経営データ解説 / 2027 賃上げ予想 / 人件費シミュレーション
2027年の賃上げ予想と中小企業の原資捻出術 — 春闘・最低賃金データから「払える賃上げ」を Lark でシミュレーションする
2027年の賃上げは、公表済みのデータを積み上げる限り「4年連続の高水準」が最大の焦点であり、中小企業は”相場が下がるのを待つ”のではなく”払える賃上げ額を自分で計算して先に決める”局面に入っています。「2027年も5%相場が続くのか知りたい」「最低賃金も上がるのに、賃上げの原資がない」「いくらまでなら払えるのか、根拠を持って決めたい」————この悩みに、連合の春闘最終集計・厚生労働省の最低賃金答申・第一生命経済研究所グループのレポートという一次データを軸に答えます。本記事は、2024〜2026年の春闘実績と2027年春闘のスケジュール、最低賃金との連動、中小企業の賃上げ実態(防衛的賃上げ6割)を整理した上で、賃上げ原資を捻出する5つの実務と、Lark Base で「3%・4%・5%の3シナリオ人件費シミュレーション」を組む手順までを解説します。群馬・前橋で自社EC事業を Lark に集約し月240時間→24時間を実証した当社の実装知見も併記します。
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賃上げ判断の難所は「相場の予想」ではなく、自社の人件費・粗利・業務時間の実データを1か所に集め、”何%までなら利益を残して払えるか”を計算できる状態を作ることです。当社は群馬・前橋で自社EC事業の Lark 集約を実証した実体験から、御社の人件費構造を棚卸しし、「賃上げ原資シミュレーション表(3シナリオ・自社版)」を60分の無料相談でお渡しします。Lark ありきではなく、Excel 運用のままで十分な場合はそう正直にお伝えします。
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この記事でわかること
- 2027年の賃上げ予想の現在地 — 春闘3年連続5%台(5.10%→5.25%→5.01%)の実績と、シンクタンクが挙げる押し上げ要因・抑制要因
- 2027年春闘のスケジュール — 10月の連合基本構想から3月の集中回答日まで、「いつ何を見れば相場が読めるか」のチェックポイント
- 最低賃金との連動 — 2026年度の全国加重平均1,177円(+56円)と政府1,500円目標が中小の人件費に効く仕組み
- 賃上げ原資を捻出する5つの実務 — 価格転嫁・業務効率化・賃上げ促進税制・業務改善助成金・人時生産性の見える化
- Lark Base で組む人件費シミュレーション — 3%・4%・5%の3シナリオ表の作り方と、30名規模の試算例(社会保険料込み)
目次
- 結論 — 2027年の賃上げ予想 早見表
- 2027年春闘はいつ決まる? — 3年連続5%台の実績と見通しスケジュール
- 最低賃金2026年度は1,177円 — 「選べない賃上げ」が先に来る
- 中小企業の現実 — 賃上げ率4.29%、6割は「防衛的賃上げ」
- 賃上げ原資の捻出術5つ — 相場を追う前に自社の分子と分母を動かす
- Lark Base で人件費シミュレーションを組む手順 — 3シナリオ表の実装
- 「払える賃上げ」を設計する90日ロードマップ
- よくある質問(FAQ)
- まとめ — 賃上げは「相場の予想」ではなく「自社の設計」で決める
結論 — 2027年の賃上げ予想 早見表
結論を先に述べます。2026年春闘まで3年連続で賃上げ率5%台が続いており(連合最終集計)、2027年春闘は「この高水準が4年目も維持されるか」が最大の焦点です。構造的な人手不足と物価高が押し上げ要因、企業の人件費負担の累積が抑制要因とされます(第一生命経済研究所グループ(第一ライフ資産運用経済研究所)・新家義貴氏レポート、2026年9月17日、2026年9月28日確認)。まず判断材料を1枚の表にまとめます。
| 判断材料 | 公表済みのデータ(2026年9月28日時点) | 2027年への含意 |
