Notes/Domino 移行先として Lark Base を選ぶ2026 — 脱Notesを「3〜5年の段階移行」で現実解にする中小企業の実装設計

脱Notes / 業務DB移行 / 段階移行の設計

目次

Notes/Domino 移行先として Lark Base を選ぶ2026 — 脱Notesを「3〜5年の段階移行」で現実解にする中小企業の実装設計

「Notes(ノーツ)を作った人がもう社内にいない。でも中で動いている業務アプリが多すぎて、一気に別のツールへ移す踏ん切りがつかない」——長年 IBM Notes/Domino(現 HCL Notes/Domino)で業務を回してきた中小企業ほど、この”移れないジレンマ”を抱えています。本記事は、脱Notesを「一括のリプレース」ではなく「資産の棚卸しから始める3〜5年の段階移行」として捉え直し、Notes の業務データベースを LarkBase(多機能データベース)へ現実的に置き換えていく設計図を、移行の”難所”と”限界”まで含めて解説します。前提となる HCL 製品の最新事情と、当社が自社ECで 月240時間→24時間(90%削減)を実証した運用ノウハウをもとにまとめました。

所要 19 分 / Notes/Domino を使い続けている中小企業の経営者・情シス・DX 担当者向け / 2026 年 8 月 9 日更新

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脱Notesで最初にやるべきは、ツールを選ぶことではなく「社内に何本の Notes DB があり、どれが今も使われ、どれを移すべきか」を棚卸しすることです。当社は群馬・前橋で自社EC事業を Lark に集約し、専任エンジニアなしで 月240時間 → 24時間(90%削減)を実証しました。その運用ノウハウをもとに、御社の Notes 業務アプリの一覧化・3分類(廃止/現状維持/移行)・Lark Base への置き換え優先順位づけを、60分の無料相談で一緒に行います。Lark Base の移行テンプレートもご提供します。

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この記事でわかること

  • 脱Notesを成功させる考え方 — なぜ「一括リプレース」ではなく「棚卸し→3〜5年の段階移行」が中小企業の現実解なのか
  • HCL Notes/Domino は”終わった製品”ではないという前提の正しい理解と、それでも多くの企業が移行を検討する本当の理由(開発・保守人材の枯渇、オンプレ運用負担、モバイル/クラウド対応)
  • 移行先の選択肢(Microsoft 365 / kintone / Lark Base)の役割分担と、Lark Base が中小企業に効く領域
  • Notes 資産を 「廃止・現状維持・移行」に3分類する棚卸しの手順と、業務DBを Lark Base に置き換える実装パターン
  • データ移行の現実 — エクスポート・整形・インポート・API連携の手順と、正直に押さえるべき”限界”
  • Lark に載せるもの/載せないものの線引き(メール・カレンダー・LotusScript の作り込みの扱い)と、Notes 維持 vs Lark 一本化のコスト比較

目次

  1. 結論 — 脱Notesは「棚卸し→段階移行」。Lark Base は中小企業の現実的な受け皿になる
  2. 前提を正す — HCL Notes/Domino は「終わった製品」ではない。それでも移行を検討する本当の理由
  3. なぜ脱Notesは進まないのか — 中小企業がつまずく4つの壁
  4. 移行先を並べる — M365 / kintone / Lark Base の役割と、Lark Base が効く領域
  5. 移行の設計図① — Notes資産の棚卸しと「廃止・現状維持・移行」の3分類
  6. 移行の設計図② — Notes業務DBを Lark Base に置き換える実装パターン
  7. データ移行の現実 — エクスポート・整形・インポート・APIの手順と限界
  8. Lark がやること/やらないこと — メール・カレンダー・LotusScriptの線引き
  9. コスト比較 — Notes維持 vs Lark 一本化
  10. 自社事例 — 240h→24h の実証を「脱・属人化」移行に応用する
  11. 3〜5年で進める段階移行ロードマップ
  12. 脱Notes特有のつまずきポイントと回避策
  13. よくある質問(FAQ)
  14. まとめ — 「移れないジレンマ」から「移せるところから移す」へ

