不動産DX / 賃貸・売買仲介の業務効率化 / 脱・属人化
不動産業(賃貸・売買仲介)の中小DX2026 — 物件・顧客・契約・オーナー報告を Lark で一元化し、脱・属人化する実装ガイド
「物件情報はポータルと自社サイトとExcel、追客は担当者の頭とLINE、契約書類は紙ファイル、オーナーへの報告は月末にまとめて手打ち」——多くの中小の不動産・仲介会社が、この分断とベテラン頼みの属人化を抱えたまま、電子契約の全面解禁という大きな制度変化を迎えています。高機能で月額固定の専用システムを次々に契約する前に、まず物件・顧客(追客)・内見と契約書類・入金とオーナー報告という”バラバラの情報”を1つにまとめるだけで、反響対応も引き継ぎも大きく変わります。本記事は、その一元化を Lark の Base(物件台帳・追客・オーナーDB)・Docs(マニュアル)・Chat(社内連絡)・承認(申請)・カレンダー(内見)で実装する手順を、国土交通省・矢野経済研究所などの公開情報と自社の実証をもとに具体化します。
所要 18 分 / 不動産・仲介会社の経営者・店長・営業リーダー向け / 2026 年 8 月 7 日更新
御社の物件・顧客・契約の流れを一緒に棚卸しする無料相談(60分)
少人数の不動産会社で効くのは「高機能な専用SaaSを積むこと」より、営業が毎日触る物件・追客・契約書類を1つに集約することです。当社は群馬・前橋で自社EC事業を Lark に集約し、専任エンジニアなしで 月240時間 → 24時間(90%削減)を実証しました。その運用ノウハウをもとに、御社の物件台帳・反響管理・内見調整・オーナー報告を可視化し、Lark Base/Docs のテンプレートを60分の無料相談でご提供します。
この記事でわかること
- なぜいま不動産・仲介業にDXが必要なのか — 2022年5月の電子契約全面解禁と、地場・中小が大半を占める業界構造、深刻な属人化という三重の圧力
- 店舗に散らばった業務を可視化する「物件・顧客(追客)・内見/契約・オーナー報告」4領域の棚卸し
- 物件台帳・反響追客・内見/契約書類・入金/オーナー報告を Lark Base/Docs/Chat/承認/カレンダーで一元化する設計図
- Lark は REINS・レインズ登録や不動産管理会計システムそのものではないという線引き — どこまでを Lark に載せ、どこから専用システムに任せるか
- 専用の不動産SaaSの積み上げと Lark 一本化のコスト比較(公式料金・プラン別)
- ベテラン依存を解く90日の脱・属人化ロードマップと、不動産業特有のつまずきポイント
目次
- 結論 — 専用SaaSを積むより先に、物件・顧客・契約を Lark Base で一つにまとめる
- なぜいま不動産・仲介業にDXが要るのか — 電子契約解禁・業界構造・属人化の三重圧力
- 店舗の「散らばり」を可視化する — 物件・追客・内見/契約・オーナー報告の4領域
- Lark で組む一元化の設計図 — Base/Docs/Chat/承認/カレンダーの役割分担
- 領域別の実装 — 物件台帳/反響追客/内見・契約書類/入金・オーナー報告
- REINS・管理会計システムとの線引き — Lark がやること/やらないこと
- コスト比較 — 専用SaaSの積み上げ vs Lark 一本化
- 自社事例 — 240h→24h の実証を仲介業務へ応用する
- 90日で脱・属人化するロードマップ
- 不動産業特有のつまずきポイントと回避策
- よくある質問(FAQ)
- まとめ — 「システムを増やす」から「情報を一つにまとめる」へ
結論 — 専用SaaSを積むより先に、物件・顧客・契約を Lark Base で一つにまとめる
結論を先に述べます。中小の不動産・仲介会社のDXは、いきなり高機能で月額固定の専用システムを何本も契約することではありません。少人数の店舗でまず効くのは、営業とバックオフィスが毎日触る”情報の散らばり”を1つに集約することです。物件はポータルとExcel、追客は担当者の頭とLINE、内見の予定は個人の手帳、契約書類は紙ファイル、オーナーへの報告は月末にまとめて手打ち——この分断こそが、反響を取りこぼし、担当が変わると引き継げず、ベテラン1人に依存する属人化の最大の原因だからです。