|---|---|---|
| 春闘の実績 | 2024年5.10%→2025年5.25%→2026年5.01%と3年連続5%台。中小(300人未満)は2026年4.69% | 「5%相場」が既に3年定着。急失速を示すデータは現時点でない |
| シンクタンクの見方 | 人手不足・物価高が押し上げ、人件費負担の累積が抑制要因。「4年連続の高い賃上げが維持されるかが焦点」 | 数値予測の出そろいは2026年10月以降。方向感は「高水準の持続」 |
| 最低賃金 | 2026年度は全国加重平均1,177円(+56円・引き上げ率約5.0%)。過去2番目の上げ幅 | 政府の1,500円目標に向け、2027年度も年3%を超える引き上げ圧力が続く公算 |
| 中小の実態 | 中小の賃上げ率4.29%(日商・2026年6月)。賃上げ実施・予定は71.3%、うち約6割が業績改善なき「防衛的賃上げ」 | 「上げない」選択肢は採りにくい。問われるのは”いくらなら払えるか”の設計 |
| 中小企業が今やること | 相場予想を待たずに、自社の人件費データで3%・4%・5%の3シナリオを試算し、原資捻出策(価格転嫁・効率化・税制・助成金)とセットで「払える賃上げ」を先に決める | |
出典: 連合「2026春季生活闘争 第7回(最終)回答集計」・厚生労働省「令和8年度地域別最低賃金 答申状況」・日本商工会議所・東京商工会議所「中小企業の賃上げ・賃金改定に関する調査」(2026年6月8日)・第一生命経済研究所グループ「2027年春闘のスケジュールと金融政策」(2026年9月17日)(いずれも2026年9月28日確認)。
大事な前提をひとつ。2027年春闘の「賃上げ率◯%」という具体的な数値予測は、主要シンクタンクからまだ出そろっていません(2026年9月28日時点)。例年、シンクタンク各社の見通しは連合の方針決定(10月〜)を受けて秋以降に公表されます。だからこそ本記事は「当てにいく予想」ではなく、公表済みデータから読める方向感と、どちらに転んでも対応できる自社側の設計に軸足を置きます。予想が外れても、自社の支払能力の計算は外れないからです。
2027年春闘はいつ決まる? — 3年連続5%台の実績と見通しスケジュール
結論として、春闘賃上げ率は2024年5.10%→2025年5.25%→2026年5.01%と3年連続で5%台に乗っており、2027年春闘は「4年連続」なるかが焦点です(連合・春季生活闘争 最終回答集計、2026年9月28日確認)。
| 春闘(連合最終集計) | 全体の賃上げ率 | 中小組合(300人未満) | 備考 |
|---|---|---|---|
| 2024年 | 5.10% | 4%台半ば | 33年ぶりの5%台 |
| 2025年 | 5.25% | 4.65% | 1991年以来34年ぶりの高水準 |
| 2026年 | 5.01%(16,400円) | 4.69%(12,866円) | 3年連続の5%台。中小の率は前年同期を上回る |
出典: 連合「2026春季生活闘争 第7回(最終)回答集計結果」(2026年7月公表)・同2025年最終集計(2026年9月28日確認)。賃上げ率は定期昇給相当分込み・平均賃金方式。
注目すべきは中小の動きです。全体の率は2025年5.25%→2026年5.01%と小幅に鈍化した一方、中小組合(300人未満)は4.65%→4.69%と率を上げ、賃上げ額12,866円は前年同期を上回りました(同上)。「大手が先行し、中小が追いかけて格差が縮む」構図が2026年も続いたということです。2027年に自社の賃上げ率を考えるとき、参照すべき相場は大手の5%ではなく、この中小4.6〜4.7%のラインです。
では2027年はどう読むか。第一生命経済研究所グループの新家義貴氏のレポート(2026年9月17日)は、2026年春闘の実績を連合集計5.01%・厚生労働省集計ベース5.18%と整理した上で、2027年春闘について「3年連続で続いた高い賃上げが維持されるかが焦点」とし、構造的な人手不足と物価高を押し上げ要因、企業側の人件費負担の累積を抑制要因に挙げています。つまり「上がる圧力」と「もう限界という圧力」の綱引きであり、楽観・悲観どちらか一方に張るのは危険というのが現時点のフェアな読み方です。