結論 — 脱Notesは「棚卸し→段階移行」。Lark Base は中小企業の現実的な受け皿になる

結論を先に述べます。脱Notesは、「決められた期日までに全 Notes DB を別ツールへ一括移行する」プロジェクトとして構えるとほぼ失敗します。長年の運用で積み上がった業務データベースは想像以上に本数が多く、しかも作った人が退職・異動して中身がブラックボックス化しているケースが少なくないからです。中小企業にとっての現実解は、まず社内の Notes 資産を棚卸しして「廃止・現状維持・移行」に仕分け、使われていて移す価値のあるものから、3〜5年かけて段階的に置き換えていくことです。

その”移行先”として、中小企業に現実的な受け皿になるのが Lark Base です。Notes の強みは、メール・掲示板・申請ワークフロー・各種台帳といった「業務アプリを1つの基盤の上でまとめて動かせる」ところにありました。Lark も、チャット・ドキュメント・データベース(Base)・カレンダー・承認・ビデオ会議を1つのアプリ・1つのIDで統合したグループウェアで、この”統合されている”という性質が Notes と近い。だからこそ、Notes で作り込んだ台帳・案件管理・申請フロー・社内文書を、機能ごとにバラバラのSaaSへ散らすのではなく、Lark という1つの基盤の上にノーコードで作り直せるのです。

ただし、ひとつ明確な線引きが必要です。Lark Base は Notes の完全な互換品ではありません。LotusScript で緻密に作り込んだ画面遷移やボタン動作、複雑なアクセス制御をそのまま自動変換できるわけではなく、移行は「同じものを再現する」のではなく「業務を今の形に合わせて作り直す」作業になります。この割り切りができるかどうかが、脱Notesの成否を分けます(詳細は第8章)。

読み方のポイント: 本記事の HCL Notes/Domino に関する記述は HCL Software の公式情報に、IT人材不足・DXに関する数値は 経済産業省・IPA の公表資料に、Lark の機能・料金は Lark 公式サイトに基づく引用です(いずれも2026年8月時点)。製品仕様・料金・要件は改定される場合があります。実際の移行計画・ツール選定・契約の判断時には、必ずリンク先の一次ソースおよび各ベンダー・専門家にご確認ください。

前提を正す — HCL Notes/Domino は「終わった製品」ではない。それでも移行を検討する本当の理由

結論として、「Notes はもうサポートが切れる/終わった製品だから移行しなければならない」という前提は正確ではありません。移行を検討するなら、まず事実を正しく押さえたうえで、自社にとっての本当の理由を言語化することが大切です。

Notes/Domino は、2018年12月に IBM が売却を発表し、2019年7月に HCL(HCLSoftware)が全事業を取得しました。その後 HCL は開発を継続しており、最新版の HCL Notes/Domino 14.5 が2025年6月17日にリリースされています。サーバー保守の自動化やクライアントの自動更新など、モダナイズも進められています(出典: HCL Software「Domino 14.5 リリースノート」、2026年8月確認)。つまり、Notes/Domino は今もアクティブに開発・サポートされている現役の製品であり、「使い続けること」自体は選択肢として成立します。「◯年にサポート終了」といった断定的なフェイク情報に振り回されないことが、冷静な意思決定の第一歩です。

では、なぜそれでも多くの中小企業が脱Notesを検討するのか。理由は”製品の終焉”ではなく、自社側の事情にあります。主に次の3つです。

移行を検討する本当の理由 中小企業で起きていること
①開発・保守人材の枯渇 LotusScript や独自の Notes DB 設計に精通した担当者が退職・高齢化。改修や障害対応ができる人がいなくなり、”塩漬け”のまま誰も触れない
②オンプレ運用の負担とコスト 自社サーバーの保守・OSアップデート・バックアップ・災害対策を情シス(または兼任者)が抱え、クラウド全盛の中で運用コストが相対的に重くなる
③モバイル/社外アクセス/連携の弱さ スマホでの利用、社外からの安全なアクセス、他のクラウドSaaSとの連携が、現代の働き方に対して物足りない。新しい人材が使いづらいと感じる