その分断を、多くの営業がすでにスマホで使っているチャットの延長線上、つまり Lark の中で解消できます。物件台帳・追客(反響)管理・オーナー名簿・契約進捗は Lark Base、重要事項説明や案内の定型文・業務マニュアルは Lark Docs、社内連絡と情報共有は Lark Chat、稟議や休暇・広告費の申請は Lark 承認、内見と契約の予定は Lark カレンダー——これらを1つのアプリに集約すれば、紙とExcelとLINEに散らばっていた店舗業務が「探さなくても揃っている」状態になります。専用の顧客管理・グループウェア・勤怠を個別に契約しなくても、脱・属人化の土台を最小コストで作れる——これが本記事の主張です。
ただし、ひとつ明確な線引きが必要です。Lark は指定流通機構(REINS)への登録システムや、賃貸管理会計・家賃送金の専用パッケージの代わりにはなりません。法定のシステムや会計・送金の領域は、それぞれ認証された専用システムで扱うべきです。本記事で Lark に集約するのは、あくまで物件情報の社内共有・追客・内見調整・契約進捗・オーナーへの定例報告といった”営業と管理の周辺業務”。この区切りを守ることが、DXを安全に前へ進める前提になります(詳細は第6章)。
読み方のポイント: 本記事の宅建業法改正・電子契約に関する記述は デジタル改革関連法および国土交通省の宅地建物取引業法関連の公開情報に、業界の市場規模・業者数は 矢野経済研究所の不動産テック市場調査および 国土交通省「宅地建物取引業法の施行状況調査」に基づく引用です(2026年8月時点)。制度・要件・数値は改定される場合があります。実際の契約実務・重要事項説明・個人情報の取り扱いを判断する際は、必ずリンク先の一次ソースおよび所轄の行政・宅建協会・専門家にご確認ください。また Lark の機能・料金も2026年8月時点の公式公開情報に基づきます。
なぜいま不動産・仲介業にDXが要るのか — 電子契約解禁・業界構造・属人化の三重圧力
結論から言うと、不動産・仲介業は「契約が電子化される」制度の圧力、「地場・中小が競争を強いられる」構造の圧力、「ベテランに依存する」属人化の圧力を同時に受けており、その三重苦を解く最短ルートが情報の一元化です。順番に見ていきます。
圧力①:2022年5月、不動産契約の電子化が全面解禁された
まず制度側の変化です。デジタル改革関連法に基づく宅地建物取引業法の改正により、2022年5月18日から、重要事項説明書(35条書面)や契約締結時書面(37条書面)などの電磁的方法による交付が全面的に解禁されました。これにより、映像と音声の双方向でつなぐIT重説に加えて、賃貸・売買を問わず契約書類そのものを電子で交付できるようになり、不動産取引はオンラインで完結する道が開けました(参考: デジタル庁 デジタル改革関連法、国土交通省 宅地建物取引業法関連の公表資料)。
この変化は、単に「紙が減る」だけの話ではありません。契約が電子で流れるということは、物件情報・顧客情報・契約書類・進捗が”データとして一貫してつながっていること”が前提になるということです。紙とExcelとメールに情報が散らばったままでは、電子契約の速さを活かせず、かえって二重入力や転記ミスが増えます。つまり電子契約の解禁は、その手前の社内情報の一元化を”待ったなし”にしたのです。
圧力②:業者の9割超が地場・中小という構造
次に業界構造です。国土交通省の「宅地建物取引業法の施行状況調査」によれば、宅地建物取引業者の数は2025年3月末時点で13万2,291社にのぼり、11年連続で増加しています。そのうち複数の都道府県にまたがる大臣免許業者はわずか3,158社で、残りの12万9,133社(約97.6%)は単一都道府県の知事免許業者——つまり地場・中小の会社です(出典: 国土交通省 令和6年度 宅地建物取引業法の施行状況調査結果)。
業者数が過去最多を更新し続けているということは、限られた反響と物件を、増え続けるプレイヤーで奪い合っているということでもあります。大手のように専任のシステム部門やDX予算を持てない地場・中小にとって、反響への初動の速さ・追客の抜け漏れのなさ・引き継ぎのスムーズさといった“オペレーションの質”が、そのまま成約率の差になって表れます。ここを支えるのが情報の一元化です。
圧力③:不動産テックは伸びるが、ツールの縦割りが属人化を残す