相場の形成過程は毎年ほぼ同じスケジュールで進みます。同レポートが挙げる2027年春闘の主要イベントは次のとおりです。経営側はこのカレンダーを「自社の賃上げ決定の逆算表」として使えます。
| 時期 | イベント | 中小経営者が見るポイント |
|---|---|---|
| 2026年10月中〜下旬 | 連合「春季生活闘争基本構想」公表 | 労組側の要求水準(「5%以上」を維持するか)。ここで翌年相場の下限観が形成される |
| 11月上〜中旬 | 経団連「経労委報告」原案 | 経営側の基本スタンス(賃上げ継続の言及の強さ) |
| 11月下旬 | 政労使会議 | 政府の後押し(価格転嫁・中小支援策の追加) |
| 12月〜2027年1月 | 早期賃上げ表明企業の登場 | 大手の表明水準。採用市場で自社と競合する企業の動き |
| 2027年3月中旬 | 集中回答日・連合第1回回答集計 | 相場の確定。ここから自社の検討を始めるのでは遅い |
出典: 第一生命経済研究所グループ「2027年春闘のスケジュールと金融政策」(2026年9月17日)を基に当社作成(2026年9月28日確認)。
同レポートのタイトルどおり「2027年春闘の行方は3月より前に見えてくる」——逆に言えば、中小企業が原資の計算を始めるべきタイミングは、相場が固まる3月ではなく、この10〜12月です。本記事の後半で解説するシミュレーションは、まさにこの時期に仕込むためのものです。
最低賃金2026年度は1,177円 — 「選べない賃上げ」が先に来る
結論として、2026年度(令和8年度)の地域別最低賃金は全国加重平均1,177円(前年度比+56円)で決着し、10月1日から順次発効します。春闘の賃上げが「選べる賃上げ」なのに対し、最低賃金は法的義務のある「選べない賃上げ」であり、パート・アルバイト比率の高い中小企業では春闘相場より先に効いてきます(厚生労働省「全ての都道府県で地域別最低賃金の改定額が答申されました」、2026年9月28日確認)。
ポイントは3つです(同上)。
- 引き上げ幅は+56円(約5.0%)で、目安制度が始まった1978年度以降2番目の大きさ。3年連続で歴史的水準の引き上げが続いています。
- 最高は東京の1,280円、最低は1,085円。最高額に対する最低額の比率は84.8%と12年連続で改善しており、地方ほど引き上げ率が高い——つまり地方の中小企業ほど人件費増圧力が強い構図です。
- 発効日は10月1日から12月上旬まで都道府県によって異なります。自県の発効日と改定額は47都道府県別の改定額・発効日一覧(2027年予想付き)で確認できます。
2027年度はどうか。政府の「全国加重平均1,500円」目標について、達成期限を「遅くとも2030年代前半」とする方向が報じられています(日本経済新聞、2026年6月)。仮に2030年代前半(例: 2033年度)に1,500円へ到達させる場合、1,177円からは年3%台のペースで7年前後、毎年40円規模の引き上げが続く計算になります。つまり「目標時期が後ろ倒しになったから楽になる」のではなく、高止まりした引き上げ率が長期化すると読むのが実務的です。時給1,177円はフルタイム換算(月173時間)で月給約20.4万円に相当し、初任給や既存社員との賃金バランス(賃金カーブ全体の底上げ)にも波及します。この波及構造と2027年度の県別予想は最低賃金2027に備える人件費シミュレーション記事で詳述しています。
要するに、2027年の中小企業の人件費は「春闘相場(選べる)」と「最低賃金(選べない)」の二段構えで確実に上がる。だからこそ、賃上げの議論は「するかしないか」ではなく「いくらまで払えるか」から始める必要があります。10月改定の実務対応(シフト・扶養の壁・価格転嫁)は最低賃金2026対策記事にまとめています。