とりわけ①の人材の枯渇は、中小企業のIT全体に共通する構造問題です。経済産業省の委託調査では、2030年にはIT人材が最大で約79万人不足すると試算されています(出典: 経済産業省「IT人材需給に関する調査」報告書)。特定製品の専門スキルに依存した仕組みは、その担い手がいなくなった瞬間にリスクへ変わります。だからこそ、「特定の職人技がなくても、社内の普通の担当者が維持・改修できる仕組み」へ作り替える——これが脱Notesの本質的な目的になります。ノーコードで内製する考え方は IT人材ゼロでも業務システムは内製できる(Lark Base ノーコード戦略) で詳しく解説しています。

なぜ脱Notesは進まないのか — 中小企業がつまずく4つの壁

結論として、脱Notesが進まないのは「やる気がないから」ではなく、移行に固有の4つの壁があり、それを一気に越えようとするからです。壁を分解して一つずつ崩す前提に立てば、道は開けます。

内容 崩し方の方向
①本数の壁 長年でNotes DBが数十〜数百本に増殖。全体像が誰にも見えていない 全部移そうとせず、まず一覧化して「使われているもの」だけに絞る
②ブラックボックスの壁 作った人が不在で、中の仕様・ロジックが分からない 仕様を解読して”再現”するのではなく、現場の今の業務から要件を作り直す
③再現性の壁 複雑なワークフロー・アクセス制御・ボタン動作を1製品で完全再現するのは難しい 「完全再現」を捨て、業務の目的を満たす最小構成に割り切る
④停止できない壁 日々の業務が動いているため、一括カットオーバーのリスクが高い 1業務ずつ並行運用しながら段階的に切り替える

4つの壁に共通する崩し方は、「全部・一気に・完全に」をやめて、「使われているものから・段階的に・目的を満たす形で」に切り替えることです。太平洋セメントのような大規模な脱Notesの事例でも、成功の鍵は綿密なアセスメント(現状調査)と段階的な進行にあると報告されています(参考: ワークスアプリケーションズ「Notes移行のアセスメント」)。中小企業はなおさら、少人数で回せる小さな単位に区切ることが定着の条件になります。DXが失敗する典型パターンと回避策は 中小企業のDXが失敗する典型パターンと回避策 もあわせてご覧ください。

移行先を並べる — M365 / kintone / Lark Base の役割と、Lark Base が効く領域

結論として、脱Notesの移行先は「メール・グループウェア基盤」と「業務DB(アプリ)基盤」の2層で考えると整理できます。Notes は両方を1製品で抱えていたため、移行先も両方をどう手当てするかがポイントになります。代表的な選択肢を並べます。

移行先 得意領域 中小企業から見た留意点
Microsoft 365
(+SharePoint / Power Platform)
メール・Office・大企業の標準基盤。業務アプリは Power Apps 等で構築 機能は広いが、業務アプリの内製には Power Platform の学習・ライセンス設計が要り、少人数だと重くなりがち
kintone 業務DB・アプリの内製に特化。日本語サポートと定着支援が手厚い 業務DBは得意だが、チャット・会議・メールなどは別ツールを併用する前提。統合基盤としては範囲が限定的
Lark(Base) チャット・Docs・データベース・承認・会議・カレンダーを1つのIDで統合。Base で業務アプリをノーコード内製 Notes の”統合されている”性質に近い受け皿。メールは独自ドメイン運用や外部連携の設計が必要な場合がある

Notes/Domino から Microsoft 365・kintone への移行は、いわば”王道”として多くの解説があります(参考: Notes/Domino から M365・kintone への移行戦略)。一方で、Lark Base を移行先に据える中小企業向けの実践情報はまだ少ない——ここに本記事の狙いがあります。Lark Base が Notes の受け皿として効くのは、次のような場合です。

  • Notes を”統合基盤”として使ってきた会社 — メール・掲示板・申請・台帳を1つで回してきたなら、同じく統合型の Lark が業務感覚に合いやすい
  • 専任のIT人材がいない会社 — Base はノーコードで、現場の担当者が自分で作り・直せる。特定スキルへの再依存を避けられる
  • コストを抑えたい会社 — 20名まで無料の Starter プランがあり、スモールスタートしやすい(後述のコスト比較
  • チャットや会議もまとめて刷新したい会社 — 業務DBの移行と同時に、社内コミュニケーション基盤も1本化できる