市場としての追い風は明確です。矢野経済研究所の調査では、国内の不動産テック(PropTech)市場は2022年度の約9,402億円から、2030年度には約2兆3,780億円へと約2.5倍に成長すると予測されており、すでに1兆円規模へと拡大しつつあります(出典: 矢野経済研究所 不動産テック市場に関する調査(2024年))。査定・電子契約・内見・管理など、あらゆる領域に専用サービスが登場しています。
ところが、この豊かさが新たな縦割りを生んでいます。物件はポータル、追客は営業支援ツール、電子契約は契約サービス、会計は管理システム——と道具が増えるほど、それらをつなぐ”のりしろ”が人手(=ベテランの記憶と手作業)になり、かえって属人化が深まるのです。中小企業全体を見ても、デジタル化は道半ばで、中小企業庁の資料では中小のDXが大企業に比べて大きく遅れていることが繰り返し指摘されています(出典: 中小企業庁 中小企業白書)。だからこそ、まずは散らばった情報を1つのプラットフォームに集約し、道具の間の”のりしろ”を仕組みに置き換えることが、遠回りに見えて最短の一手になります。中小企業のDXが失敗する典型パターンと回避策もあわせて押さえておくと、着手のつまずきを減らせます。
店舗の「散らばり」を可視化する — 物件・追客・内見/契約・オーナー報告の4領域
結論として、DXの第一歩は「いま、どの業務が、どの道具に、どう散らばっているか」を1枚に書き出すことです。中小の不動産・仲介会社の業務は、次の4領域に整理できます。
| 領域 | よくある”散らばり”の現状 | 起きている問題 |
|---|---|---|
| ①物件情報 | ポータル+自社サイト+物件Excel+担当者のメモが別々 | 募集中/申込済の反映が遅れ二重案内/最新の空室が誰も分からない |
| ②顧客・追客(反響) | 反響メールは受信箱、追客は担当者の頭とLINE、名刺は机の中 | 初動が遅れて他社に流れる/追客の抜け漏れ/担当交代で顧客が消える |
| ③内見・契約書類 | 内見予定は個人手帳、重説・契約書は紙ファイル、進捗は口頭 | ダブルブッキング/書類の版が分からない/どこまで進んだか本人しか知らない |
| ④入金・オーナー報告 | 入金確認はExcel、オーナー報告は月末に手打ち、修繕依頼は電話メモ | 報告作成に時間/対応履歴が残らない/オーナーの信頼を損ねる遅延 |
重要なのは、この4領域はどれも「法定のシステムそのもの」ではなく「営業と管理の周辺業務」だという点です。だからこそ、REINSや管理会計の専用システムを置き換えずに、汎用のグループウェアで安全に一元化できます。そして4領域に共通する問題は「情報が人の記憶と個別の道具に閉じ込められ、探すのに時間がかかり、担当が代わると引き継げない」こと。これを解くのが、次章で示す1つのアプリへの集約です。まずは自社の現状をこの表に沿って書き出すだけでも、削れる時間と取りこぼしの当たりがつきます。
Lark で組む一元化の設計図 — Base/Docs/Chat/承認/カレンダーの役割分担
結論として、4領域は Lark の5つの機能に素直にマッピングできます。Lark は、チャット(Messenger)・ドキュメント(Docs)・データベース(Base)・カレンダー・承認(Approval)・ビデオ会議などを1つのアプリ・1つのIDでまとめて使えるグループウェアで、機能ごとに別サービスを契約する必要がありません。役割分担は次のとおりです。
| Lark 機能 | 担当する周辺業務 | 置き換わる従来の道具 |
|---|---|---|
| Lark Base(データベース) | 物件台帳・追客(反響)管理・オーナー名簿・契約進捗・入金/修繕記録 | 物件Excel・紙台帳・付箋・個人メモ |
| Lark Docs(文書) | 重説・案内の定型文・業務マニュアル・オーナー向け報告テンプレ・新人教育資料 | 棚のファイル・個人のWord |
| Lark Messenger(チャット) | 社内連絡・反響の一次共有・案件相談・折り返し依頼 | 個人LINE・口頭・ホワイトボード |
| Lark 承認(Approval) | 広告費・仲介手数料の値引き稟議・休暇/直行直帰・備品購入の申請 | 紙の申請書・口頭承認 |
| Lark カレンダー | 内見・契約・オーナー面談・物件メンテの予定共有 | 個人手帳・壁掛けカレンダー |