中小企業の現実 — 賃上げ率4.29%、6割は「防衛的賃上げ」
結論として、中小企業の2026年の賃上げ率は平均4.29%と前年を0.26ポイント上回った一方、賃上げ企業の約6割は「業績の改善が見られないのに賃上げする」防衛的賃上げであり、原資の裏付けなき賃上げが常態化しています(日本商工会議所・東京商工会議所「中小企業の賃上げ・賃金改定に関する調査」2026年6月8日、2026年9月28日確認)。
同調査の要点はこうです。
- 賃上げを「実施・予定」する中小企業は71.3%(前年比+1.7ポイント)。従業員20人以下の小規模企業でも59.9%と6割に迫ります。
- 正社員の賃上げ率は平均4.29%(ベア+定昇、4月時点)。連合集計の中小組合4.69%より低く、労組のない中小の体感相場は「4%台前半」と読めます。
- 業績改善を伴わない「防衛的な賃上げ」が60.9%(前年60.1%とほぼ同水準)。理由は「物価上昇への対応」「人材の確保・採用」が中心です。
この「防衛的賃上げ6割」という数字が、2027年に向けた最大の警告です。物価と採用競争に押されて原資の当てがないまま賃上げを続けると、利益率の低い企業から順に体力が尽きます。一方で賃上げを止めれば、最低賃金には勝てず、採用市場では大手(5%相場)と中小健闘組(4.7%)に人材を吸われる。この板挟みの出口は、精神論ではなく「原資を作る実務」と「払える上限を計算する仕組み」の2つしかありません。次章から順に解説します。
💡 中間まとめ: 2027年の賃上げ環境は「春闘4年連続高水準が焦点(選べる賃上げ)」×「最低賃金は年3%超ペースが長期化(選べない賃上げ)」×「中小の6割はすでに防衛的賃上げ」。相場を眺めていても自社の答えは出ません。原資の捻出と支払能力の計算——動かせるのはこの2つです。
賃上げ原資の捻出術5つ — 相場を追う前に自社の分子と分母を動かす
結論として、中小企業が2027年の賃上げ原資を作る現実的な打ち手は「価格転嫁」「業務効率化」「賃上げ促進税制」「業務改善助成金」「人時生産性の見える化」の5つで、このうち即効性と自社完結性が最も高いのは業務効率化です。順に見ていきます。
① 価格転嫁 — 原資の王道。ただし「言い値」ではなく「原価データ」で交渉する
人件費上昇分を販売価格に載せる価格転嫁は、政労使会議でも毎年テーマになる原資捻出の本丸です。交渉で効くのは「最低賃金が上がったので値上げさせてください」という情緒ではなく、製品・サービス別の原価に占める労務費の実数です。労務費・原材料費・エネルギーコストの内訳を月次で出せる会社は、取引先への説明も、値上げ幅の根拠も明確になります。後述の Lark Base での原価データ整備は、この交渉材料づくりと同じ基盤でできます。
② 業務効率化 — 当社が実証した「時間を原資に変える」ルート
賃上げ原資は売上からだけでなく、ムダな業務時間の削減からも作れます。当社は群馬・前橋で、Excel・メール・電話・紙に散らばっていた自社EC事業の定型業務を Lark に集約し、月240時間→24時間(90%削減)を実証しました(月240時間→24時間の自社EC実証記録)。浮いた216時間を後述の換算単価・時給2,000円で金額に直すと月43.2万円——後述する30名規模の4%賃上げの月額原資(社会保険料込み約38.6万円)におおよそ見合う規模の目安になります。重要なのは現金化の経路です。削減した時間は「残業代の削減」「退職・欠員時の増員回避」「浮いた時間を営業・出荷増に充てた売上」のいずれかを通ってはじめて原資になります——どの経路で回収するかまで決めるのが効率化を賃上げにつなげるコツです。もちろんこれは当社の一事例であり、削減幅は業務構造によりますが、「賃上げ原資は残業代とムダ作業の中に埋まっている」という視点は全ての中小企業に適用できます。Lark Base で何ができるかはLark Base が中小企業の業務効率を変える3つの理由を参照してください。
③ 賃上げ促進税制 — 賃上げ額の最大45%を税額控除、赤字でも5年繰越