逆に、Excel と Access で回してきた台帳の延長で考えるなら、脱Excelの観点から入るのも有効です(Lark Base 30日で脱Excel移行ガイド)。ツールの使い分け全体像は Salesforce・Notion・kintone・Lark 使い分け 判断基準2026、kintone との直接比較は Lark vs kintone 徹底比較 で詳しく扱っています。

「うちの Notes、どこから手を付ければいい?」を60分で整理します

移行先の比較で迷う前に、自社の Notes 資産を棚卸しして「移す価値のある業務」を特定することが先決です。当社は自社ECを Lark に集約した実証と、中小企業のDX伴走の経験から、御社の Notes 業務アプリを一覧化し、Lark Base への置き換え優先順位を一緒に描きます。

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移行の設計図① — Notes資産の棚卸しと「廃止・現状維持・移行」の3分類

結論として、脱Notesの最初の一歩は「社内の Notes DB を全部リストアップし、3つに仕分けること」です。移すべきものを見極めれば、プロジェクトは一気に現実的な大きさになります。仕分けの基準は次のとおりです。

分類 判定の目安 打ち手
廃止 直近1年アクセスなし/役割が終わった/重複している データを保管用にエクスポートして凍結。移行対象から外す
現状維持 今も使うが移行の費用対効果が低い/法令等で当面 Notes 上に残す必要がある 当面 Notes で維持。次フェーズで再評価する
移行 日常的に使われ、脱・属人化やモバイル対応の効果が大きい Lark Base 等へ優先的に移行。効果が見えやすいものから着手

この棚卸し自体を、Lark Base に「Notes資産台帳」を1つ作って進めると効率的です。DB名・用途・利用部署・最終利用日・データ件数・作った人・複雑度・3分類・移行優先度のフィールドを持たせ、ビューで「移行×高優先度」を絞り込めば、着手すべき順番がそのまま可視化されます。皮肉なようですが、脱Notesの管理台帳を作る作業そのものが、Lark Base のミニ導入体験になる——ここで「これなら自分たちで作れる」という手応えを掴むことが、後の移行を軽くします。データベースの基礎は Lark Base が中小企業の業務効率を変える3つの理由 を参照してください。

棚卸しのコツ: 「完璧な一覧」を目指さないこと。まず利用部署にヒアリングして「今週も触っているDB」を洗い出せば、それが移行候補の中核です。使われていないDBの精密な調査に時間をかけるより、生きている業務から着手するほうが、投資対効果は圧倒的に高くなります。

移行の設計図② — Notes業務DBを Lark Base に置き換える実装パターン

結論として、Notes で作られた業務アプリの多くは、4つの典型パターンに整理でき、それぞれ Lark の機能に素直にマッピングできます。「移行」に分類したDBを、この型に当てはめて作り直していきます。

Notes の業務DB類型 置き換え先の Lark 機能 作り直しの要点
①文書DB・ナレッジ
(規程・議事録・マニュアル)
Lark Docs / Wiki 階層と全文検索を整え、権限を部署単位で設定。リッチな文書は Docs、体系的な知識は Wiki に
②申請・承認ワークフロー
(稟議・各種申請)
Lark 承認(Approval)+ Base 複雑な分岐は”完全再現”せず、現行の運用を棚卸しして最小の承認経路に整理し直す
③台帳・案件管理
(顧客・案件・在庫・設備)
Lark Base(テーブル+ビュー) レコード=1行に置き換え。リレーション(Notes の文書リンク)は Base のリンク列で表現
④掲示板・回覧
(連絡・共有)
Lark Messenger(グループ/トピック) DBではなくチャットのグループ・トピックに移すと、既読・リアクションで運用が軽くなる

ここで最重要なのが②の申請・承認ワークフローです。Notes の脱・移行で最後まで残る難所は、たいていワークフローだからです。長年の運用で分岐や例外が積み重なり、「完全再現」を目指すと移行が止まります。打ち手は明快で、まず現行フローの棚卸し(誰が・何を・どの順で承認しているか)を行い、実際にはほとんど使われていない分岐を削ぎ落として、最小の承認経路に作り直すことです。Lark 承認は申請フォームと承認ルートをノーコードで組め、承認履歴も残ります。具体的な組み方は Lark 承認ワークフロー実装ガイド で手順化しています。