ポイントは、これらがすべて連動することです。たとえば Lark Base の反響台帳で「本日新規」の反響を登録したら、その一覧を Messenger のグループに自動で流して初動を早める。承認された内見の予定はカレンダーに反映してダブルブッキングを防ぐ。重説の定型文(Docs)はチャットのプロフィールからワンタップで開ける——このように1つのIDで全部つながるのが、個別ツールの寄せ集めにはない強みです。Lark Base の基礎は Lark Base が中小企業の業務効率を変える3つの理由 で詳しく解説しています。営業が外回り中心で動く不動産会社では、ノンデスクワーカーの現場DX の考え方がそのまま当てはまります。
設計の原則: 最初から全部を作り込まないこと。まず「一番つらい1領域」(多くの場合は②追客・反響管理 か ①物件情報の共有)だけを Lark に載せ、2週間運用してから次へ広げます。全領域を同時に切り替えると、少人数の店舗では定着せずに元へ戻ってしまいます。
領域別の実装 — 物件台帳/反響追客/内見・契約書類/入金・オーナー報告
ここからは、4領域それぞれを Lark でどう組むかの実装イメージです。いずれもノーコードで、専任エンジニアは不要です。
① 物件情報を Lark Base で”社内の最新版が1つ”の台帳にする
ポータルや自社サイトへの掲載は今のまま続けて構いません。穴になりがちなのは、「社内で今、どの物件が募集中で、どれが申込済で、鍵はどこにあるか」を全員が同じ最新版で見られないことです。ここを Lark Base で台帳化します。フィールド例は、物件名・所在・種別(賃貸/売買)・募集状況(募集中/申込/成約)・賃料/価格・オーナー・鍵の所在・掲載中ポータル・担当。Base のビューで「募集中だけ」「今週申込」を切り替えれば、朝礼で全員が同じ空室状況を共有でき、成約済み物件の二重案内という初歩的な事故を仕組みで防げます。写真や図面もレコードに添付でき、内見時にスマホからそのまま参照できます。
② 反響・追客を Base と Messenger で”消えない案件”にする
反響対応で成約率を最も左右するのは初動の速さと追客の継続です。反響メールやポータル問い合わせを Lark Base の「反響・追客リスト」に1件ずつ登録します(反響日・流入元・希望条件・対応状況・次アクション日・担当)。新規反響は Messenger のグループに自動で流し、手が空いた人がすぐ一次対応。「次アクション日」を過ぎた案件をビューで抽出すれば、追客の抜け漏れを機械的に潰せます。担当者の頭とLINEに閉じていた顧客情報が台帳に残るので、担当が代わっても顧客が消えない=脱・属人化の中核になります。反響から成約までの歩留まりも、ステータス別に自動で数えられます。
③ 内見・契約書類を カレンダー+Docs+Base で”版と進捗が見える化”する
内見の予定は Lark カレンダーで共有し、物件・顧客・担当を紐づけてダブルブッキングを防ぎます。重要事項説明書や案内文の定型部分は Lark Docs のテンプレートに集約し、担当ごとにバラバラだった説明品質を揃えます。契約の進捗(申込→審査→重説→契約→引渡し)は Base のステータスで管理し、「今この案件はどこまで進んだか」を本人以外も一目で把握できるようにします。これにより、担当が休んでも他のメンバーが引き継げる状態になります。なお、電子契約サービスや重説のシステムは専用のものを使い、Larkはその進捗と社内共有を担う、という役割分担が安全です(第6章参照)。
④ 入金・オーナー報告を Base と Docs で”定例業務”にする
賃貸管理を手がける会社では、入金確認・滞納の督促・修繕対応・オーナーへの月次報告が毎月発生します。家賃の会計・送金そのものは専用の管理システムに任せつつ、入金/滞納のステータス確認、修繕依頼の受付と対応履歴、オーナーごとの報告事項を Lark Base に集約します。修繕依頼は入居者からの連絡を1件登録すれば、対応中/完了がオーナー・管理・現場で共有され、「言った言わない」や対応漏れが激減します。月次のオーナー報告は Docs のテンプレートと Base のデータを組み合わせれば、月末に手打ちしていた報告書作成の時間を大きく縮められます。オーナーとの信頼は、この報告の速さと正確さで決まります。
自動化の一例: Lark Base のオートメーション機能を使えば、「次アクション日が今日の追客案件を毎朝チャットに通知」「申込ステータスに変わったら物件台帳を自動で募集停止に」といった連携をノーコードで組めます。オートメーションの実行回数は Starter で月1,000回、Pro で月5万回まで(2026年8月時点の公式値、後述)。少人数の店舗ではこの通知だけでも取りこぼしが目に見えて減ります。
