lark公式料金ページ、2026年8月13日確認)。
Q4. 受発注データが増えると上限に当たりませんか?
Base の1テーブルあたり行数上限はプランごとに Starter 2,000 行/Pro 2 万行/Enterprise 5 万行です(Lark公式料金ページ、2026年8月確認)。月 200 件の受注なら年間約 2,400 行のため、無料プランは検証用と割り切り、本稼働は Pro を前提にするのが安全です。年度ごとにテーブルを分ける・過去データをアーカイブテーブルへ移すといった設計で長期運用にも対応できます。
Q5. Excel からの移行は大変ではありませんか?
得意先マスタ・商品マスタ・在庫の開始残高は CSV インポートで移行でき、最初の 30 日で「マスタ整備と在庫の載せ替え」だけに集中するのが定着のコツです。いきなり全業務を切り替えるのではなく、マスタ→受発注→フォーム・自動化の3段階で 90 日かけて立ち上げる手順を本文で解説しています。移行手順の詳細は Lark Base 脱Excel 30日チャレンジ をご覧ください。
まとめ — 受発注は「人が転記する仕事」から「仕組みが流す仕事」へ
本記事の要点を整理します。
- 卸売業の受発注が Excel・FAX・電話に分散するのは、受注窓口が得意先の数だけ存在する商流構造が原因。「転記の多重化」「在庫引当の遅延」「マスタの属人化」の3問題は連鎖しており、個別ツールではなくデータの連結でしか解けない。
- Lark Base の4テーブル連結モデル(得意先マスタ・商品マスタ・受発注・在庫入出庫)で業務の背骨を作る。単価・掛率はマスタに、在庫は履歴に、受注はステータスに持たせる。
- 受注の入口はフォーム共有(得意先は Lark 不要・QR 対応)で段階的に寄せ、転記そのものを消す。通知・アラートはオートメーションに任せる。
- EDI・大量 SKU が必須なら専用販売管理システム、商流がシンプルなら内製——中立な使い分け基準で判断する。内製の投資はどちらに転んでも資産になる。
- 費用は 20 名まで無料で検証でき、30 名の本稼働で月 ¥42,600(Pro・税抜)。90 日の3段階ロードマップで立ち上げる。
当社は自社 EC 事業で仕入れ・受発注・在庫を Lark に集約し、月 240 時間 → 24 時間(90% 削減)を実証しました。同じ「商品を仕入れて売る」商流を持つ卸売業は、このモデルがもっとも素直に効く業種のひとつです。まずは「受注が今、何経路で届いていて、誰が何分かけて転記しているか」を書き出すところから始めてください。
貴社の受発注・在庫を「1つの Base」に一元化する設計を60分で
得意先・商品・受発注・在庫の現状(Excel・FAX・電話の分散状況)を棚卸しし、4テーブル連結モデルへの落とし込みと、フォーム受注への移行順序を1枚の設計マップ(Lark Docs)にして無料でお渡しします。まずは20名まで無料の Starter で作る検証環境の設計まで、その場で道筋をつけます。専用システムありきではなく、内製で足りるかから中立にご提案します(その場での売り込みはしません)。
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- アウフヘーベンジャパン株式会社 会社案内 — 群馬・前橋拠点。Lark 導入を支援する独立系コンサルティング事業者。
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