③の台帳・案件管理は、Lark Base の最も得意な領域です。Notes 文書のフィールドを Base の列に対応させ、文書間リンクは Base のリンク列(レコード参照)で表現します。ステータス管理はカンバンビュー、期日管理はカレンダー/ガントビューに切り替えれば、Notes ビューより直感的に扱えます。工程・案件をガントで一元管理する手順は Lark Base のガントチャートで案件・工程管理を一元化する完全手順 を参考にしてください。

データ移行の現実 — エクスポート・整形・インポート・APIの手順と限界

結論として、Notes からのデータ移行は「エクスポート → 整形 → インポート」の3ステップが基本で、件数が多い・自動連携したい場合はAPIを使います。ただし、移行には正直に押さえるべき”限界”があります。まず基本の流れです。

ステップ やること
①エクスポート Notes ビューを CSV/構造化データで書き出す。添付ファイルは別途取り出す。文字コード(日本語)に注意
②整形 列名・型・日付形式を Lark Base のフィールド設計に合わせる。不要列を削り、リンク関係を整理する
③インポート Lark Base に CSV/Excel を取り込み、フィールド型(選択肢・日付・担当者など)を確定させる
④(任意)API連携 大量データ・定期同期は Lark Base の API で自動化。既存システムとの並行運用に有効

Lark Base には API が用意されており、レコードの一括作成・更新・取得をプログラムから行えます。移行のデータ投入や、移行期間中の Notes ↔ Lark の並行運用(片方向同期)を自動化したい場合に効きます。API を使った自動化の入門は Lark Base API × MCP で自社業務を自動化する実装入門 で解説しています(機能の詳細は Lark 公式ヘルプセンターで確認できます)。

正直に押さえる”移行の限界”:

  • ロジックは移せない — LotusScript や式言語で書かれた処理は自動変換できない。Base のオートメーションや計算列で”作り直す”
  • 1テーブルの行数上限 — Lark Base は1テーブルあたり Starter 2,000行/Pro 2万行/Enterprise 5万行が目安(2026年8月時点、後述)。巨大DBはテーブル分割やアーカイブ設計が必要
  • 添付・リッチテキスト — Notes の作り込まれたリッチテキストや埋め込みは、そのままの見た目では移らない。文書は Docs、ファイルはドライブへ役割分担する
  • 履歴・権限の再設計 — アクセス制御(Notes の ACL)は思想が異なるため、Base の権限モデルで組み直す

※上限値・機能は改定される場合があります。移行前に必ず Lark 公式料金プランと自社テナントで最新仕様をご確認ください。

この”限界”は弱点ではなく、移行を「完全再現」から「今の業務に合わせた作り直し」へ切り替える設計上の前提です。むしろ、使われていない分岐や形骸化した項目をこの機会に削ぎ落とせるのは、脱Notesの副産物としての大きなメリットになります。

Lark がやること/やらないこと — メール・カレンダー・LotusScriptの線引き

結論として、Lark は Notes の”業務DB・コミュニケーション・文書・申請”の受け皿にはなりますが、Notes 上のあらゆる作り込みを1対1で引き継ぐものではありません。この線引きを最初に決めておくことが、移行の見積もりと期待値を健全に保ちます。

Notes の要素 Lark での扱い
業務DB(台帳・案件) ◎ Lark Base に作り直す(本記事の中心)
申請・承認 ◎ Lark 承認で最小経路に整理して再構築
文書・掲示板 ◎ Docs/Wiki・Messenger へ移す
カレンダー・会議 ◎ Lark カレンダー・ビデオ会議に統合
メール(Domino メール) △ Lark メールは独自ドメイン運用・移行設計が別途必要。既存メール基盤を残す選択も現実的
LotusScript の作り込み ✕ 自動移植は不可。オートメーション・計算列・API で目的を再実装

要は、Lark に載せるのは「業務の目的」であって「Notes の実装」ではないということです。メールをどうするか(Lark メールに寄せるのか、既存を残すのか)、緻密なスクリプト処理をどこまで作り直すのか——ここは会社ごとに判断が分かれる部分なので、棚卸しの段階で方針を決めておきます。Microsoft 365 を併用する構成や、他ツールからの移行判断は M365 値上げで中小企業のSaaSコストはどう変わるか(Lark 統合への移行判断) も参考になります。