中小企業向け賃上げ促進税制は、給与等支給額を前年度比1.5%以上増やすと増加額の15%、2.5%以上で30%、教育訓練費・くるみん等の上乗せを満たすと最大45%を法人税(個人事業主は所得税)から税額控除できる制度です。控除しきれない分は5年間の繰越が認められており、賃上げ年度が赤字でも将来の黒字と相殺できます(中小企業庁「中小企業向け賃上げ促進税制」、2026年9月28日確認)。ただし適用期限・控除率などの要件は今後の税制改正で見直される可能性があるため、現行の手厚い控除を使えるうちに賃上げ計画と申告準備を整えるのが得策です。最新の適用要件は上記の中小企業庁ページで確認のうえ、改正動向の読み方と実務は賃上げ促進税制2027改正の解説記事で詳述しています。
④ 業務改善助成金 — 最低賃金引き上げ×設備投資を国が支援
事業場内の最低賃金を引き上げ、生産性向上に資する設備投資(ITツール導入を含む)を行う中小企業には、厚生労働省の業務改善助成金があります。賃上げと業務効率化投資を「両取り」できる、本記事のテーマと最も相性の良い支援策です。対象要件・上限額・Lark 導入を助成対象にする組み立ては業務改善助成金2026完全ガイドにまとめています。
⑤ 人時生産性の見える化 — 「誰の1時間がいくら稼ぐか」を測る
最後は、原資捻出の土台になる管理指標です。人時生産性(粗利÷総労働時間)を月次で追えるようにすると、「賃上げ何%までなら人時生産性の改善で吸収できるか」が計算できるようになります。逆にこれが見えていない会社は、賃上げの可否を「なんとなくの資金繰り感覚」で決めることになり、防衛的賃上げの6割に合流します。次章の Lark Base シミュレーションは、この人時生産性の把握とセットで組みます。
「原資捻出策のどれが自社に効くか」を60分で切り分けます
価格転嫁・効率化・税制・助成金——どれから手を付けるべきかは、粗利構造と業務時間の分布で会社ごとに違います。当社の無料相談では、御社の数字を伺いながら5つの捻出術の優先順位と、Lark で組む場合の実装ステップを具体化してお返しします。
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Lark Base で人件費シミュレーションを組む手順 — 3シナリオ表の実装
結論として、人件費シミュレーションは「従業員マスタ」「賃上げシナリオ」「月次実績」の3テーブルを Lark Base に作り、3%・4%・5%の3シナリオを自動計算させる構成が最小で、Excel と違って勤怠・シフト・原価のデータと同じ基盤に載るため”作りっぱなしの試算表”にならないのがポイントです。Lark は20名までは無料の Starter プランで始められ、21名以上は Pro プラン(1ユーザー月1,420円・年払い・税抜)が必要です(Lark公式料金ページ、2026年9月28日確認)。「IT担当がいないウチには無理では」という心配は不要です——以下の3テーブルは給与台帳CSVのインポートと数式フィールドの設定だけで組める最小構成で、プログラミングは一切使いません。スマホからも閲覧できるため、経営者が移動中に「今月の賃上げ余力」を確認する使い方もできます。
ステップ1: 従業員マスタを作る
氏名・雇用区分(正社員/パート)・現行月給(パートは時給と月間労働時間)・等級をフィールドにしたテーブルを作ります。給与台帳や勤怠システムのCSVをそのままインポートすれば10分で終わります。ここで時給者は「自県の2026年度最低賃金との差額」を数式フィールドで持たせておくと、最低賃金改定のたびに”自動的に赤信号が点く”マスタになります。
ステップ2: 賃上げシナリオテーブルを作る
シナリオ(3%・4%・5%)をレコードにし、従業員マスタとリンクした数式で「月額増加額」「社会保険料の事業主負担を含めた総増加額」「年間総額」を自動計算させます。社会保険料の事業主負担は本試算では15%と仮置きします(健康保険・厚生年金・雇用保険等の合算概算。料率は業種・地域・年度で変動するため、自社の実料率に置き換えてください)。30名・平均月給28万円(月給総額840万円)のモデルで計算すると次のようになります。なお右端列の換算単価・時給2,000円は、このモデルの社保込み実質人件費(月約32.2万円÷月173時間≒時給1,860円)に残業割増や採用・教育コスト分を上乗せした概算値です。