REINS・管理会計システムとの線引き — Lark がやること/やらないこと
結論として、Lark は”法定・会計・送金”の専用システムを置き換えるものではなく、その周りの情報共有と進捗管理を担うものです。この線引きを守ることが、コンプライアンスと業務効率を両立させる鍵になります。
| 領域 | Lark で扱う(周辺業務) | 専用システムに任せる |
|---|---|---|
| 物件流通 | 社内の物件台帳・空室状況・鍵管理・掲載状況 | 指定流通機構(REINS)への登録・検索 |
| 契約 | 契約進捗の共有・書類チェックリスト・定型文 | 電子契約・電子重説の認証されたサービス |
| 賃貸管理 | 入金/滞納の状況共有・修繕受付・オーナー報告 | 家賃会計・送金・確定申告用の管理会計システム |
| 個人情報 | 最小限の識別情報+権限設定で社内共有 | 本人確認書類・与信など機微情報の厳格管理 |
不動産取引で扱う顧客情報や契約情報は、氏名・連絡先・勤務先・年収など機微な個人情報を含みます。Lark Base には細かな権限設定(テーブル・行・列単位の閲覧/編集制御)があるため、「担当と管理者しか見られない」レコード設計が可能です。とはいえ、本人確認書類や与信に関わる最も機微な情報の保管は、それに適した専用システムやルールに従うのが安全です。Lark に載せるのは”社内で共有すべき業務情報”、専用システムに任せるのは”法定処理と最も機微な情報”——この切り分けを最初に決めておけば、DXを安心して進められます。
コスト比較 — 専用SaaSの積み上げ vs Lark 一本化
結論として、チャット・顧客管理・文書・勤怠・カレンダーを個別に契約するより、Lark 1本にまとめるほうが割安になるケースが多いです。まず Lark の公式料金(2026年8月時点、すべて税抜)を整理します。
| プラン | 料金(1ユーザー/月) | ユーザー上限 | Base 1テーブル行数 / ストレージ |
|---|---|---|---|
| Starter | ¥0(無料) | 20名まで | 2,000行 / 100GB |
| Pro | ¥1,420(年払い) | 500名まで | 2万行 / 15TB |
| Enterprise | 要お問い合わせ(個別見積) | 無制限 | 5万行 / 15TB+1人あたり30GB |
出典: Lark 公式料金プラン(2026年8月確認)。表示はすべて税抜、Pro は年払い価格。Enterprise は公式ページ上で公開価格の掲示がなく「お問い合わせ」のみ。
ここが重要な点です。スタッフ10名の店舗なら、Starter プラン(20名まで無料)で物件台帳・反響追客・社内連絡・マニュアル共有を”0円”で始められます。無料枠で運用を回し、行数(1テーブル2,000行)やチャット履歴(18か月)、参加人数の制限に当たってから Pro(1ユーザー月1,420円)に上げればよく、いきなり有料契約をする必要はありません。
これを、機能ごとに専用SaaSを積み上げた場合と比べてみます。仮にチャット・グループウェアに1人あたり月1,000〜1,500円、顧客管理(追客)ツールに数千円〜、文書管理やカレンダー連携に別途——と個別契約すると、少人数でも合計は月々それなりの固定費になり、しかもツール間の連携は結局”人手”で埋めることになります。Lark 一本化なら、料金が1本にまとまるだけでなく、連携ののりしろがプラットフォーム内で自動化されるため、コストと属人化の両方を同時に削れます。ツール選定の詳しい比較は Lark vs kintone どっちを選ぶべきか、Lark vs Microsoft Teams 比較、料金の全体像は Lark 料金完全ガイド2026 で詳しく解説しています。
自社事例 — 240h→24h の実証を仲介業務へ応用する
結論として、私たちアウフヘーベンジャパンは自社のEC事業を Lark に集約し、月240時間かかっていた定型業務を月24時間まで、90%削減しました。専任のエンジニアを雇わず、ノーコードの Lark Base とオートメーションだけで実現した実証です。群馬・前橋を拠点に、この運用ノウハウを中小企業のDX伴走支援に応用しています。