コスト比較 — Notes維持 vs Lark 一本化

結論として、オンプレの Notes/Domino を維持し続けるコスト(サーバー保守・人材・ライセンス)と、Lark に集約したときのコストを並べると、中小企業では Lark 一本化が割安になるケースが多いです。まず Lark の公式料金(2026年8月時点、すべて税抜)を整理します。

プラン 料金(1ユーザー/月) ユーザー上限 Base 1テーブル行数 / ストレージ
Starter ¥0(無料) 20名まで 2,000行 / 100GB
Pro ¥1,420(年払い) 500名まで 2万行 / 15TB
Enterprise 要お問い合わせ(個別見積) 無制限 5万行 / 15TB+1人あたり30GB

出典: Lark 公式料金プラン(2026年8月確認)。表示はすべて税抜、Pro は年払い価格。Enterprise は公式ページ上で公開価格の掲示がなく「お問い合わせ」のみ。

ポイントは、まず Starter(20名まで無料)で移行のパイロットを始められることです。棚卸しで「移行×高優先度」に挙がった業務DBを1〜2本、無料枠で Lark Base に作り直し、現場で並行運用してみる——ここまでを追加コストゼロで試せます。効果が確認できてから Pro(1ユーザー月1,420円)に上げればよく、いきなり大きな移行ライセンスを契約する必要はありません。

一方、Notes/Domino を維持する側のコストは、サーバーの保守・ハードウェア更新・バックアップ/災害対策・OSやミドルの保守、そして何より”触れる人材”の確保まで含めて考える必要があります。HCL のライセンスはユーザーID単位のサブスクリプションへ移行しており初期費用は下がっていますが、オンプレ運用に伴う人的コストと属人化リスクは残ります。この”見えにくい維持コスト”まで棚卸しに含めて比べることが、正しい判断につながります。SaaS全体のコスト見直しの観点は 中小企業 SaaS コスト見直しガイド、統合型に寄せる判断軸は SaaSポカリプス2026 — 統合型へ移行すべき理由 で詳しく扱っています。

自動化の一例: Lark Base のオートメーション機能を使えば、「案件のステータスが”要対応”になったら担当者にチャット通知」「期日が近いレコードを毎朝リマインド」といった連携をノーコードで組めます。オートメーションの実行回数は Starter で月1,000回、Pro で月5万回まで(2026年8月時点の公式値)。Notes のスクリプトで実現していた自動処理の多くは、この仕組みで作り直せます。

自社事例 — 240h→24h の実証を「脱・属人化」移行に応用する

結論として、私たちアウフヘーベンジャパンは自社のEC事業を Lark に集約し、月240時間かかっていた定型業務を月24時間まで、90%削減しました。専任のエンジニアを雇わず、ノーコードの Lark Base とオートメーションだけで実現した実証です。群馬・前橋を拠点に、この運用ノウハウを中小企業のDX伴走支援に応用しています。

この実証が脱Notesに効くのは、削減できた業務の構造が同じだからです。私たちがECで削ったのは、①バラバラのデータの手入力・転記、②担当者の頭に依存した進捗管理、③特定の人しか触れない作業——この3つでした。これは Notes 移行で立ちはだかる①複数DBへの二重入力、②ブラックボックス化した業務ロジック、③LotusScript を触れる人への依存と、ほぼ一対一で対応します。Notes の”職人技”を、現場の普通の担当者が維持・改修できるノーコードの仕組みに置き換える——これこそ脱Notesの本丸であり、私たちが自社で通ってきた道です。

応用のコツ: 一気に全DBを移さないこと。私たちも最初は「一番手間で、一番属人化していた1業務」だけを Base 化し、効果を確かめてから横に広げました。脱Notesなら、棚卸しで挙がった「毎日使われ、かつ触れる人が限られている1本」から着手するのが、効果を実感しながら定着させる近道です。

3〜5年で進める段階移行ロードマップ

結論として、脱Notesは「棚卸し半年 → パイロット → 段階カットオーバー」を数年かけて回すのが、少人数の会社でも破綻しない進め方です。焦って一括で切り替えるより、並行運用しながら1業務ずつ移すほうが、結果的に速く・安全に到達します。標準的な流れは次のとおりです。