| シナリオ | 月額増(給与のみ) | 月額増(社保15%込み) | 年間の追加原資 | 時給2,000円換算の必要削減時間/月 |
|---|---|---|---|---|
| 3%賃上げ | 25.2万円 | 約29.0万円 | 約348万円 | 約145時間 |
| 4%賃上げ(中小相場) | 33.6万円 | 約38.6万円 | 約464万円 | 約193時間 |
| 5%賃上げ(大手相場) | 42.0万円 | 約48.3万円 | 約580万円 | 約242時間 |
30名・平均月給28万円・社会保険料事業主負担15%仮置きの当社試算モデル。実際の負担率・賃金構成に合わせて Base 上で数式を差し替えてください。
この右端の列が本記事の核心です。「4%賃上げには月約193時間分の業務削減が必要」と読み替えた瞬間、賃上げは”払えるか不安な固定費”から”効率化で狙い撃ちできる目標値”に変わります。換算単価を保守的に実質単価の1,860円に置いても必要削減時間は約208時間と、大きくは変わりません。当社の実証では月216時間を削減できており(削減幅は業務構造により異なります)、この規模の効率化は非現実的な数字ではありません。なお、30名で Lark Pro を契約した場合のツールコストは月42,600円(1,420円×30名・税抜)——4%シナリオの月額原資38.6万円の約1割であり、効率化が2割でも実現すれば十分に回収が立つ計算です。自社の人数・給与水準での試算を見てみたい方は60分の無料相談でその場でお作りします。
ステップ3: 月次実績テーブルとダッシュボードで「払える上限」を毎月更新する
粗利・総労働時間・残業時間を月次で記録するテーブルを作り、人時生産性(粗利÷総労働時間)と「賃上げ余力(人時生産性の改善分×労働時間)」をダッシュボードに表示します。シミュレーションを”年1回の試算”で終わらせず、毎月の実績で「今のペースなら来春◯%まで払える」を更新し続けるのが、Excel 試算との決定的な違いです。勤怠・シフト設計と絡めた実装は最低賃金2027に備える人件費シミュレーションの実装ガイドに詳しく書きました。ツール選定の比較検討はLark vs kintone 徹底比較を、Microsoft 365 を利用中の会社はLark vs Microsoft Teams 比較を参考にしてください。
「払える賃上げ」を設計する90日ロードマップ
結論として、2027年春の賃上げ決定から逆算すると、2026年10〜12月の90日間で「データ集約→シミュレーション→原資施策の着手」まで終えるのが理想です。相場イベント(10月の連合基本構想〜3月の集中回答日)と並走するスケジュールで組みます。
- Day 1〜30(10月): データ集約 — 給与台帳・勤怠・粗利データを Lark Base の3テーブルに集約。自県の最低賃金改定(10月発効)への対応を同時に確認。
- Day 31〜60(11月): シミュレーション確定 — 3シナリオ試算を役員会で共有し、「払える上限」と「目標とする効率化時間」を決定。賃上げ促進税制の適用要件(1.5%/2.5%)と照合。
- Day 61〜90(12月): 原資施策に着手 — 効率化の対象業務を特定して Lark 集約を開始。価格転嫁の交渉資料(労務費データ)を整備。業務改善助成金の公募要領を確認。年明けの大手の早期表明を見ながら、2〜3月に最終決定。
この進め方は、当社が提唱する中小企業のDXを90日で軌道に乗せる実践ロードマップの賃上げ版です。ツール導入が目的化しないよう、「賃上げ額の決定」という経営判断をゴールに置くのがコツです。
よくある質問(FAQ)
Q1. 2027年の賃上げ率は何%になりそうですか?