この実証が不動産・仲介業に効くのは、削減できた業務の構造が同じだからです。私たちがECで削ったのは、①バラバラの受発注データの手入力・転記、②担当者の頭に依存した進捗管理、③月末にまとめて作っていた集計・報告——この3つでした。これは不動産・仲介の①物件・反響データの二重入力、②担当依存の追客・契約進捗、③月末のオーナー報告と、ほぼ一対一で対応します。散らばった情報を Base に集約し、通知と集計を自動化するという打ち手は、業種が変わっても再現します。
応用のコツ: 一気に全業務を移さないこと。私たちも最初は「一番手間だった1業務」だけを Base 化し、効果を確かめてから横に広げました。不動産会社なら、まず反響・追客リストだけを Lark に載せ、初動と追客が改善する手応えを掴んでから、物件台帳・契約進捗・オーナー報告へ広げるのが失敗しない順番です。
業種別の当てはめ例は 業種別 Lark 導入事例ガイド2026 にまとめています。あわせてご覧ください。
90日で脱・属人化するロードマップ
結論として、90日を「30日×3」に区切り、1領域ずつ載せていくのが、少人数の店舗でも定着する現実的な進め方です。
| 期間 | やること | ゴール |
|---|---|---|
| 1〜30日 | 社内連絡を Messenger に移行+一番つらい1領域(反響・追客)を Base 化 | 反響の初動と追客の抜け漏れが目に見えて減る |
| 31〜60日 | 物件台帳と契約進捗を Base 化+重説/案内の定型文を Docs 化 | 空室の最新版が全員で共有され、担当以外も引き継げる |
| 61〜90日 | オーナー報告・修繕受付を Base 化+オートメーションで通知/集計を自動化 | 月次報告の作成時間が縮み、脱・属人化が定着 |
この順番の肝は、最初に”効果が一番出る領域”から始めて、現場に成功体験を作ることです。反響・追客が改善して成約が増えれば、スタッフは自発的に他の業務も Lark に載せたくなります。逆に、いきなり全業務を切り替えると、少人数の店舗は日々の業務に追われて定着せず、元の紙とExcelに戻ってしまいます。全社・全店への展開の時間軸は 中小企業のDXを90日で軌道に乗せる実践ロードマップ も参考にしてください。
不動産業特有のつまずきポイントと回避策
最後に、不動産・仲介業で Lark を導入する際に特有のつまずきと、その回避策をまとめます。
- つまずき①:機微な個人情報をどこまで載せるか迷う → 回避策:本人確認書類など最も機微な情報は専用システムに置き、Lark には氏名・連絡先・希望条件など”社内共有に必要な最小限”だけを載せる。Base の権限設定で担当・管理者に閲覧を絞る。
- つまずき②:ベテランが「今のやり方で回っている」と抵抗する → 回避策:既存のやり方を否定せず、まず”追客の抜け漏れ通知”のような本人が楽になる機能から見せる。成果が出た事例を朝礼で共有し、押し付けずに広げる。
- つまずき③:物件データの初期入力が大変 → 回避策:全物件を一度に入れようとしない。まず募集中の物件だけを載せ、成約・新規のたびに更新していく運用にすれば、初期負担なく最新台帳が育つ。
- つまずき④:外回り中心でPCを触る時間が少ない → 回避策:Lark はスマホアプリ中心。反響登録も内見予定の確認も、移動中にスマホから完結する設計にする。入力は選択式フィールドを多用して手打ちを減らす。
- つまずき⑤:電子契約サービスと二重管理になる → 回避策:契約書類の作成・締結は電子契約サービスに任せ、Lark は”進捗ステータスの共有”だけを担う。役割を重ねないことで二重入力を避ける。
これらはいずれも、「全部を一度に、完璧に」を目指すから起きるつまずきです。1領域ずつ、現場が楽になる順に載せていけば、無理なく脱・属人化が進みます。導入の伴走が必要なら、Lark Base 業務システム構築サービス と Lark 導入支援サービス でお手伝いします。
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「どの領域から Lark に載せれば、うちの店舗が一番楽になるか」——その当たりを、御社の業務フローに沿って一緒に見極めます。自社EC で 240h→24h を実証した運用ノウハウと、不動産向けの Lark Base テンプレートを無料相談でご提供します。
よくある質問(FAQ)