フェーズ やること ゴール
フェーズ0
(〜6か月)
Notes 資産の棚卸し・3分類・移行優先度づけ。Lark を Starter で試験導入し、資産台帳を Base 化 移すべき業務DBと順番が確定し、Lark の操作感を掴む
フェーズ1
(6〜18か月)
最優先の1〜3業務を Lark Base/承認/Docs で作り直し、Notes と並行運用して検証 代表業務が Lark で回り、現場に成功体験ができる
フェーズ2
(18〜36か月)
「移行」分類のDBを順次移し替え、コミュニケーション基盤(チャット・会議)も Lark へ統合 日常業務の主戦場が Lark に移り、Notes 依存が縮小
フェーズ3
(36〜60か月)
残った「現状維持」DBを再評価し、メール・特殊処理の最終判断。Notes サーバーの縮退/停止を計画 オンプレ運用コストと属人化リスクを解消

この順番の肝は、フェーズ1で”効果が一番見えやすい1業務”を並行運用で成功させ、現場に手応えを作ることです。並行運用は一見二度手間に見えますが、業務を止めずに移せる安全弁であり、少人数の会社ほどこの安全弁が効きます。全社DXを軌道に乗せる時間軸の考え方は 中小企業のDXを90日で軌道に乗せる実践ロードマップ も参考にしてください。移行の伴走が必要なら、Lark Base 業務システム構築サービスLark 導入支援サービス でお手伝いします。

脱Notes特有のつまずきポイントと回避策

最後に、Notes から Lark Base へ移行する際に特有のつまずきと、その回避策をまとめます。

  • つまずき①:「サポート終了だから急げ」と焦る → 回避策:HCL Notes/Domino は現役製品(最新v14.5)。フェイクの期限情報で判断を歪めない。移行の理由は”製品の終焉”ではなく人材枯渇・運用負担・属人化だと正しく言語化する。
  • つまずき②:全DBを完全再現しようとする → 回避策:棚卸しで「廃止・現状維持・移行」に3分類し、移すのは使われていて効果が大きいものだけ。完全再現ではなく”今の業務に合わせた作り直し”に割り切る。
  • つまずき③:ワークフローの分岐を全部持ち込む → 回避策:現行フローを棚卸しして、実際にはほぼ使われない例外分岐を削ぎ落とし、最小の承認経路に整理してから Lark 承認で組む。
  • つまずき④:一括カットオーバーで業務が止まる → 回避策:Notes と Lark を並行運用し、1業務ずつ切り替える。API で片方向同期しておくと移行期間の二重入力を減らせる。
  • つまずき⑤:メールとスクリプト処理の方針を後回しにする → 回避策:棚卸しの段階で、メール(Lark に寄せるか既存を残すか)と LotusScript の作り込み(どこまで作り直すか)の方針を先に決める。ここが曖昧だとフェーズ3で止まる。

これらはいずれも、「Notes と同じものを、期限までに、全部」を目指すから起きるつまずきです。まず棚卸しで移すものを絞り、効果の大きい1業務から並行運用で移せば、無理なく脱Notesの土台が整います。

脱Notes、どのDBから移すべきかを60分で見極めませんか

「本数が多くて手を付けられない」——その状態から抜け出す第一歩は、資産の棚卸しと優先順位づけです。自社EC で 240h→24h を実証した運用ノウハウと、Notes資産台帳・移行優先度の Lark Base テンプレートを無料相談でご提供します。

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よくある質問(FAQ)

Q. Notes/Domino はサポート終了しますか?急いで移行すべきですか?

Notes/Domino は2019年に HCL が全事業を取得し、現在も開発・サポートが継続されている現役の製品です。最新版の HCL Notes/Domino 14.5 が2025年6月にリリースされています。したがって「サポート終了が迫っているから急いで移行」という前提は正確ではありません。移行を検討する本当の理由は、LotusScript や Notes DB 設計に精通した人材の枯渇、オンプレ運用の負担、モバイル・クラウド連携の弱さといった自社側の事情です。期限に追われるのではなく、これらのリスクを踏まえて計画的に判断するのが適切です。