A. 2026年9月時点で主要シンクタンクの数値予測は出そろっていませんが、公表済みデータからは「高水準の継続が焦点」という読みが妥当です。春闘賃上げ率は2024年5.10%→2025年5.25%→2026年5.01%と3年連続5%台(連合最終集計)で、第一生命経済研究所グループは2027年春闘を「高い賃上げが維持されるかが焦点」とし、人手不足・物価高(押し上げ)と人件費負担の累積(抑制)の綱引きと整理しています。相場観が具体化するのは連合の基本構想(2026年10月)以降です。
Q2. 中小企業も5%上げないと人が採れませんか?
A. 中小の実勢相場は4%台です。連合集計の中小組合(300人未満)は4.69%、労組のない企業を含む日商調査では平均4.29%。採用競合が大手中心なら5%相場を意識する必要がありますが、多くの中小はまず「4%台をどう払うか」が現実的な検討ラインです。率だけでなく、初任給・手当・柔軟な働き方を含めた総合設計で競争力は作れます。
Q3. 賃上げの原資がありません。どうすればいいですか?
A. 打ち手は「価格転嫁」「業務効率化」「賃上げ促進税制」「業務改善助成金」「人時生産性の見える化」の5つです。即効性が高いのは業務効率化で、当社は自社EC業務の Lark 集約で月間定型業務時間の90%削減を実証しました。浮いた時間を時給換算すれば、それがそのまま賃上げ原資の計算に載ります。税制(最大45%控除・5年繰越)と助成金は「賃上げした後の回収」を厚くする補完策です。自社の原資捻出ラインは無料相談(60分)でその場で試算できます。
Q4. 人件費シミュレーションは Excel でもできますよね?
A. 試算だけなら Excel で可能ですが、”毎月更新され続ける仕組み”にするなら業務データと同じ基盤に載せるべきです。Excel 試算表は作った瞬間から古くなり、勤怠・シフト・粗利と分断されたまま放置されがちです。Lark Base なら従業員マスタ・勤怠・原価と同じ場所でシナリオが自動再計算され、ダッシュボードで「今払える上限」を常時表示できます。20名までは無料プランで組めるため、まず試すコストもかかりません。
Q5. 最低賃金は2027年度も上がりますか?
A. 確定はしていませんが、上がる前提で備えるべきです。2026年度は全国加重平均1,177円(+56円・約5.0%増)と過去2番目の上げ幅で、政府の「1,500円」目標は達成期限を2030年代前半とする方向が報じられています。仮にそのペースなら年3%台・40円規模の引き上げが今後も続く計算です。都道府県別の2027年度予想は最低賃金の47都道府県一覧・2027予想記事を参照してください。
まとめ — 賃上げは「相場の予想」ではなく「自社の設計」で決める
本記事の要点を整理します。
- 春闘賃上げ率は3年連続5%台(5.10%→5.25%→5.01%)。2027年は「4年連続なるか」が焦点で、急失速を示すデータは現時点でない
- 最低賃金は1,177円(+56円)で10月から順次発効。1,500円目標に向け年3%超ペースの引き上げが長期化する公算
- 中小の6割は業績改善なき「防衛的賃上げ」。原資の裏付けを作らない賃上げは持続しない
- 原資捻出は価格転嫁・業務効率化・賃上げ促進税制・業務改善助成金・人時生産性の見える化の5つ。効率化で浮いた時間は残業代削減・増員回避・売上活動のいずれかの経路で原資に変える
- Lark Base の3テーブル(マスタ・シナリオ・実績)で「4%賃上げ=月193時間の効率化」と読み替えられれば、賃上げは狙って達成できる経営目標になる
2027年春に「相場が出てから慌てて決める」会社と、「10月から自社の払える上限を計算して準備した」会社では、同じ4%の賃上げでも利益への影響がまるで違います。数字の準備、始めませんか。
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