Q. Lark は REINS(レインズ)や不動産管理システムの代わりになりますか?
いいえ。Lark は指定流通機構(REINS)への登録・検索システムや、家賃会計・送金を行う管理会計システムの代替にはなりません。Lark が担うのは、社内の物件台帳・空室共有・追客・契約進捗・オーナー報告といった営業と管理の周辺業務です。法定のシステムや会計・送金は専用システムに任せ、その周りの情報共有を Lark に集約する、という役割分担が前提です。
Q. スタッフ10名の店舗なら費用はいくらですか?
Lark は Starter プランなら20名まで無料で、物件台帳・反響追客リスト・社内連絡・マニュアル共有を無料枠で始められます。1テーブル2,000行やチャット履歴18か月などの上限に達し、機能や容量が必要になれば Pro プラン(1ユーザーあたり月1,420円、税抜・年払い、2026年8月時点)が目安です。チャット・顧客管理・文書・カレンダーを個別契約するより、1つに集約するほうが割安になるケースが多くあります。
Q. 機微な顧客情報をクラウドに載せて大丈夫ですか?
Lark Base はテーブル・行・列単位の権限設定ができるため、「担当と管理者しか見られない」レコード設計が可能です。ただし本人確認書類や与信に関わる最も機微な情報は、それに適した専用システムやルールに従うのが安全です。Lark には社内共有に必要な最小限の情報だけを載せ、権限を絞って運用してください。
Q. 外回りが多くPCを触る時間が少ない営業でも使えますか?
Lark はスマホアプリ中心で、LINEに近い操作感のチャットを入り口にできます。反響の登録も内見予定の確認も移動中にスマホから完結でき、入力を選択式フィールド中心にすれば手打ちの負担も減らせます。まずは社内連絡を Messenger に移すところから始めるのがおすすめです。
Q. 導入にどれくらいの期間がかかりますか?
1領域だけなら2週間で試験運用を始められます。全体像としては、1〜30日で社内連絡の移行と一番つらい1領域(反響・追客)の集約、31〜60日で物件台帳と契約進捗、61〜90日でオーナー報告と自動化、という90日のロードマップが現実的です。少人数の店舗では、全部を同時に変えず、必ずスモールスタートで進めてください。
まとめ — 「システムを増やす」から「情報を一つにまとめる」へ
不動産・仲介業のDXは、高機能な専用SaaSを次々に契約することではありません。電子契約が全面解禁され、地場・中小がひしめく競争の中で、勝敗を分けるのは反響への初動・追客の継続・引き継ぎのスムーズさという”オペレーションの質”です。そしてその質は、物件・顧客・契約・オーナー報告という散らばった情報を1つのプラットフォームにまとめ、脱・属人化することで底上げできます。
その一元化を、営業がすでにスマホで使うチャットの延長線上で、しかも Starter プランなら20名まで無料で始められるのが Lark です。まずは一番つらい1領域を1つ、Base に載せるところから。その小さな成功体験が、店舗全体のDXを動かします。「どこから始めればいいか」を一緒に見極める無料相談を、ぜひご活用ください。
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- アウフヘーベンジャパン株式会社 会社案内 — 群馬・前橋拠点。Lark 導入を支援する独立系コンサルティング事業者。
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