Q. Notes の業務アプリを Lark Base にそのまま移行できますか?

「そのまま自動変換」はできません。データ(台帳・レコード)はエクスポートして整形し、Lark Base にインポートできますが、LotusScript や式言語で書かれたロジック、複雑なワークフローの分岐、作り込まれた画面は自動移植できず、Lark のオートメーション・計算列・承認機能で”作り直す”ことになります。これは弱点というより、使われていない分岐や形骸化した項目をこの機会に削ぎ落とし、今の業務に合った形へ整理し直せるメリットでもあります。

Q. 移行にはどのくらいの期間がかかりますか?

会社の規模と Notes DB の本数によりますが、中小企業では「棚卸し半年 → パイロット → 段階カットオーバー」で3〜5年をかけるのが現実的です。一括で全DBを切り替えるのではなく、資産を「廃止・現状維持・移行」に3分類し、使われていて効果の大きい業務から1本ずつ、Notes と並行運用しながら段階的に移すことで、業務を止めずに安全に進められます。まず移す価値のあるDBを絞り込むことが、期間短縮の最大のコツです。

Q. 移行先として kintone や Microsoft 365 とどう違いますか?

kintone は業務DB・アプリの内製に特化し日本語サポートが手厚い一方、チャットや会議は別ツールの併用が前提です。Microsoft 365 はメールとOfficeの標準基盤ですが、業務アプリの内製には Power Platform の学習とライセンス設計が必要になりがちです。Lark は、チャット・Docs・データベース(Base)・承認・会議・カレンダーを1つのIDで統合しており、Notes の”統合されている”性質に最も近い受け皿です。専任IT人材がいない、コストを抑えたい、コミュニケーション基盤もまとめて刷新したい中小企業に向いています。

Q. Lark Base の容量で、Notes の大量データは足りますか?

Lark Base の1テーブルあたりの行数目安は、Starter で2,000行、Pro で2万行、Enterprise で5万行です(2026年8月時点の公式値、税抜料金は Pro が1ユーザー月1,420円)。巨大なDBはテーブル分割やアーカイブ設計が必要になる場合があります。まずは20名まで無料の Starter で優先度の高い業務DBを試験的に移し、規模が必要になった段階で Pro / Enterprise に上げる進め方が現実的です。正確な上限は Lark 公式料金ページと自社テナントでご確認ください。

まとめ — 「移れないジレンマ」から「移せるところから移す」へ

脱Notesが進まないのは、意志の問題ではなく「全部・一気に・完全に移そう」とするからです。HCL Notes/Domino は今も現役の製品であり、期限に追われて慌てて動く必要はありません。だからこそ落ち着いて、まず社内の Notes 資産を棚卸しして「廃止・現状維持・移行」に仕分け、使われていて効果の大きい業務から、3〜5年かけて段階的に置き換えていく——これが中小企業にとっての現実解です。

その移行先として、チャット・文書・データベース・承認・会議を1つに統合した Lark は、Notes の”統合されている”性質に近い受け皿になります。そして Lark Base なら、特定のスキルを持つ職人がいなくても、現場の普通の担当者が業務アプリを作り・直せる。これは、脱Notesの本当の目的である「脱・属人化」に直結します。まずは20名まで無料の Starter で、一番手強い1業務を Lark Base に移してみるところから。その小さな一歩が、「移れないジレンマ」を「移せるところから移す」実行力に変えます。「どのDBから始めるか」を一緒に見極める無料相談を、ぜひご活用ください。

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Lark は ByteDance Ltd. の登録商標です。当社は Lark の導入を支援する独立した第三者コンサルティング事業者であり、ByteDance 社の公式機関ではありません。HCL Notes/Domino は HCL Technologies(HCLSoftware)、kintone はサイボウズ株式会社、Microsoft 365・SharePoint・Power Platform は Microsoft Corporation の各商標・サービスです。本記事中の HCL Notes/Domino に関する情報は HCL Software の公式情報に、IT人材不足に関する数値は経済産業省の委託調査に、Lark の料金・機能は Lark 公式サイトに基づく引用です(いずれも2026年8月時点)。製品仕様・料金・上限・要件は改定される場合があるため、実際の移行計画・ツール選定・契約の判断時には、一次ソースおよび各ベンダー・専門家・自社テナントで最新情報をご確認ください。

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